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22 スキルの使い方

「これと融合してみよ」

先ほど出かけたゼノンが帰ってきた。ゼノンに手には狼人間や大きな亀、その他多種多様の魔物の死体を持って帰ってきた。そして俺の目の前に色々な魔物の死体が並べられる。

「何これ?」

自分の目の前に並べられる魔物の死体に若干引きながら一真は質問した。

「これか?右から、パイア、エアレー、ソリッドタートル、ウルフマン、ケルピー」

右から大きな猪、馬ほどの大きさで頭に二対の曲がった角がある、普通の亀より何倍も大きさがある亀、全身黒い毛むくじゃらで狼人間みたいな魔物。足の構造を見る限り、二足歩行も四足歩行も出来るみたいだ。最後は馬の上半身に魚の尾ヒレだ。死体の様子から先ほど前生きていたことが分かる。

「ゆ、融合ってどうやるの?」

「体のどこかで魔物に触れる。後は何となく分かる」

ゼノンの説明になってない説明を聞いて、一真は取り敢えず触ってみることにした。

「無理、生理的に無理」

一真は生暖かく、だが生気がない物に触ることに嫌悪を感じて触り続けることが出来なかった。

「はぁ~、そこのソリッドタートルにしたらどうだ?甲羅なら触れるだろう?それにその甲羅は私でも破壊出来ない最強の盾と言っても過言ではない」

ゼノンが呆れて、ため息をついたが、甲羅なら触れるだろうと思い提案した。

「亀の甲羅なら大丈夫かも。……最強の盾ね」

一真は最強の盾と言う言葉の魅惑に負けて、ソリッドタートルの甲羅に触った。生物特有の生暖かさは無く、陶器みたいに冷たかったから、触っていても嫌悪は感じることは無かった。一真は亀の甲羅に触ること10秒。自分の手とソリッドタートルの甲羅が馴染んでくるのを感じる。それを感じると手のひらにソリッドタートルの甲羅が吸い込まれる。そこにあったはずの甲羅が無くなり、ソリッドタートルの中身が残される。甲羅の中に入っていた内蔵が周りに崩れでる。一真が思わず口を塞いで、吐き気を堪えた。

「おお、勿体無い。これはここが美味しいのだ」

ゼノンがそう言うとソリッドタートルの内蔵を食らう。一真は目を逸らして見なかったことにした。

「これからどうすれば良い?」

「それで自分の体に一部なった。自分でどうにかするしかない」

一真は自分の手のひらや背中の骨を動かすような仕草をして、どうにかしようとして、亀の甲羅を動かそうとする。


「最強の盾って言っていたけど、どうやってこいつ倒したの?甲羅が硬いんでしょう、それにそれなら装備にする目的で乱獲されそうだけど……」


ビリビリ!


服が破けて背中から甲羅が出てくる。その途端一真の背中に思いっきり重さが掛かり、ひっくり返ってしまう。

「重い、すごく重いんだけど」

一真は甲羅を背中に背負ったため起き上がれなくなってしまう。甲羅がすごく重いのだ。

「甲羅が重い上に固くて加工出来ない装備に使えない。そして亀はタカサカみたいにひっくり返してしまえば食べることは容易い。お腹は柔らかいからな」

ゼノンがソリッドタートルの内蔵を食べながら答える。一真は手足をバタつかせて、甲羅を自分の体の中に戻す。まだ上手く出し入れが出来ない。一真は立ち上がると破けた服を脱いで、服の状態を確かめた。

「これはもう着れないな」

背中の中心から裂けていた。騎士団に暴行を受けて傷んでいたのも原因だろう。一真は上半身裸になってしまった。一真は破けた服を捨てて、もう一度甲羅を出そうとすると、今度は手の平から甲羅が出現する。

「オワット!」

ドンッ!

甲羅の重さで地面に少しめり込んだ。

「逆向きだな」

ゼノンの言う通り、甲羅の内側が外に向いている。一真はもう一度体の中に戻して、外に出す。今度はしっかりと甲羅が外側に向く。手のひらが甲羅と一体化している。

「お、重い。両手でも持ち上がらない」

一真は甲羅と一体化している手ともう片方の手で甲羅を持ち上げようとするが、びくともしなかった。

「使い物にならないな」

「いや、持ち上げられないだけで、遮蔽物ぐらいには出来る」

一真は甲羅を体の中に戻す。体の中に戻した。体の中に戻す。体の中戻すと同時に重さも無くなった。

「その甲羅を動かせるように、筋肉があるウルフマンを取り込んでみろ」

「触るの嫌だ」

「両腕だけでも取り込め!せっかく我が持ってきたのだ」

「…その内取り込む」

一真は取り敢えず逃げることにした。正直生気のないのに生暖かいあの感じが耐えられなかった。

「そんなことより服無い?上半身だけいいんだけど」

ゼノンにそう言うと大きな体を動かして、一真に背中を見せてゴソゴソしている。それを見たら上から何かが振ってくる。

「何これ?」

「我のお宝の中にあったフード付きのローブだ。全身を覆ってくれるから暖かいぞ」

一真は受け取った服を広げた。俗に言う黒い魔法使いのようなローブだ。一真はそれに袖を通してローブを着た。

「軽い、何で出来てるの?」

「アラクネと言う魔物の糸で出来ている。非常に高価なものだ、大事に扱え」

「ふ~ん」

一真に渡されたローブはそれ一つで立派な家一つぐらい買えるのだが、一真は知らない。

「これからどうする?」

「強くなりたいんだけど、一番いいのは魔王を倒せるくらい強くなることですけど、最低でも日常生活を送るぐらいの金を稼げるくらいにはなりたい」

「ちゃんと質問答えられなかった代わりだ。我が適当に魔物を持ってこよう。そして知識を与えよう。タカサカの気が済んだら出ていけばいい」

「頼むよ」

一真は渡りに船だったの頼むことにした。一真の強さは合体した魔物に依存しそうだったので、これで一気に強くなれるだろう。

「ウルフマンとかがどうする?」

「今は無理だ」

「そうか……腐った者を合体したら悪影響出るかもしれないから使わないほうがいいぞ」

ゼノンはそう言うと一真の前に並べられた魔物をぺろりと平らげた。

「我はまだ腹が減っているから、外で食べてくる」

ゼノンはそう言うとノシノシと洞窟の外に出ていき、空を飛んでいった。一真は特に何もすることが無いので、もう一眠りすることにした。



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