非日常LIFE お詫び
「おかえりなさい四季くんに千春ちゃん」
まず、ニコッと微笑んで束ねさんが言った。そして後
から遅れて飛鳥さんも「おかえり」と言った。
「二人ともなんでここにいるんですか?」
僕は怪訝そうな顔をして二人を見た。でも
一つ分かることは今日は千春を退治しに来たようではな
い様だ。なぜそんなことを思ったかというと、二人とも
今日はあのひときわ目立っていた武器を持っていないか
らである。じゃあ二人は一体何をしにきたのだろうか?
できることなら早く帰って欲しいところだが・・・・多
分何もせずには帰ってくれないだろう。この人たちが今
、僕の部屋にいるという事は何かそれ相応の理由がある
のだろうから。
すると急に飛鳥さんが床に右頬をペタリと付けて僕の
ベットの下を覗きだした。
「チッ、ここはハズレか」
「何してるんですか飛鳥さん?」
僕は、いや僕だけではなく千春も束ねさんも冷めた目
で飛鳥さんを見つめた。
「うん?あぁ~気にしないでくれこれは僕の数少ない趣
味の一つなんだ」
「ベットの下を見る趣味なんて聞いたことないですよ」
僕たちは飛鳥さんを冷めた目で見るのをやめて蔑《さ
げす》んだ目で視線を送る。
「違う違うそんな趣味、僕だって聞いたことないよ」
「じゃあ何してるんですか?」
「エロ本探しだよ。君みたいな思春期真っ盛りの男の子
はベットの下にエロ本を隠す傾向があるはずなんだけ
どどこにも見当たらないね。一体どこに隠してるんだ
い?」
「とても痛い趣味をお持ちなんですね。残念ながら僕は
一冊も持ってませんよ」
すると飛鳥さんはベットの下を見るのをやめて顔を上
げた。そして部屋の隅に置いてあるゴミ箱をチラッと見
てから、僕の方を訝った様な顔で見つめる。
そして「ええええぇ~」と大きな声を上げた。
「そんなに驚くことですか?」
「そりゃ驚くよ。君はそれでも男なのかい?」
「はい。一応股の下には立派なものがぶら下がってます
から」
「なら何でエロ本の一冊も持ってないんだよ。あっ、わ
かったぞ今は携帯とかでも普通にインターネットが見
れる時代だからそれで見てるんだろう。この現代っ子
め」
「いえ見てないですよ。まず僕はそういうのあんまり興
味がないんですよ」
と言ってもまだ飛鳥さんは僕の言葉を信じようとしな
かった。そしてひらめいたように飛鳥さんは手をポン
と叩いた。
「今度こそわかったぞ。毎晩、千春ちゃんにストリップ
ショーをさせてるんだろ?それならエロ本を持ってな
くても納得できる」
「そっ、そんなことしてませんよ」
千春が顔を真っ赤にさせながら慌てて話に割って入ってきた。
「あれれ千春ちゃんお顔が真っ赤だよ。もしかして図星
だったのかな?」
と飛鳥さんが言い終えると同時に飛鳥さんの頬に束さ
んの鉄拳がめり込む。そして部屋の隅までぶっ飛んでい
った。
「いい加減にしなさいよ変態ニート。束ねちゃんが可愛
そうでしょ」
ついに怒らせてはいけない人を怒らせてしまった飛鳥
さん。自業自得だ。束ねさんがやってなかったら多分僕
がやってたと思うし。
「でっ、もう一回聞きますけどお二人はここに何しにき
たんですか?」
部屋の隅でうずくまって死にかかっていた飛鳥さんが
起きあがって殴られた方のホホを撫でながら、今日僕の
部屋にきた理由を話しだした。
「じゃあそろそろ本題に入ろうか」
「最初からそうしてくださいよ」
「ええっとだね、僕はあんまり記憶にないんだけどこの
前君たちにずいぶん迷惑をかけちゃったみたいだね僕
。束ちゃんからきいたよ。だから今日はそのお詫びし
にきたんだよ」
「お詫びって何してくれるんですか?」
「焼肉をご馳走するよ僕のおごりで」
「焼肉!?」
急に千春が呟いた。僕が千春の方をみると千春は目を
キラキラさせながらヨダレをたらし飛鳥さんを見ていた。
「千春ちゃんはOKみたいだけど四季君はどうする?」
「じゃあ僕もお言葉に甘えてゴチになります」
「うん、そうこなくっちゃね」
飛鳥さんはニコッと笑った。いや正確に言うと決して
目は笑ってなかった。多分、この焼肉の案を出したのは
束さんなのだろう。
「そうと決まればさっそく行きましょうか」
と束さんが立ち上がって背伸びをしながら言った
そして僕たちは部屋を出て焼肉屋さんに向かった。




