私は死んだのかもしれない。【side津々田ゆら】
ある日、私は、市川彩葉から呼び出された。それも、深夜に、だ。最初は断ろうとしたけれど、結局行くことにした。そこに理由などない。これは、ただのほんの興味心だからだ。
呼び出された場所は、綺麗な海が見下ろせる、小さい、1本の橋だった。昔家族みんなで、よく来ていたところだ。でも、今となっては、それはただの1つの思い出に過ぎない。だって、私は、市川彩葉と入れ替わってしまったから。
ふと横を見ると、そこには、怖がっているような、でも、嬉しそうな表情で笑う、市川彩葉が見えた。
…怖かった。今まで、みたことのない、笑顔だった。その時、市川彩葉が、何かを喋った。
「…っしょに、…のう…。」
私は、よく聞こえなかったので、もう一度聞き返した。すると今度は、少し大きめの声で喋り出した。
「一緒に…、死のう!」
その瞬間、私の手を、ぎゅっと掴まれた。横を見ると、さっきと同じ笑顔をした市川彩葉が、こっちをみていた。
そして、もう一度強く手を引っ張られ、私たちは橋に身を乗り出すような体勢になった。
「…ねぇ…!こんなのもう、やめようよ!」
私は、市川彩葉に向かって、できる限りの力を込めて叫んだ。
…でも、もう遅かった。市川彩葉は、私の手を掴んで、海に向かって、引っ張ったのだ。そう。2人一緒に…。
そうして、私たちは、あっという間に、海の底に真っ逆さまに落ちていった…。




