第30話 エピローグ
それから数日後。
あれから教会は内部に悪魔の憑依者である加々見伸二という男がいたことで政府からの信用問題が問われ、事態の収拾に翻弄され続けている。
また優秀な人材が何人も死亡したことでいろいろと仕事がまとまりつかずにいるようである。
敵が本拠地にしていたと思われる学校は悪魔の憑依者が仕切っていた学校であるとバレたと同時に廃校。
さらにあらゆる箇所で怪物を飼育しており、その餌場となってい場所が発見された。さらには例の超越者の二人組の殺害現場らしき場所も複数個所発見され、教会協力のもとに警察が動き規制線を張って隔離した。
当の事件の重要人物である者たちである自分やアリスは教会の手配の元にしばらく病院で入院をしたのちに組織全体を信用できなくなり、当の監視者としていた親父も死んだことで教会を離脱した。
現在は――
「なんか、不思議よね。あんなことがあったとは思えないほどにいつもの日常が流れているんだもの」
某港町の歓楽街でお茶をしながら周囲の街並みを観察して感慨にふける。
その拍子に見える義姉のわずかな裾からちらついて見えた腹部の傷に一瞬だけ勇気は悲しそうに顔をゆがめた。
「ゆうき、またエッチなところ見てる」
「みてないわ!」
顔を真っ赤にして目線をそらしたが彼女はどこを見ていたのか悟っていた。
「これ気にしているの? これくらいどうってことないわよ」
「だけど、それは俺が……」
「あのね、あまり気にしない。これは私が姉として弟を守れた勲章のようなもの傷なんだから」
「でも、好きな人にそう言う傷はできてほしくないっていう男心っていうかさ」
勇気は心にこもっていた気持ちを暴露すれば顔を真っ赤にして彼女は視線を逸らす。
「あー、ゴホン。そういえば、今日例の彼女たちも目を覚ましたそうよ……」
「……そうか」
「彼女もいろいろあったしまずは事情聴取からになるって話見たい」
彼女たちというのは悪魔に憑依されていた名倉佳奈美と風見巴詩亜と風見凛、名倉佳奈美である。
九条美代だけはどうやら肉体はずいぶん前に死亡していたらしく彼女のみは悪魔から解放されても生きては帰ってこなかった。
そもそも、彼女たちがなぜあの実験場から生き延びれたかといえば、勇気の短剣によって彼女たちもまた外に出されていたからだった。
「本当に不思議な出来事だったわね。あれは。なんで一瞬であんなことで来たのかしら」
「遠い昔、イエスキリストは神様ではないかって言われていたって聞いたことある」
「ああ、そういえばそういう話わたしも聞いたことあるわね」
「もしかしたら、あの十字架はそうした遺物だったから神のような願いを叶える能力があったのかもしれない」
「そんなこと……ないともいえないわね」
彼女もまたあの時の奇跡の光でおなかの致命傷となった傷が癒えた体験をその身で経験していた。
だから、否定的にもなれない。
「それで、勇気いつ結婚の報告に行こうか?」
勇気はおもわずむせた。
いったいこの人は何を言うんだろうか。
「墓参りでしょう。からかわないください」
「からかってないとしたらどうする?」
「え」
思わず彼女の目を見てしばらく沈黙の空気が流れた。
ふと、周囲の視線が集まりだしてていたのに気づき、姉さんの手を引いた。
「もう、さっさと行きましょう!」
空を見上げ、周囲を見て思う。
未だにこの町や世界にはあらゆる怪物が蔓延っているのだろうが今はこうして得られる平和が一番なのだろう。
それはいろんな人たちが貢献して成り立った平和。
勇気も復讐という道を終わらせ新たな一歩を歩みだす決断をしなければならない。
その報告をこれから墓前の父へと行うのだ。
一台の車が自分たちの前で停車してスーツ姿の人たちが下りてくる。
「星城アリス様、勇気様、お迎えに上がりました。こちらにお乗りください」
「あなたたち、もう少し気を使えないわけ? 男女の大切な時間がどれほど大切かわからないの?」
「ちょっと、姉さん何を言ってるのかな?」
俺は慌てて義姉の手を取って車へと誘導する。
「ちょっと、勇気」
「その話ならまた今度すればいいだろう、これからいつでも一緒なんだし」
アリスは目を瞬いて、勇気に盛大に抱き着いた。
「ちょっ、スーツが崩れる」
「もう、うれしいこと言うんだから」
車は発信して、亡き養父と実の両親の墓がある墓地へと車は走っていく。
勇気は思う。
墓前にはきちんと報告しようと。
この先々で自分はあなたたちが考えるようなハンターにはなれなかったけれども、一人の女だけを必ず永遠に守ると誓うと。
それもまた、優秀なハンターではないかと考える。
「勇気何を考えてるの?」
「アリスとのこれからをだよ」
彼はその新しい人生への一歩を踏み出すために彼女へにこやかな笑顔を向けた。




