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番外編:駆けゆく戦場と剣鬼の最期Ⅰ 3017.02.06

追加分です。

 剣が鳴って、火花が散った。


今思えば、我ながらに無謀な――――――いや、何故この様な奇行をしてしまったのか。

時々考えることがある。

あの日、俺の背をひたすらに押していたもの、言葉に成らない感情だけがこのひ弱な体を動かしていた。


 風を切る矢羽の声を聞いて、赴くままに踏み切り往く。


 ヴェスティーアの王都を出て半年ばかりが過ぎた頃のこと、俺はようやく女神から継いだ能力を使いこなし始めていた。

体に這わせた数多の強化術式、いずれも即死級の呪縛をこの能力(ちから)は解きほぐし力に変えてくれる。

まさしく人外の力を手に入れた――――――しかして、これは決して自らの努力の成果でも生まれ持った才能でもない。

急増でも勇者が必要とされたとは言え、結局は俺自身は成長したわけではなくただ慣れただけに過ぎない。


 強さに伴う責任に苛まれていた、そんな俺の下に舞い込んだ仕事は危険極まりないものだった。

『汝、王国に叛逆する賊の頭目―――その魔剣を破壊せよ』

手紙の内容によれば、魔族の侵攻とはまた別に王都への攻撃を企てる未知の勢力がいる、その指導者が振るう凶刃さえ破壊出来ればすぐにでも相手方を叩けるとの話だった。

魔族との防衛戦で疲弊しているとはいえ、王国の騎士団が敵国ならまだしも賊の類に手を焼くものだろうか?

......いや、特筆すべきはその点ではなく敵の指導者が振るうという『魔剣』の方だろう。


――――――――凶刃さえ破壊出来れば。


要約した自分でさえ流してしまいそうだったが、何なのだろうかこの異様な文言は?

あくまで王国の障害はたった一振りの剣だけのような、そんな言い回しではないか。

拭えぬ不安を鎮めつつ、俺は旅の進路を変えることにした。

目指すは前線、対魔族戦争における最激戦区である。



 丘を越え、砦を越え、止まぬ断末魔を作り征く。


 翌日、俺が配属された特務部隊は洗練された機動力をもって魔族部隊を隠れ蓑にするという盗賊の拠点、南戦線に広がる森を目指した。

―――固有能力オリジン出力問題無し、各位身体強化……は、まだ制御可能。

立ちはだかる魔族の兵を全て先制で倒しつつ、剣の基本を再学習していく。


この時の俺は、少なからず慢心していたに違いない。

そしてそれは長くは続かないのだ。

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