非日常LIFE まさかの展開
銀行内はパニックになった人達が我先にと
言わんばかりに自動ドアに向かって走り出した。自動ドア
の前には銀行強盗が立っているのに、わずかな可能性を信
じて。そこで2回目の銃声が銀行内に鳴り響く。流石にパニ
ックになった人達は足を止め逃走を諦めたたようでバタバ
タと次々に地面に膝から崩れ落ちていく。その中には泣い
てる人もいれば、怯えて体が震えている人もいた。理性を
失って発狂し出す人もいた。そこに3回目の銃声が銀行内に
響き渡る。
「うるさい黙れ撃ち殺されたいのか」
男が大声をあげる。それから僕と千春を含め銀行内にい
た人達は男の誘導で受付の前に集められ座らされた。そし
て人質となった僕たち全員の携帯をとりあげた。それから
男は受付に座っている銀行員に銃口をむけ
「ここに金をありったけ詰めろ」
と大きなバックを差し出した。ベタな展開だ。どうせそ
のバックにお金を詰めさせたあとは逃走車両を用意しろと
か言うんだろ。警察から逃げ切れるわけないのに。日本の
警察舐めすぎだろ。そんなことを考えていると僕の耳元で
千春が小さな声で呟いた。よくよく考えたらあの男には千
春は見えていないはずなのに千春は僕の耳元に小声で耳打
ちしてきた。
「四季殿、私気づいちゃいました」
「何にだよ」
僕は男にバレないように小声で聞き返す。するとまた耳
元で千春が呟く。
「さっきあの人が天井に向けて撃った所を見てください」
そう言われて僕は天井を見る。しかしどこを探しても弾
が貫通した跡がない。
「もしかして!?」
「気づきましたか?そうですおそらくあの男が持っている
ショットガンの弾は空砲です」
「でかした千春」
そうとわかればこっちのもんだ。今僕に必要なのは少し
の勇気と覚悟だった。そして僕はそのどちらも手にして立
ち上がる。それに気づいた男は僕の方に銃口を向けてくる
。だが弾が空砲だとわかった今男が今こっちに向けている
ショットガンはただのオモチャに過ぎない。震えはとっく
に止まっていて恐怖すら感じない。むしろその男の姿が滑
稽にすら見える。そしては僕はその男に話し
かける。
「あんたさぁこんなバカな事やめて早く警察に自首しろよ
社会のクズが」
あえて挑発気味に言ってやった。前から一回言ってみた
かったんだよなぁこう言うかっこいい名言的な台詞。僕の
行動に他の人質になっている人達の視線が突き刺さる。
「はぁ?ボクぅ今君が置かれている状況がわかってそんな
こと言ってるわけ?」
「あぁわかってるとも。あんたのお遊びに付き合わされ
てることくらいなぁ」
「はぁ?君ってバカなの?」
「バカはあんただろ。そんなオモチャで銀行強盗なんて。
もうわかってるんだぜあんたが持ってるそのショットガ
ンの弾は空砲ってことはなぁ」
「くふっ・・くふっ・・ぶはっ・・ぶはははは」
男は急に大声で笑い出した。ドスの効いた笑い声。見下
したような笑い声。不快な気持ちになるのにそう時間はか
からなかった。
「何がおかしいんだよ?ついにおかしくなったのか?」
「いやぁ~バレちゃってたかぁ。よく気づいたね。やばい
やばい超ピンチだわ。どうしよ」
なんなんだこの男。普通バレたら動揺するだろ?そんな
そぶりを一切見せずにどこか余裕すらうかがえる。ほんと
におかしくなってしまったのか?それとも奥の手でも・・
・いやいや変な想像はやめよう。僕の予想は的中しやすい
から。
「人数的にはこっちが優利です。みなさんで力を合わせて
とっ捕まえてやりましょう」
僕は他の人質の人達に呼びかけた。今ここには待受にい
る銀行員を除いて僕以外に5人の人質がいる。これだけいれ
ば余裕で捕まえられるだろう。そして人質の人達が立ち上
がる。でもその立ち上がった人質の人たちの様子がおかし
い。なぜかみんなクスクスと下をむいて笑っている。
「どっ、どうしたんですかみなさん」
そう僕は問う。その瞬間さっきの男が余裕ぶってた意味
をようやく理解した。それと同時にまた体が震えだす。今
僕が見ている光景はまさに地獄絵図。絶望的だった。一見
、立場が逆転したかに思えた状況がまた最初の状況に逆戻
ってしまったのだから。いやさらに悪化してしまったのだ
から。まったく笑わせてくれるよな。さっきまで僕と一緒
に人質になってた人たちが全員僕の方に銃口を向けてやが
る。つまり僕と銀行員以外はみんなグルだったってわけか
。なんだよこの漫画的なアニメ的なドラマ的な映画的な展
開は。ふんっ笑いが止まらないぜ。




