聴翠(ちょうすい)の午睡(ごすい)
初夏の正午、セミの声もまだ遠い。陸家の離れにある「聴翠軒」には、宣紙の上を走る筆の音さえ聞こえるほどの静寂が満ちていた。
窓の外には、蘇衍が半年前、自ら植えた竹林が広がっている。植えたばかりの頃は細くか弱かった青竹も、今では驚くほどの勢いで節を伸ばし、伝説の鳳凰を迎え入れようとするかのように、まっすぐ天を仰いでいた。
彼が窓を開けると、心に染み入るような涼やかな風が吹き抜けた。降り注ぐ日差しは重なり合う竹の葉に遮られ、淡い緑の光となって地に落ちている。
それにしても、竹の生命力というものは凄まじい。きれいに敷き詰められた青煉瓦を突き破り、石の隙間から強引に顔を出したかと思えば、ついには階段の下を流れる疎水さえも塞いでしまった。
「この竹の成長は早すぎますな。昨日は膝丈ほどだったのに、今日にはもう簾に届きそうだ」
阿福が口の中でぶつぶつと独り言を漏らしている。
竹の影が横たわり、斜めに伸びた何本かの新枝は、すでに廊下の下まで入り込んでいた。
「阿福、窓の下にある竹榻を少しずらしておくれ。地に広がるこの影を、かき乱さないように」
日が長くなり始めた夏の一日。微かに揺れる竹影に包まれながら、彼は静かで長い夢の中に落ちていった。
夢の中では、青空を鳳凰が舞い、彼は果てしない緑の奥底に座って、清らかな風を相手に独り酌をしていた。
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