非日常LIFE 助言
“だんだんとあたりが殺風景になってきたなぁ~”
さっきまで見ていた辺り一面が花畑だった風景が
嘘みたいだ。今僕は、何をしているかというと歩い
ている。ひたすら歩いている。遣委ちゃ
んに言われたとおりに、ただただひたすら歩いてい
る。もう何時間ぐらい歩いてるだろうか?そんな時
間すらわからなくなるくらい歩いている。
少し時間は遡るのだが、僕に遣委ち
ゃんが助言してくれた場面の話をしよう。
「助けるってどうやって?」
「簡単だ私の支持に従えばいいそれだけだ」
「じゃあはやくその支持をくれよ」
「よかろう。ではこの女神たる否、救世主たる私の
ありがたぁ~い助言をその耳にしかと焼き付ける
がよい」
なんか遣委ちゃんてめんどくさい奴だな。
「はいはい」
「ただすすめ。歩くのだ」
といって遣委ちゃんは僕に一枚の地図を取り出し
て僕に渡した。その地図を見てみると海沿いをひた
すらすすめと言わんばかりに海沿いに矢印が書かれ
ていた。シンプルすぎるその地図はどんな地図より
もわかりやすかった。それは同時に、本当に僕を助
ける気があるのかと疑わせるほどのシンプル否、適
当な地図だった。
「うん、わかったありがと」
僕はニコっと微笑みながら棒読みで言ってやった
。まぁ今は疑ってる暇なんてない。何か行動を起こ
さないと何も始まらない。とにかく今は遣委ちゃん
を信じよう。僕はわたされた地図の通りに歩くこと
にした。そして遣委ちゃんに背を向けて歩き出す。
歩き出そうとした時
「ちょいとおまち」
と遣委ちゃんが僕を止めた。そして僕は振り向い
てみる。
「いざという時のためにこれを持って行きなさい」
と言った遣委ちゃんの手には、何やら見覚えのあ
るメイド服とお札が載っていた。
「いらん」
「なぜだ?なぜだ?なぜだ?」
遣委ちゃんは不思議そうな顔をして聞いてくる。
「どっちとも絶対役にたちそうにないからにきまっ
てるだろうが」
「なんの根拠があってそんなことを言っているのだ
君は?」
「俺はメイド服を着たお札使いに散々な目にあわさ
れてきたんだよ。現に今の状況になったのもそい
つのせいだ」
「そうか。なら仕方がない。」
遣委ちゃんは残念そうな表情を浮かべる。
「そこは素直に引くんだな」
「だがもったいないことをしたな君は。あぁ~もっ
たいない残念だな可哀想に」
とくに興味はなかったが一応理由を聞いてみるこ
とにした。
「なんでだよ?」
「聞きたいか?聞きたいのか?どうしようかなぁ~
どうしようかなぁ~」
やっぱりこいつめんどくさい・・・。
「じゃあそろそろ行くわ。道草くってる暇なんてな
いんだからよ」
こんどこそ遣委ちゃんに背を向け海沿いに向かっ
て歩き出す。
するとまた遣委ちゃんが話しかけてきて僕を止め
た。無視をしてもよかったのだが、遣委ちゃんの声
が涙声だったので一応振り向くことにした。
「わかったよ。でその理由ってなんなんだよ?」
「えぇ~聞きたいの。どうしよっか・・・」
話途中だったが今度こそ無視して海沿いに歩き出
した。なんてめんどくさい小娘なんだめんどくさい
にもほどがある。
僕が歩き出してから後ろから「この先一生メイド
プレイできなぞ。ざまぁ~」と言う遣委ちゃんの声
が聞こえてきたような気がしたけどそんなの気にし
ない。かるく無視して歩く歩く歩く。ひたすら歩く。
でっ。今に至るわけでございます。




