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【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、学園で無自覚に無双する〜  作者: 茨木野
第11章

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142/250

142.勇者、ダンタリオンを転生させる



 天空の城の屋上にて。


 俺の腕の中で、死にゆこうとしていくダンタリオンを見下ろす。


「約束を果たすって……どういうことなの、ユリウスくん?」


 王立のメンバー・エリーゼが涙目で俺を見上げてくる。


 俺は彼女の頭をなでていう。


「ダンタリオンを生まれ変わらせる、今ここで」


「悪魔を……転生させる、ということですか? 無茶……です」


「そういうことだ」


 ダンタリオンは目を丸くして、首を振る。

「無茶で……ございます。悪魔は……人間と異なり、魂が存在しません。魂をベースに肉体を回復させる蘇生魔法は使えません」


「知ってる。悪魔は【悪魔の力】を核にして、人間などの【器】を用いて作り上げるもの。悪魔の力も奪われ、肉体という器がこうして崩壊している以上、蘇生は不可能なのだろうな」


「では……どうするのですか?」


「え、蘇生は不可能だけど、生き返らせる方法、あるだろ?」


 俺は彼女を横たわらせる。


「【転生の秘術】を使う」


「!? そ、それって、魔王が使ったって言う、超高難易度の儀式魔法だよね?」


「ああ。それを今ここでやる。最短最速で」

 

 パンッ……! と胸の前で柏手を打つ。


 術式は頭の中で構築し、必要とされる膨大な量の魔力は、契約している魔王ヴェノムザードから拝借する。


『無茶じゃ、勇者よ』

「ヴェノムザード、どうしたよ?」


 俺が倒した魔王は、今俺と従魔契約している。


『わし生涯何度も試して、あの一度しか……成功しなかった秘術じゃぞ?」


「ああ。それがどうした。その一度をここで成功をさせれば良いだけの問題だろ」


「でも……」


 俺は笑って、ダンタリオンに言う。


「俺を信じてくれ。おまえを失いたくないんだ」


「…………わかりました。あなた様に、身を委ねます」


 それきり、彼女は何も言ってこなくなった。


「ユリウスくん……」

「大丈夫だ、問題ない」


 空気が振動する、体から凄い勢いで魔力が吸い取られていく。


 術式の複雑さに目をむく。


『一度見ただけで術式を理解するとは。見事じゃぞ、勇者よ』


 俺の体内にいる魔王が、驚嘆したように言う。


『しかし成功難易度は恐ろしく低いぞ』

「ゼロじゃないなら大丈夫さ」


 超高密度の魔法陣が展開する。

 莫大な量の魔力がダンタリオンに流れ込んでくる。


「転生の秘術のコツは、強い思いだ。それに術は答えてくれる。ダンタリオン、おまえは何を望む?」


「わたくしは……わたくしは!」


 ぎゅっ、とダンタリオンが強く目を閉じて、叫ぶ。


「皆さんと、ユリウス様と、ずっとずっと幸せに暮らしたい!」


 彼女の祈りが、術を完成させる。

 そうだ。あのときも俺は、平穏に暮らすことを強く望んだ。


 大魔法が発動する。

 それは青白い光の柱となって、天を貫いた。


 まばゆい光がいつまでも周囲を照らし、しかしフッ……と唐突に消える。


 その場には、何も残っていなかった。


「そんな……儀式は、失敗だったの?」

『勇者の時のように、別の時間軸に飛んだ可能性もあるのぅ』


「いや、問題ねえよ。ほら」


 俺は空を見上げる。

 遙か上空から、誰かがゆっくりと降りてくる。


 それは、美の化身とも思えるほど、美しい少女だった。


 高い身長、艶やかな黒髪に、白い肌。


 起伏に富んだ胸と尻は、まるで彫刻のようだ。


「ダンタリオンさん!」


 裸身の彼女が、ゆっくりと降りてくる。

 俺は真下で受け止めて、創生魔法で毛布を作り出し、彼女の体にかける。


「………………え?」

「よっ、おはようさん」


 俺の胸の中で、彼女が目を覚ます。


「うそ……わたくし……生きてるの、ですか?」

「おうよ。生まれ変わったみたいだな。どうやら人間に。そう望んだのか?」


 じわ……とダンタリオンが目に涙をためる。


「はい……わたくし……あなた様と、一緒に、人間として……いたいと。あなた様の……子供を……産みたいと……」


「悪魔と人間の間には子供が生まれないからな……【基本的】に」


 俺はダンタリオンの涙を、指で拭ってやる。


「ちゃんと約束守ってくれよな」

「え……?」


「生まれ変わったら、嫁にしてくれって、おまえ言ってたろ?」

「あ……」


 かぁ、と彼女が頬を赤くする。


「でも……あれは……」

「なんだ、嘘だったのか?」


 ぎゅっ、とダンタリオンは唇をかんで、ふるふると首を振る。


「わたくしを……お嫁さんに、してくれますか?」


 潤んだ目で、不安げな表情になっていた彼女に俺は笑いかける。


「おう、うちに来い」


 彼女は花が咲いたように笑うと、大きくうなずいた。


「はいっ!」

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― 新着の感想 ―
正統派ヒロイン爆誕
[良い点] おもろい [気になる点] 新キャラ出すぎて魔王全く出てこなくなっちゃったのがなぁ〜
[一言] 基本的にって言葉は伏線ですかね笑
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