〜恋雨(23)〜嘲笑の神と艶笑の神
遅れすぎて遅れすぎて申し訳ありません!
更新……遅すぎですね。おおおおお。
肝に銘じておきます。あわわわわわ。
ーーお知らせ(1)ーー
すみません、大切な話です。
【キスから始まる物理系女神様の世界更生伝説】(旧題:雨降らせ、平成少女)の更新日をこの度、変更することに成りました。
更新は、毎週木曜日&土曜日です。金曜日の更新が木曜日になっただけです。
木曜日更新なら、更新しやすくなります。私的に!
あらためて、よろしくお願いします!
「……お前を八つ裂きにする。だが、その前にお前から吐き出させなくてはならない事があったな」
制御できない殺気を周囲に充満させながら、樹峯は忌々しそうに口を開いた。
「お前はなぜ、堕落神という汚れた神でありながらあの神聖な森へ侵入することができた?」
「さあな。お前に話すことなど何もない」
素っ気なく返答した闇神に、樹峯はわずかに眉を寄せた。
「はぐらかすな。ーーお前はかの地に封じられていたはずだ。あの地は、時神でも介入する事がかなわない。誰の協力があった?」
暗さの滲んだ声でそう言い紡いだ樹峯に、闇神は嘲るような様子を見せた。
細く大きな片手を自身の額に押しあてる。そして、何もかもが億劫だと言わんばかりに気の抜けた溜息をつく。
「言っただろう?お前に話す事など何もないとな」
「ーーそうか。ならお前はもう必要ない」
本当の目的は、美耶の奪還だからな。
そう言って、闇神の後ろで、今にも殺し合いそうな二神にはらはらしながら現状を必死に見分けようとする美耶を含みのある目で一瞥した。
「ーー美耶を無理やり従神にしたことは知っている。許しがたい事だ。至上の女神を堕落神ごときが縛るなど」
穏やかな口調なのに、その微笑みは先刻までの優しい樹峯を消す歪んだ感情を感じさせた。
「お前ごときが美耶を拘束するなどおぞましすぎて吐き気がする。その役目は俺のものなのに」
背筋を凍らせる言葉が発せられると同時に、樹峯の整った穏やかな顔に嗜虐的な笑みが刻まれた。
「ーー吐き気がするのはこっちのほうだ。気持ち悪いくらいの執着心だな。美耶にそんな奴と知られて嫌われるんじゃないのか?」
と、樹峯を罵った闇神は美耶を抱きよせ、ひっ、と体を萎縮させた彼女の右頬に軽く口付けた。
刹那、薄暗い煙が漂う宙を銀閃が切り裂いた。そして、辺りの木々が豊かに生い茂っていた葉を枯らし、茶色を通り越してどす黒い色一色に染まったそれらが闇神に襲いかかった。
「ーーすぐに頭に血がのぼるのはお前の悪いところだ。お前も何千年と生きんているんだ。少しは自重したらどうだ?」
鋭い刃を右手一つで受けとめた闇神は嘲笑を浮かべたまま呆れ声を放ち、その剣の柄を拳で叩き落とす。次々と襲ってきた木々へ灰色の目を眇め、一瞬で指先を弧を描くかのように動かした途端、木々が爆発し跡形もなく消えた。
(な……っ!!)
凄まじい威力だった。
闇神がその力を振るったことで、闇神と美耶の足場以外の地面がえぐられ、あんなに豊かに広がっていた森も消滅していた。
視界にあるのは殺風景な大地だった。
「無駄な攻撃はやめるんだな。死にたくないだろう?」
「減らぬ口だ。ーー今回は前のようにはいかない」
殺意を滲ませた樹峯は美耶を一度その新緑の目で捕らえ、形の良い口許を甘く歪ませた。
そして。
ーー待っていろ、美耶。
音を発さずに、樹峯の唇がそう動いた。
「!?」
不意打ちだった。
優しいーーそれでいてどこか歪んだ感情を思わせる微笑みのもとで放たれた言葉だったのに、心臓が一度だけ高鳴ってしまった。
そんな美耶を、冷ややかな目をした闇神が見下ろしているとも知らずに。
樹峯は次の瞬間、背筋が凍るような冷酷な表情を浮かべた。
そして、どこか妖艶に嗤った。
「ーーこい、炎神」




