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【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、学園で無自覚に無双する〜  作者: 茨木野
第14章

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245/250

245.



 闇の中を進む。

 聴覚を捨てたガイアスの世界は、静寂そのものだ。

 だが、今の彼にとって「音」は不要な情報でしかない。


 振動、殺気、空気の揺らぎ。

 それらが皮膚を叩く感覚だけで十分だ。


 ズズズズズ……。


 気配が膨れ上がる。

 先ほどの単眼悪魔グレムリンとは比較にならない数だ。


 百、いや二百か。

 奈落に巣食う魔物の群れが、新たな獲物――ガイアスを嗅ぎつけ、四方八方から包囲していた。


 以前の彼なら、絶望していただろう。

 視界の効かない暗闇で、数の暴力に晒される恐怖。

 どこから爪が飛んでくるか分からない不安。


 だが、今は違う。


(……遅い)


 ガイアスには「視」えている。

 奴らが筋肉を収縮させ、地面を蹴り、飛び掛かってくるまでのプロセスが。

 そして、その結果として描かれる数秒後の未来が。


 右後方から、狼型の魔物が三体。

 左前方から、大蝙蝠の編隊。

 頭上から、粘液を垂らす軟体生物。


 奴らはガイアスを「視」て、攻撃を仕掛けてくる。

 眼球という不完全な器官で彼を捉え、その情報をもとに脳が指令を出し、肉体を動かす。

 そのプロセスには、コンマ数秒のラグがある。


 対して、神眼を開いたガイアスは「未来」にいる。

 奴らが動こうと決断した時点で、彼の中では既に回避と反撃が終わっているのだ。


 ヒュンッ!


 ガイアスは半歩、右足を引く。

 直後、彼がさっきまで立っていた空間を、鋭利な爪が通り抜けた。


 ガイアスはそのまま、何も無い虚空へ向かって裏拳を放つ。


 ドゴォッ!


 そこには誰もいなかったはずだ。

 だが、彼が拳を置いたタイミングに合わせて、狼型の魔物が自ら顔面を突っ込んできた。

 まるで、当たりに来たかのように。


(次は左、角度30度、距離2メートル)


 思考すら置き去りにする速度で、神眼が情報を処理していく。

 ガイアスは舞うようにステップを踏み、最小限の動きで死角へ潜り込む。


 魔物同士が激突し、混乱する群れの中、彼は淡々と作業を進める。

 急所を貫き、首を折り、心臓を潰す。


 視覚に頼る魔物たちには、ガイアスの動きは残像にしか見えないだろう。

 いや、残像すら捉えられていないかもしれない。

 奴らが攻撃しているのは、数秒前の彼の「過去」だ。


「――――」


 声なき断末魔が積み重なっていく。

 数など関係ない。

 未来を掌握された時点で、奴らに勝ち目はなかったのだ。


 数分後。

 ガイアスの周囲には、動くものは何一つなくなっていた。

 屍の山が築かれているが、彼の身体には返り血ひとつ付着していない。


 血が飛ぶ軌道すら、視えていたからだ。


 ガイアスは自身の掌を見つめる。

 肉眼では見えない闇の中、しかし神眼は、その掌にある手相の一本一本までを鮮明に捉えていた。


(行ける。この力があれば……)


 ガイアスは拳を握りしめ、さらなる深淵へと足を踏み出した。

 目指すは地上。

 そして、邪竜帝の首だ。



【おしらせ】

※1/30(金)


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