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魔剣使いの最凶冥王―ワールドアブソリュート―  作者: 神薙リンシア
第4章 学園対抗競技祭〈フェネクス〉編
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第31話 五天会議

お待たせしました。どうぞお楽しみください。


――そして五天会議が始まった。

体格のいい男が口を開いた。


「さて、改めて。俺は五年生代表のビジットだ。よろしく頼む」

ビジットは隣に目を向ける。すると隣に座っていた少女は読んでいた本を置き、自己紹介を始める。


「自己紹介ですわね、ワタクシは四年生代表のジャンヌ・ミリアですわ。この世界の方(・・・・・・・)にはわからないと思いますが、出身国はフランス(・・・・・)ですわ」

『フランス』という国の名前を聞いた瞬間俺は目を見開いた。俺がフリーズしているとはつゆ知らず、三年生代表者――ディラルクさんが自己紹介をする。


「改めて。俺はディラルク・ホフスだ。よろしく頼む」

ディラルクさんが自己紹介をすると右手に覇気が宿っていたセドリアが自己紹介を始めた。


「どうも、僕は二年生代表セドリア・キャデリーズだ。セドって愛称で呼んでくれると嬉しいな」

キザったらしいセリフを吐き、歯をキラリと光らせる。ちょっとウザい。そして俺の番が回ってきた。全員の視線が俺に刺さる。

(こういう小学校の発表会みたいな雰囲気苦手なんだよなぁ・・・)

そして俺は自己紹介を始めた。


「あー・・・どうも、一年生代表のナツイ・フウマと申します。ワールドギルドランキング1位です。よろしくお願いします」

そう自己紹介した途端五天会議に参加していた四人がフリーズした。」


「・・・アンタがあの『漆黒の死神』だったとはな・・」

とビジットさんの呟きに頷く二人(・・)

(あれ?二人?後の一人は・・・げっ)

俺は思わず「げっ」と漏らしてしまった。何故ならその頷かなかった人物は金髪に蒼眼――ジャンヌ・ミリアその人だったからだ。


「あ、ああ貴方、ワタクシと同じ地球人ですの!?」

と椅子から勢いよく立ち上がった。俺はそのオーバーアクションに驚いた。


「あ、ああ、そうなるな」

そう答えるとジャンヌは深呼吸をし、椅子に座り直した。すると何処からか咎めるような声が聞こえた。


「で、もう進めていいよな?」

「「あ、はい」」

そう答えるしか道はなかった。



 ☆ ☆ ☆



「さて、改めて五天会議を始める。まあ五天会議っつっても相手の使う戦法やら武器やら技術やらの情報交換を行う集まりだ」

ビジットさんはそんな突拍子のない事を平然と告げる。


「そう、ならワタクシは退室させていただきますわ」

そう言って立ち上がるジャンヌ。そしてジャンヌを止めたのは俺でもビジットさんでもなかった。


「・・・・ジャンヌの宿敵(・・)の情報を持っている」

思わぬ切り札を出したのはディラルクさんだった。

(へえ・・・此処で切り札ともいえるカードを切ったか)

ジャンヌはその言葉を聞き、動きを止めた。そしていそいそと椅子に座ると足を組んだ。


「その情報、言い値で買いますわ」

先程とは打って変わって情報を買うと言い出す。本当に女はよくわからない。


「まあ待て。その情報は後回しだ、まずはジャンヌの持っている情報を公開してもらおうか」

ここぞとばかりに仕切りだす。ディラルクさんの顔には笑顔という表情が浮かんでいた。それ程仕切りたかったんだろうか。謎である。


「・・わかりましたわ、情報は公開しますわ」

そう言って俺たちに回した。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――

四年生部門


前優勝者 レイン・セブンスター


・使用武器は片手剣の二刀流。

・戦法は己の俊敏さを活かしたラン&アタック。

・腰回りに仕込んだナイフを時折飛ばしてくる。

・片手剣は名工が鍛えた名剣であり、金額に換算するととんでもない金額になる。



一年生部門


注目選手 ミラ


・圧倒的魔法力の高い魔法で相手を蹴散らす。

・使用武器は恐らく強力な魔導書。

・あらゆる魔法を跳ね飛ばす。



二年生部門


要注意選手 ビリーヴ


・魔法属性は『木』と『闇』。

・得意魔法は『木』の巨大な魔剣と『闇』の巨兵を組み合わせた彼女だけのオリジナル魔法。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――


聞かされた生徒たちの部門の中に俺が代表の一年生部門の生徒についての情報も入っていた。

(ミラか・・・当たりそうだな、警戒はしておこう)

そう思っているとジャンヌが一言。


「これがワタクシの持っている全ての情報ですわ」

そう言って終わらせた。そして順番的にはビジットさんの番である。


「よし、俺は割と簡潔に纏めたぞ」

そう言ってジャンヌと同じような紙を配った。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――

四年生部門


前優勝者 カトリーヌ


・レイピアを好んで使う。

・魔法属性は『光』

・主に使う戦法は『光魔法』で目潰しをしつつ敵の背後に回り込み、めった刺しにする。



前三位 ミラージュ


・一年生部門の注目選手『ミラ』と姉妹。

・世にも珍しい『鏡』属性魔法の使い手。

・戦術は様々。

軍師(ザ・ミルタリア)とも呼ばれている。



三年生部門


前優勝者 コルテッド・ミヤリ―


・固有スキルを持っていて、『高速詠唱』という。

・『高速詠唱』とはその名の通り詠唱を高速化することが可能。

・戦術は『高速詠唱』によって高速化した魔法を至近距離からぶっ放す。



初出場要注意選手 リアス・メアリー


・使用武器は弓。

・使う戦術は遠距離から中距離の範囲で様々。



一年生部門


要注意選手 メモリア・リッパ―


・暗殺術を得意とし、耐久試合を得意とする。(たま)に短期戦となる。

・魔法属性は恐らく『暗黒』。

・影魔法を戦略に多く取り組む。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


(リッパ―・・・『ジャック・ザ・リッパ―』かよ)

