三話 [完結したいジョーカー部]
「うぃー、じゃ、部活始めるよー」
『おー』
「『おー↓』じゃないですよ!? ほら、ちゃんと始めましょうよっ!!」
部長も、美智も冬美ちゃんも完全に意気消沈気味で始まってしまったジョーカー部。
一体何が起きたんだというレベルのこの惨状。冬美ちゃんはGL本じゃなくて普通の小説を読んでいる。
部長に至ってはなんと珍しく数学の宿題をする始末。
副部長の美智は古代エジプト語で広辞苑を作成している。
「ちょっとちょっと!! 何が起きたんですかっ!! 美智まで!!」
「あぁもう赤司うるさいなぁ。数学の宿題の邪魔だよっ!!」
「あぁ、すいませんでした…………じゃないですよっ!! なんで俺が謝ってるんすかっ!! 宿題は家でやりなさいっ!!!」
「おいおい、一体どうしたんだ拓。なんか今日変だぞ? あ、そういえば昨日のちょっこん事件なんだけどな………」
「ちょっこん事件って何だよっ!! つか変なのはお前たちだろう!! 冬美ちゃんもなんとか言ってよっ!!」
もう最終兵器だ。このジョーカー部の中で限られた同士、冬美ちゃんの助けを乞う事にした。
「ほへっ!? ま、まぁ、今日の先輩は変だと思うです…………」
「えぇっ!? 変だと思われてるの俺だけっ!? いやいやじゃなくて、何か皆元気が少なそうだなぁというか………」
明らかに皆が元気が無いのは目に見えている。普段だったら此処で部長が叫び通すし、美智も暴走しているはずだ。
おかしい。
「あー、そうそう。赤司、宿題やっといてー」
「何で俺だけ毎回アウェーなんですかねぇ!? 自分でやりなさい部長!!」
「えぇー。んじゃあ、ご褒美にちゅーしてあげるよ」
「この不肖赤司 拓、全身全霊を持って宿題をこなして差し上げます」
「あぁっ!? 先輩先輩っ!? 誘惑に負けちゃダメですよぉ、戻って来てください~!!!」
俺が宿題をしようと手にペンを握り締めた瞬間、冬美ちゃんが引き剥がしてくれた。
ふぅ危ない。毎回たすけられてばっかりだな。
「ちぇっ、もう少しだったのにぃー!!」
「最初からちゅーなんてする気も無かったでしょう!? 危ない危ない」
「それに引っ掛かる先輩も先輩だと思うんですケド」
後ろでまた冬美ちゃんが言ってるが無視だ。男子は皆そういう物なんだよっ!!
ここでふと思い出した様に部長が切り出した。
「あ、そうだっ!! 私今日、良いもの持って来てるんだよね~♪」
あぁ、嫌な気しかしない。
部長が意気揚々に鞄の中に手を突っ込む。一応学校指定のバックだが、サイズは結構様々。部長が使ってるのは、特に大きい特大サイズ。
まよい○イマイか。
「むっ!? 今誰私の事まよいマイ○イって思ったの!? さっさと出て来なさいっ!!」
自分でも思ってるのかよっ!!
そこで部長が何かを掴んだらしく、奥底から引っ張る。俺達はそれに釣られて奥に目をやる。
鞄の奥深くから出てきたそれは、今回の大惨事、[ひのきラグナロク]の元凶だった。
「トランプじゃないですか。今日はこれで遊ぶんですか?」
「そうよ赤司。今日はトランプを用いて皆で遊ぶとするの!! 最近体育祭とかで忙しくて遊べなかったからねー」
「バリバリ部屋でくつろいでろくに仕事もせずポッ○ー食べてた人は誰でしたっけ?」
「……………むぅ。○ッキーは悪くないもん!! 悪いのは色々くれる購買のおばちゃんだー!!」
「部長さん。それは責任転嫁って奴だぜ? つーか、結構貰ってるよな、お菓子とか」
「あー、そうですね。まだ色々食べきれて無いですし…………」
実は毎回部長は購買のおばちゃんに何かしらを貰ってるらしく、現状として棚を一つ分使ってる状況。
内容は知らないが、結構大量だ。
「うーん、今日はトランプで遊びたい所だけど、お菓子とかの賞味期限もあるし、早めに整理したいしね。今日はお菓子整理ー!! 皆行くよー!!」
『おー!!』
ようやく部活らしい事を始めた…………と思っていた時期は俺にもありました。
「部長さん!! この箱物凄い大きいんですけど、何が入ってるんですか………お、お姉ちゃん、これ持って………」
「任せろ冬美。うわっ、結構重たいな………どれどれ。…………なんだ、参十伍式新型バルカン固定砲台か」
『!?』
「うわっ!? 拓どうしたっ!! 部長さんも!? え? あぁこれ。参十伍式新型バルカン」
『分かったからしまえ』
「(´・ω・`)」
こんな展開が起きている始末。最早今のジョーカー部は凄い事になっている。ツッコミを踏まえ、ダイジェストとして紹介してみよう。
「この箱も結構大きいですね…………お姉ちゃん、ちょっと開けてー」
「分かった。どれどれ……………」
『ごくり』
「十字架とニンニク………」
『意味が分からん!!!』
「えーと、あ、これお菓子の箱に入ってるからお菓子とかかな? 赤司、これお願い」
「はーい…………うわっ!?」
「ど、どうしたのっ!? うわぁ、なにこれぇ………!!」
箱を開けた途端、白い煙に俺達は襲われた。浦島太郎か。
だが数秒経つと煙は消え、中身を確認する。中には黒光りした鋼の塊が入っていた。そう、簡単に言えば。
「リボルバー……………と銀の弾丸……!!」
『だから何と戦うんですかっ!?』
遂に最後。もう既に日は沈み、外は真っ暗闇。おそらく二時間以上は経っている筈だろう。
「遂に最後になっちゃったね、皆」
「まさかここでGL本が………じゅるり」
「まずその展開は有り得ないけどね」
「じゃぁ、取り敢えず[じょ~か~部!]第一巻で」
「うわーい、レーベル大号泣だぁ」
「あーもう!! 赤司は黙ってて!! プレイステー○ョン5が出るまで!!」
「いつまでっ!?」
遂に部長が痺れを切らしてご立腹だ。部長が恐る恐るその閉ざされた小箱の蓋を開ける。そこには――――
「…………これって、中学時代の私の写真じゃない………何で入ってるの?」
次回へ続く。
ちょらっす、音韻です。完結しませんでした(汗)大問題です。日常系小説としては。次回は一応部長の過去について。それでは。