非日常LIFE 焼肉
畳の敷き詰められた広い個室。部屋の真ん中には
肉を焼くためのアミと合体したテーブルが設置され
ている。そのテーブルには、僕とその横に千春が座
っていてその向かい側には飛鳥さんとその横に束ね
さんが座っている。
ジュウ、汁、獣と肉が焼け
る音。部屋には食欲のそそるような匂いが充満して
いた。もう、お気づきだろうが僕たちは今焼肉店に
来ている。それも普通の焼肉店ではない高級焼肉店
だ。やはり高級焼肉店というだけあって店内は全室
個室の造りとなっていた。そして店員さんたちは、
高級そうな和服を身にまとっていてその上、美人さ
んばかりだった。
「さぁドンドン食べてくれよ二人とも今日は僕のお
ごりなんだから」
飛鳥さんは肉の焼き加減をハシで確かめながら焼
肉奉行っぷりを発揮する。
「そうよ二人とも今日はお金のことなんて全く気に
しないで胃を破裂させるくらいの勢いでたくさん
食べてね」
ニコッと微笑みながら束ねさんが言った。この人
が発言するときにチョイスするワードがいちいちお
っかない・・・。
「「はい」」
僕と千春は二人揃って声をハモらせる。僕は焼肉
店に来るのが久しぶりだったのでがかなりテンショ
ンが上がっていた。千春も僕と一緒の気持ちなんだ
ろう、目をキラキラさせながら肉をジ~っと見つめ
ている。
テーブルの上ではいろいろな種類の肉や野菜が焼
き上がってきている。僕は早速焼きあがったカルビ
をハシで取りタレにつけて口に運ぶ。その瞬間、口
の中にジュワ~っとジュウシ~な味わいが口いっぱ
いに広がった。僕はとても幸せな気分になった。や
はりこうなってくると無性にご飯が欲しくなってく
る。たまらず僕はご飯を追加注文した。そして運ば
れてきたご飯を口の中にかけ込む。うまい!ただそ
の一言に限る。
そんな幸せな気分を味わっていると横から何やら
視線を感じる。そしてゆっくり横をむいて見ると千
春が僕の方を羨望の眼差しで見ていた。
「どうかしたのか?」
「わかってるくせに。四季殿は意地悪です」
千春はホッペを膨らませながら少し怒っているよ
うな感じで言った。
「冗談冗談。ハシが持てないから食べさせろってことだろ?」
「解ってるんじゃないですか。やっぱり四季殿は意地悪です」
「ごめんごめん」
僕は慌てて千春の口に肉を持って行ってやった。そして口の前まで持っていく
と千春が自分でパクッと食べた。千春は満面の笑みを浮かべながら「おいしぃ~」
と叫んだ。千春もとっても幸せそうだった。
次に僕が食べようとしたのは牛タンだった。僕は牛タンが焼きあがったのを
確認してハシで取りタレにつけてからまた口に運ぶ。これまたうまい。何て今
日は幸せな日なんだ。
するとまた横から視線を感じる。どうせまた千春だろうと思って見てみると
やはり千春だった。でもさっきとは少し様子が違っていた。さっきは羨望の眼
差しを僕に向けていたが今回は訝るような視線を僕に向けている。
僕はその理由がわからない。何か変なことをしてしまったのだろうか?そんな
ことを考えていると急に千春が呟いた。
「四季殿、よく牛タンなんね食べられますね」




