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【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、学園で無自覚に無双する〜  作者: 茨木野
第14章

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244/250

244.



 邪竜帝への対抗手段を身につけるため、ガイアスは自ら奈落へと落ちた。

 視覚、聴覚、恐怖、執着。

 全てを捨て去ることで、ガイアスはさらに一段階、上の強さを手に入れた。


「これが……ボクの新しい力……」


 ガイアスの瞳は「神眼」と呼ばれるものだという。

 しかし、これまでの彼は、その真の使い方を理解していなかった。


 だが、全てを捨て、絶対的な暗闇に身を置くことで、ようやく掴んだ。

 この眼の正しい使い方、その取扱説明書マニュアルを。


 ガイアスの神眼は、過去・現在・未来、その三象を全て見通す。

 否、通す。


「ギシャシャシャーーーーーーー!」


 単眼悪魔グレムリンが襲いかかる。

 無論、聴覚を捨てたガイアスに、この叫び声は届いていない。


 ガイアスが捉えたのは、純粋な殺気。

 暗闇の中から突き刺さる、ドス黒い殺意の波動だ。

 それを「現在」として視る。


 続いて、その敵の情報を読み解く。

 そいつの「過去」に遡り、攻撃パターン、思考回路、筋肉の付き方から癖までを瞬時に解析。


 そこから導き出される、「未来」の行動を予測する。


 バッ!


 ガイアスは最小限の動きで屈み込み、頭上を通過する爪を回避。

 そのまま流れるように、敵の懐へ掌底を叩き込んだ。


 この三つのプロセスを、ガイアスは刹那の間に行った。

 肉体の眼を使わず、神眼という概念を使って。


 ガイアスは純粋な人間すぎた。

 だから「何かを視る」時、無意識に「眼球」を使おうとしてしまっていた。その常識こそが、神眼の発動を妨げるかせだったのだ。


 肉眼と神眼は、全くの別物。

 神眼を使って、風景を視てはいけない。

 だが、人間である以上、視覚に頼ってしまう。「眼で視る以外、できない」。そう無意識に自分を限定させてしまっていた。


 その結果、神眼という高次元の器官を、ただの高性能なレンズとしてしか使えていなかったのだ。


 この奈落で、視覚すらも捨て去ったことで、ようやく掴んだのである。

 神眼の、真の使い方。

 神眼を通して見る、世界の真理を。


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