第29話 むかしのきおく
この話は昔の記憶ということで1500文字と短いです。
俺は昔、一人ボッチだった。何をするにも常に一人。友達――それ所か話相手すら居なかった。その日までは――。
「ねぇ、一緒に遊ばない?」
机に突っ伏していた僕に話し掛けてくる女の子が居た。僕は女の子みたいな声を出しながら後ろに倒れた。
「いてて・・・・」
僕が体上がろうとするとその女の子が手を差し伸べてくれた。
「大丈夫?」
そう言って。僕はこの日から彼女と共に遊び、学んだ。そして僕はある一つの目標を立てた。それは――
「ひびきちゃん。僕が君を守るからね」
そう響ちゃんに言うと響ちゃんは太陽の様な笑みを浮かべると。
「うん。ふうまくん、ありがとう」
そう言ったのだった――。
☆ ☆ ☆
―数年後―
「なあ楓真よ」
机に向かい、課題をやっていると背後から親父に話し掛けられる。俺は機嫌の悪そうな表情を浮かべながら鬱陶しそうに返事を返す。
「なんだよ親父、何か用か?」
「ああ、実はな、お前に家業を継いでほしくてな」
「だからさ、俺は――」
「最後まで話を聞きなさい」
有無を言わさない口調で威圧する。俺は舌打ちをし、訊く。
「で、詳細はよ」
「ああ、実はな、家業というのは国家機密の暗殺者一家なんだよ」
「・・・ッ」
俺は息を飲んだ。
(国家機密というと金をガッポガッポと稼げる仕事じゃないか!)
そう軽く思っていると親父の顔に影が差し、ある質問をしてくる。
「・・・お前・・人を殺せる覚悟はあるのか?」
そう、俺に訊いてきたのだ。俺はあの時その言葉を深く考えず頷いた。その言葉の意味を知るのはそれから数日後の事だった――。
☆ ☆ ☆
いつも居るリビングではなく親父の部屋、この家唯一の和室に呼び出され、今正座をして親父を待っている。そわそわしながら親父を待つ事数分。母親と話してきたであろう親父は俺の目の前に座ると意を決したように俺に話し掛けた。
「楓真よ・・お前に暗殺の依頼が来た。勿論お前が受けるかは自由だ・・選べ、どちらかを」
俺は返答するため口を開こうとするがそれを親父の声が遮った。
「楓真。今依頼内容をお前に伝える。依頼内容は――宮刀家次期当主。宮刀響を暗殺せよ――との事だ」
俺は目の前が真っ暗になった。その後俺が親父に何を言ったのか分からないが気付いた時には二振り愛刀が入った竹刀袋を抱え、家を飛び出していた。今俺が何処に向かっているのかは大体予想がついた。響の家だ――路地を曲がると正面に無駄にデカい家が視界に入る。
(よかった!まだ襲撃されてないみたいだ!)
宮刀家の門を叩くと中から響が顔を出す。俺はその事に安堵し、襲撃が来ることを伝えようと口を開いた瞬間――ジャリンッ、という澄んだ金属の音が俺の耳に届く。俺は反射的に竹刀袋の中から一振りの愛刀を引っ張り出す。そしてその人物を見た時俺の呼吸が一瞬止まった。そして絞るようにして出した声で呟いた。
「親父・・・ッ!」
親父は悲痛な顔で俺に突っ込んで来た。その瞬間俺は腰を落し、誰よりも長けていた抜刀術の構えを取り、俺の刀の範囲内へ入った瞬間目を血走らせ、愛刀を鞘から流れる様に抜刀し、斬った。刀の軌跡が親父の腕を切り落とした。親父の腕が落ちる瞬間背後で何かを断ち切った音が聞こえた。そして後ろを振り返ると――響の左腕が切り落とされ、腹を貫かれる瞬間だった。俺の目の前は真っ白になった。腹を貫いた刀が抜かれると響が俺に倒れてくる。俺はそれを優しく受け止めると涙を流す。
「響!響!響!!」
俺は響を必死に呼びかける。それに応えるかのように目を開け、そしてほほ笑んだ。
「楓・・真・・くん・・・ずっとずっと――」
その言葉を遮ったのは響の腹を刺した男だった。その男は――響の首を落とした。
「・・・え?」
そこには俺の気の抜けた声がこだました――。
~三章完~
はい、今回の話で終了でございます。えー、丁度良い区切りなので少々投稿を休みます。休む時間は三週間程です。理由はテスト期間やら別の物語を始める事です。勿論それが落ち着きましたら連載を再開しますので、お待ちください。ではまた三週間後に・・・!
別の物語はVRMMOです




