非日常LIFE 銀行にて・・・
「四季殿、アイスが食べたいです」
千春の突然の思いつきに僕は当然のように答える。
「我慢しろ」
「嫌です」
「ずっとそう言ってろ」
「もぉ~なんでなんですか。そんなこと言うなら私泣きま
すよ。シャウトしますよ。グロウルしますよ。スクリー
ムしますよ。四季殿の鼓膜が破れるほどの大きさで」
千春は足をバタバタさせながら座り込んで小さな子供の
ようにごねる。
「それは是非ともやめてくれ」
「ならアイス買いに行きましょうよ」
「わかったよメンドクセーなぁ」
この時、僕の財布にはアイスを買うほどのお金が入って
いなかった。そういえば今月の小遣いはほとんど漫画や雑
誌に使ってしまっていたことを忘れていた。仕方ない銀行
にお金をおろしに行くか。しかしめんどくさいな。わざわ
ざアイスを買うためだけに銀行に行くなんて・・・。でも
鼓膜が破れなくてすむなら安いもんか。
「じゃあ銀行にお金おろしに行くぞ」
「はいっ」
千春は嬉しそうに満面の笑みを浮かべる。
銀行には僕の家から徒歩10分ほどでついた。自動ドアを
通って銀行内に入る。そして機械の前に行き1000円をおろ
した。そして銀行を後にする・・・ならよかったのだがこ
の日はついていなかった。
お金を無事に出し終えて、入ってきた時に通った自動ド
アに向かう。そして自動ドアの近くまでくると、自動ドア
の向こう側から人がこっちに向かってくるのがわかった。
まぁ、ここは銀行なのだから沢山の人がお金をおろしに
くるのは当然のことなのだが、僕はその人を見るなり嫌な
予感がした。そして急に体が震えだした。なぜなら、今こ
っちに向かってきている人は明らかに見た目や手に持って
いるものが普通ではなかったからっだ。赤いロングのTシャ
ツにオーバーオール。そして頭に赤い帽子をかぶっていた
のならどれだけよかっただろうか・・・。それなら、ただ
のコイン採集が趣味のおっさんですんだのに・・・。しか
し、そんな帽子はかぶっていなかった。その人がかぶって
いたのは目出し帽だった。真っ黒で漆黒色の目出し帽だっ
た。そして極めつけに、右手にシヨットガンを握りしめて
いた。もうこれだけ言えばお分かりだと思うが、そう多分
いや確実に銀行強盗だ。
体格的に多分その人は男だろう。背が高くて鍛えている
のかゴツゴツした体つきだった。案の定、僕の嫌な予感が
的中してしまったようで、その男は自動ドアを通りぬける
や否や右手に持っていたショットガンを天井にむけて発泡
した。その銃声を聞き銀行内には沢山の人の悲鳴が響き渡
る。最悪の展開だ・・・。




