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第36話 事後報告・1

D01-33



「ご主人様、お喜びください」

-「シルコワは料理の達人という称号を持っているようです」

「へぇー、料理、上手いの? 」

「この称号を持つ者なら、鬼岩の大猪を美味しく食べさせる技法にも精通していることでしょう」

「あー、なんかそんなこと言ってたね」

「あまり食いついてこられませんね、食に興味は御座いませんか? 」

「そんなことないよ、だんだんおなかもへってきたし」

-「でもヤズナの手料理も食べてみたかったな…」


 ヤズナから照れた感情が伝わってくる。


「…まあ、ご主人様、機会があればいずれ、腕によりをかけて披露しますよ」

-「かの技法がMPの消費を伴うものであることが悔やまれます」

-「ですが、ワタクシはご主人様に、この世界で最初に食べていただくものが、美味しいものであってほしいのです」

「ヤズナはええ子やね」

「よしてください」

「ところで、沙耶さんとシルコワはどこへ行ったの? 」

「シルコワは、丁度、手長猩猩の里の者も到着したので、鬼岩の大猪解体の指揮をとっています」

-「沙耶は鬼岩の大猪を出している頃だと思います」

-「手長猩猩も背嚢というスキルを持ち、なにも無い空間からアイテムを出し入れすることはできますが、背嚢内では時間が流れ、せっかく解体した肉が劣化しますので、沙耶が回収することになるでしょう」


へぇ、そんなスキルが…。

って、手長猩猩、なにげにスゴクない?

普通に戦っていたら、ダメージを与えても、戦闘中に回復アイテムとか使われて苦労しそうだな。



「それ以外の食材も里の者が持ってきているようです」

-「それと、これからは食料の心配は必要なさそうです」

-「里の者たちが納めてくれるそうなので」

-「なにしろ200体以上の欠食児童たちが居なくなったわけですからね、向こうに負担はないと思いますよ」

 ヤズナも言うね、自分で倒しておいて。

 まあオレたちのためなんだろうが。


「手長猩猩たちとは、結局これからどう付き合っていけばいい? 」

「彼らの残存勢力1233体はご主人様の傘下に入ることになりました」

「けっこういるのね」

「英断だったと思いますよ、あのままズルズル戦っていれば、彼らは全滅していたでしょうからね」

「オレたちのダンジョンの一員になると? 」

「はい、最終的にそうなります、ですがまずダンジョン構築からですね」

「そうだね、彼らの死体はどうする、返した方がよいのか? 」

「彼らにも死者を弔う習慣はあるようですが、まさかワタクシたちの戦利品を返せとは言えないでしょう」

「そのことなんだがな…、ダンジョンの守護者として再度召喚できないか? 」

-「たしか肉体があれば、地上に影響を及ぼせる守護者だか、下僕だかになるんだろ? 」

-「もう死んでいるから、アンデッドになるとか……? 」

「そうですね、全身が爆散したものや頭部を失ったものは無理かもしれませんが」

-「肉体の修復など、それなりの下準備をすれば、実体化コストなしで再度召喚できるでしょう」

「里の者からしたら、悪夢かもしれないけどね」

-「死んだはずの仲間が生き返って、しかも中身は別人なんだから」

「そうともいえないでしょう」

-「再度召喚にしても最も手近に漂っている魂魄が選ばれるでしょうから」

-「その肉体に最初から馴染む魂魄なら、おのずと選ばれると思いますよ」

「……まあ、そこらへんは推測の域を出ないので、別人として考えよう」

-「問題は、これらの行動は彼らの怒りを買うかどうかだが…」

「そこまで配慮する必要はないと思います」

-「彼らは負けたのですから」

-「まあ、それがなくとも」

-「この世界は生きていくのに過酷な世界ですから」

-「利用できるものを利用するのは当たり前のことです」

「そういうものか、なら気にしないで置くとしよう」




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