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怪物の狩人  作者: RYO
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第10話 学園5

  勇気は生徒指導室でお叱りの真っ最中。

 彼女に行った暴行に対しての問い詰めが永遠と続く。

 次第に、教師たちのお叱りも午後の7限目の最後の授業に入ると落ち着いてき始めた。そして、ようやく生徒指導室から解放されると部屋の外でアリスが待っていた。

「まったく、らしくないよ勇気」

「彼女が悪魔の憑依者ならと煽ってみて正体の真偽を確かめてみたかったんです。それに訓練に乗じれば実力を容易に分かるかもしれないです」

「その気持ちはわかるけどいつもの慎重な勇気はどこ? 今のあなたは復讐に取りつかれすぎて周りが見えてないんじゃない?」

「そんなことはないです。俺は冷静に」

「そうしたら、こんなへまをしたりしていないと思うよ。それにこの事実がお父さんに知られたら怒られるだけじゃすまないよ。今回のことは秘密にして報告はしないけど」

「うぐっ」

 アリスに言われて言葉に詰まって押し黙り、口からは自然と謝罪の気持ちが表れる。

「すみません、迷惑をかけて」

「いいの。わたしもちょっと大人げない行動をしたしお互い様かもしれないしね。それに私なりに彼女を調べてみたよ」

 そういって、アリスが一枚の書類の束を勇気へと手渡した。

「彼女は教会の外部からの支援自治組織の一つであり、名家のフィアット家のご令嬢。フィアット家は表向きは国政などや医療機器などの開発に携わっている資産家。実態は教会に外部から支援をしながら超常現象に対抗する武器などを開発している一族。また、遠い祖先には魔女がいたそうよ」

「じゃあ、彼女は魔女?」

「それがある日を境に彼女の一族は魔女としての力はなくなっているみたい。だから、兵器開発という面に力を入れながら教会を支えているみたいね」

「魔女の一族なのにどうして教会に協力を?」

「どうやら、彼女の遠い祖先の魔女は『白魔女』の類だったみたいってのがわかった」

「白魔女……」

 魔女にもさまざまな分類が存在し、特にその中でも白魔女とは一般的に妖術で害悪をもたらす魔女とは違い、その能力で人を癒したり占い師のようなまねごとをして人の助けを行っていただけに過ぎない存在として知られていた。

「だから、医療機器……。でも、白魔女だからって悪魔とのつながりが薄れたわけじゃないですよね?」

「そうね。でも、この資料を見てわかるとおり彼女は教会組織の出資者であり、支援者。学園のスポンサーでもあるから下手に刺激しないほうがいいということ。そして、相手にするならうまく立ち回らないとだめということ」

 アリスの説得に簡単にそう応じることが勇気にはできなかった。

 彼女の性格を目の当たりにしてあのような陰険な人物に下手に出るのがプライドが許せなかった。

「いやです。自分はあのような人に良いように接することはできません」

「そういうと思った。だから、名倉佳奈美についても調べたの」

「え? 名倉佳奈美? 彼女が何かあったんですか?」

 手渡された資料にざっくりと目を通すと面白い内容が書いてあった。

「名倉家もまた有名な資産家一族だったのよ。そして、フィアット家と同様に兵器開発や政策に対しての活動を行っている。でも、こっちの名倉家が起こす政策ってのはいわゆる過激的っていう言葉が正しい」

「過激的?」

「とある国の戦争において名倉家は軍事兵器を用いて町の都市を一つ隔離し、爆破を推奨した。でも、フィアット家は隔離された中にまだ民間人がいることを示唆し隔離の爆破を拒否。でも、名倉家はこれ以上の拡大を危険と提示した。具体的にシミュレートをしたてた書類などを通してそれが上には響いて名倉家の政策で動いたって過去があるの」

「でも、それは今の彼女たちには関係ない話じゃないですか? あくまでそれは彼女たちの親が行ったことですよね?」

「それが実はその兵器の開発には名倉佳奈美もかかわっていたということよ。そして、彼女は中学時代に授業中に制作発表会みたいな場で試作兵器を暴動化させ、当時友達だった女の子に怪我をさせている」

 それで何となく事情を察してしまう。

 書類にもまざまざと当時に怪我によるものの傷跡の写真があり、痛々しいものだった。

「名倉佳奈美にもいじめられる意味がある。これでも彼女が全部悪いといえる勇気?」 

「それは……」

 勇気はそれ以上の言葉が出なかった。

 しんみりとした空気になったとき、大きな爆発音と揺れがその空気をブチ壊した。

 二人して音のした出どころを探るために窓に張り付く。

 遠くで黒煙が立ち込めるのが見えた。

「あっちって、講義棟があるほうでしたっけ?」

「そうよ。何かあったとみるべきね」

 すると、一人の教諭が慌ててこちらに走ってくる。

 それはグランツゥエル教諭だ。

「大変ですわぁん、香織さんが保健室で爆発に巻き込まれたそうですわぁん! 急いで教諭らで鎮火活動にあたりますのでぇ一緒にアリスさんと結城さんも来てくださるかしらぁん。お二人のサバイバル活動力が今は必要よ」

「俺たちのサバイバル活動力ですか?」

「ええ、とにかく来てもらえればわかるはずよぉん」

 急いで保健室へ向かう中で勇気は何ゆえに香織が爆発に巻き込まれたのか不思議に思いながら向かった。


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