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パルクール・サバイバー  作者: 桜崎あかり
第2部

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第24話:ランカー王決定戦―ラウンド3―

・一部補足(午前11時付)

決勝後は西新井を予定していたが~⇒予選終了後はランカー王決定戦の会場を西新井と予定していたが~


>更新履歴

2015年5月9日午後9時51分付:一部、行間調整。本編内容に変更はありません。


バージョンとしては1.5扱いでお願いします。

 決戦当日の5月28日午前9時、予選終了後はランカー王決定戦の会場を西新井と予定していたが、一連の騒動もあって草加駅東口をスタートラインに設定したトラック3周に変更された。


 コースとしては稲荷三丁目の信号を右折後に直線コース、八幡小前信号を右折して直線、吉町五の信号を右折、その後に駅入口の信号でチェックポイントとなるトラック形式である。


 トラックコースを大幅にはみ出すようなエリアオーバーと判断されるコース以外は自由だが、飛行能力によるショートカットは禁止。3周後は駅入口信号を右折せず、草加駅に入ってゴールという仕組みである。


 ゴール方法は別のハウスルール等で採用されていたが、今回のランカー王では正式採用されている事に周囲は驚いているようでもあった。


「コースの変更は一部勢力の不正対策も兼ねていると聞いていたが、場所その物を変えるとは―」


「警察も色々と動いている以上、それを妨害する訳にもいかないだろう」


「しかし、他の会場ではパブリックビューイングが行われるようだ。これならば、大規模移動をしなくて済むだろうな」


「ランカー王は色々な意味でも神の様な扱いを受けるケースもある。経済効果も期待でき、その規模は1回のレースで1億以上と言われている」


「まるで、イースポーツだな。最近になって、格闘ゲーム等でも賞金が出る大会が行われるようになったという」


「パルクール・サバイバーも将来的には、イースポーツの様になって行くと?」


 前日が西新井だっただけに当日のコース変更の反応はさまざまである。それでも、選手たちには前日の内に告知されており、実際に知らされていなかったのは観客だけらしい。


 同日午前9時10分、草加駅近くのアンテナショップ、そこで損傷の激しいオレンジ色のランニングガジェットを奥のエリアで発見した。


「このガジェットは、もしかして―」


 調整完了したガジェットを受け取る予定だった蒼空かなで、既にノーマルスーツを装着した状態で準備を行う。その合間にオレンジ色を発見したのだ。


「察しの通りだ。あのガジェットは昨日になって運ばれて来たものだ」


 この損傷では修復が絶望的な事に加え、パーツを変えたとしても本来の機動力を得られるか怪しい所。修復率は70%程で何とか動かせる範囲まで。レースを行うには無謀という言葉しか見当たらない。


 このガジェットに関しては、発見したのは別の提督、それを途中まで運んできたのも使用者本人ではなく、更に別の提督だったのだ。


 5月27日午後8時、アンテナショップに1本の電話が入る。


『大至急、見てもらいたい物がある。スタッフを何人か、こちらへ―』


 電話の主は武内提督なのだが、何故に彼が草加市へ来ていたのかは不明であり、その真相は―。


 午後8時5分、現場へ到着したスタッフが見た物、それは花江提督の使用しているスレイプニール。しかも、その損傷レベルは大破と言っても過言ではない程である。


「これは見事に―」


 現場を見た男性スタッフもさじを投げる程の損傷レベル、それは火を見るよりも明らかだった。そして、電話の主であるはずの武内提督も現場に姿がない。


「花江提督も乗っていないまま乗り捨てられ、報告をしていた提督もいない」


「もしかして、これは罠?」


 男性スタッフも何かの罠と言う事を疑う。しかし、罠であれば道中で襲撃する可能性、ガジェットを爆破と言う路線もある。その為、ガジェットの調査を行うのだが―。


「機体の損傷は激しいですが、内部ジェネレーター等は生きています。修理を行えば使用できます」


 この報告には驚きを隠せなかったが、損傷したガジェットをクレーンでコンテナへ移動、載せ終わった後にアンテナショップへと戻る。


 5月28日午前7時、ガジェットの修復は深夜にまで及んだ。致命的な損傷までは修復し、予備パーツで何とかできる部分は対応したが、メインフレーム等は破損したままだ。


「やっぱり、この機体の誕生経緯もあってかこれが限界か」


「誕生経緯って?」


 スレイプニールに関しては他のガジェットと異なり、誕生した経緯が他のガジェットとは異なる。元々が教習用ガジェットとして開発されていたからだ。


 後に花江提督が修理に出す予定だったガジェットを引き取り、一部の試作型パーツを装着、それにオレンジ色でカラーリングした物が現在のスレイプニールである。


「この機体を修理しようと考えたのが無謀だったという事か」


「しかし、この機体を修復出来れば――他のガジェットに技術転用が可能になる。あの機体能力さえ得られれば」


 スレイプニールの修復、それは他のARガジェット等に技術を応用、あるいは技術転用する為という目的があった。しかし、それでも完全修復には至っていない。


「お困りの様ですね」


 そこに姿を見せたのは、白服の提督である。彼の持ってきたコンテナには、スレイプニールと同型のガジェットが積まれている。これがあれば、何とかスレイプニールを修復出来るだろう。


「これを一体どこから―?」


 男性スタッフは提督に尋ねようとするが、彼の姿は既になかった。どうやら、別の場所に向かったらしい。


 同日午前9時15分、ガジェット修復は80%にまで到達している。他のガジェットの調整を行いつつ、手の空いているスタッフはスレイプニールの修復を行う。


 しかし、その形状はスレイプニールとは頭部や一部パーツ以外は完全に別物と化している。それでも、先ほどの大破状態よりもまともに動かせるまでになっているのは大きい。


「これに乗るべき人物は、どうするべきか」


 男性スタッフが悩んでいる中、姿を見せたのは白い提督服を着用した女性だった。しかも、この人物はある人物に似たような特徴を持っている事に蒼空は何か不信感を抱いている。


「私でよければ、そのガジェットを使ってもいい」


 そして、彼女はインナースーツなしでガジェットに乗り込むと、認証システムとなるタブレット端末をモニター中央の指定スペースに置く。


【NATSUKI AGANO】


 名前認証で表示されたのは、何と阿賀野菜月だったのである。これに関しては男性スタッフも確認済なのだが、彼らが彼女の行動を止めるような行動は起こさない。


「あの機体は、まさか―?」


 遠目で一連の動きを見ていたのは、ランカー王には出場できない松岡提督だった。今回はレースの様子だけでも見極めようと考えていたのだが、そこへ思わぬガジェットが出現した事で松岡提督は驚きを隠せない。


「スレイプニール。やはり、あの時の機体を回収していた提督がいたのか」


 既に別のアンテナショップでスレイプニール・セカンドの調整を行っていたのは、花江提督である。スレイプニールは前日にある勢力と交戦した事で機体は大破、乗り捨て同然で草加市内の廃工場へ隠していたのだが―。


「回収した提督は予測出来ないが、スレイプニールの修復依頼を頼む提督には心当たりがある」


 そして、花江提督はアカシックレコードから修復依頼をした提督のリストアップを行おうとするが、途中でエラーが発生してリストアップを行えない。


 原因はアカシックレコードへの過剰アクセス等ではなく、別の理由だ。どうやら、リストアップを行えないようにアカシックレコードへダミープログラムを仕込み、それを花江提督が掴んだ物と思われる。

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