『メモリア・リッパ―』という人物の記述を黙読していると不意に視線を感じた。俺は紙から視線を上げると全員の視線が集中していた。俺が首を傾げるとジャンヌが答えてくれた。


「何故注目してるのかって顔ですわね。答えて差し上げますわ」

と丁寧に語りだした。


「漆黒の死神――貴方の様な有名人がある一定の人物の記述をジッと見ているんですもの、誰だって注目しますわ。そしてこれを気付いているのはワタクシだけですけど貴方・・『ジャック・ザ・リッパ―』と親戚と考えてるようですけど、全くもってナンセンスですわよ」

と先程まで考えていた筋書きが真っ向から否定された。そして俺は混乱した。


「あれ?『ジャック・ザ・リッパ―』っていう名前じゃなかったっけ?」

「いいえ、違いますわ。『ジャック・ザ・リッパ―』とは『切り裂きジャック』と日本語では訳しますわ。そして『ジャック』とは名前ではなく日本でいう『名無しの権兵衛』のように英語圏で呼び方の定まっていない男性を示す言葉ですわ。なので『ジャック』という名前ではないのですわ!」

(大変良く出来ました。)

俺は心の中で賛賞する。


「なるほどどうもありがとう」

取り敢えずお礼を言っておく。すると今までずっと黙り込んでいたディラルクさん(もとい)、ディラルク先輩が口を開く。


「次は俺の番だ」

そして紙を配る。紙を配るのは暗黙の了解なのだろうか、と思うほどに使われる紙。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――

一年生部門


ミアリード・ミルスフィア


・剣術と兵術に絶対的なセンスを持っており、裏では名将と呼ばれている。

・使用武器は基本的に氷昌剣(フローズン=ソード)という名剣を扱う。

・魔法属性は氷昌剣を扱っていることから『水』または『氷』である可能性が高い。



マリア


・レイピアと剣の二刀流。

・戦術はヒット&アウェイ。



バリス


・槍の使い手。

・長いリーチをうまく活用し中距離攻撃がかなり厄介。

・ずば抜けた反射神経と思考速度で同時攻撃ともいえる攻撃を繰り出してくる。



二年生部門


バリー


・片手剣と盾を使う。

・西洋剣術と東洋剣術を織り交ぜた攻撃をして来る。

・カウンターがうまく、隙を作ると一瞬で攻め込まれる。



三年生部門


マリー


・複数のナイフを使用する。

・ナイフの刀身には協力な麻痺毒が塗ってあり、掠るだけで掠った部位が麻痺する。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


以上。ディラルク先輩の情報をまとめた紙には一年生部門の選手が多く、俺を気遣ってくれているのが分かる。本当に有難(ありがた)い。


そして作戦や戦術を一緒に考える。あっという間に時は過ぎていった。



 ☆ ☆ ☆



「さて、そろそろ時間だ。ではこれにて解散とする。」

ビジット先輩はそう告げ、椅子から立ち、部屋を出て行った。お次はセドリアが立ち上がり、ジャンヌに薔薇(バラ)を手渡し去って行った。そしてまたセドリアに薔薇を手渡された時のジャンヌの顔の引きつり方は酷かった。それはさて置き、最後はディラルク先輩だ。先輩は俺達に一礼すると部屋を出て行った。そして俺とジャンヌだけがこの部屋に残った。静寂だけが数秒間この部屋に流れる。その静寂を破ったのはカチャン、というジャンヌの置いたカップの音だった。そして数コンマ後ジャンヌが口を開く。


「貴方は日本の何処の出身なんですの?」

その問いに俺は一瞬口籠り、そして伝える。


「ああ、俺の出身は宮崎県だ」

するとジャンヌは俺の言葉に食いついた。


「あの鵜戸神宮がある県ですの!?」

「お、おう」

俺はその食いつきの良さに一瞬たじろいだ。


「高校の名前は!?」

神都見(しんとみ)高校ってとこだな」

「あの頭の良いエリートだけが通える高校ですの!?」

「そうなのか?そんなに頭良くなくても十分通えるが・・・」

「と言う事はワタクシと貴方の居た時間軸が違うのかもしれないですわね・・」

ジャンヌは顎に手を添え、考える素振りを見せる。

(なるほど、モテルわけだ)

と考える時の仕草も魅力的である。だが俺は揺れない。何故ならずっと想っている妻がいるのだから・・・――。

そうして俺の世界とジャンヌの世界の違いを数えていったのだった――。


そして夜は更けていく・・・・――。



ギリギリで書き上げた話になります。流石に毎日投稿はできませんが、これからもこの『魔剣使いの最凶冥王―ワールドアブソリュート―』をよろしくお願いします。

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