244.
邪竜帝への対抗手段を身につけるため、ガイアスは自ら奈落へと落ちた。
視覚、聴覚、恐怖、執着。
全てを捨て去ることで、ガイアスはさらに一段階、上の強さを手に入れた。
「これが……ボクの新しい力……」
ガイアスの瞳は「神眼」と呼ばれるものだという。
しかし、これまでの彼は、その真の使い方を理解していなかった。
だが、全てを捨て、絶対的な暗闇に身を置くことで、ようやく掴んだ。
この眼の正しい使い方、その取扱説明書を。
ガイアスの神眼は、過去・現在・未来、その三象を全て見通す。
否、視通す。
「ギシャシャシャーーーーーーー!」
単眼悪魔が襲いかかる。
無論、聴覚を捨てたガイアスに、この叫び声は届いていない。
ガイアスが捉えたのは、純粋な殺気。
暗闇の中から突き刺さる、ドス黒い殺意の波動だ。
それを「現在」として視る。
続いて、その敵の情報を読み解く。
そいつの「過去」に遡り、攻撃パターン、思考回路、筋肉の付き方から癖までを瞬時に解析。
そこから導き出される、「未来」の行動を予測する。
バッ!
ガイアスは最小限の動きで屈み込み、頭上を通過する爪を回避。
そのまま流れるように、敵の懐へ掌底を叩き込んだ。
この三つのプロセスを、ガイアスは刹那の間に行った。
肉体の眼を使わず、神眼という概念を使って。
ガイアスは純粋な人間すぎた。
だから「何かを視る」時、無意識に「眼球」を使おうとしてしまっていた。その常識こそが、神眼の発動を妨げる枷だったのだ。
肉眼と神眼は、全くの別物。
神眼を使って、風景を視てはいけない。
だが、人間である以上、視覚に頼ってしまう。「眼で視る以外、できない」。そう無意識に自分を限定させてしまっていた。
その結果、神眼という高次元の器官を、ただの高性能なレンズとしてしか使えていなかったのだ。
この奈落で、視覚すらも捨て去ったことで、ようやく掴んだのである。
神眼の、真の使い方。
神眼を通して見る、世界の真理を。
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