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努力の実る世界  作者: 選択機
第2章 ティンバー・ウルフローナ王国
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第76話 依頼

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます


10/11 改稿あり 加筆あり

 ギルドマスターが立ち上がり、こちらに向かってくる。


「あらあら、椅子が足らなかったわね。どうしましょう・・・」

 ギルドマスターは、首をかしげながら言う。


「そのままお聞きしますのでお気になさらず」


「そう? 助かるわ~」

 ギルドマスターは、かなり砕けた喋り方だが、もしかしたらこっちが素なのかもしれない。


「時間も勿体無いし、早速言っちゃうわね」

 ギルドマスターはソファーに座り、俺に向かい側へ座るよう促す。


 素直に俺は向かい側に座る。


「はい、お願いします」


「セントバードの大群が発見されたのよ」

 ギルドマスターが頷いてから言う。


「その大群の討伐ですか?」


「いえ、そうじゃないわ・・・1番問題なのはアルセントバードとエルセントバードなのよ」


「ああ、アルとエルを討伐ですか?」


「それだけじゃなくって、他の上位種も狩ってほしいのよ」


「昨日結構狩りましたけど、他にも目撃情報があるんですか?」


「今日だけでも10件の目撃情報ね・・・嫌になるわ」


「高ランクの方達はやらないのですか?」


「ワイバーンも現れちゃったのよ・・・複合18人PTが出ることになっちゃって、人が足らなくなっちゃったのよ。行って貰える?」


「でも、私たちは10級ですよ? 良いんですか?」


「自分達は無傷で、大量のモンスターを惨殺してるって言う報告は受けてるわよ。そうね、受けてくれたら良い物あげちゃうわ、どうかしら?」


 おいおい、惨殺って嫌な言い方だな・・・


「いい物が何だかわからないのに、受けるほどお人よしでは無いですよ」


「そうなの? 仕方ないわね」


そう言って立ち上がり、仕事の机から銀色の水差しを取り出す。


「これ、流水の水差しっていうのよ。きれいな水が出てくるわ、どう?」


「え? いりませんけど・・・水は魔法で出せますし」


「魔力も使えば無くなっちゃうじゃない? 私たち魔力の少ない獣人でも水が出せちゃう優れもののアーティファクトよ! 欲しくないの?」


「う~ん、いりますか? タダシさん」


「いや、どうだろうな? 食堂を作ったら要るとは思うが」

 タダシさんも腕を組み首を傾げて言う。


「う~ん、じゃあ、もう1つお願いがあるんですけどいいですか?」


「ふぅ・・・仕方ないわね・・・難しいものはダメよ、何かしら?」

 ギルドマスターは、頷いて言う。


「炎蛇というPTに入っている、イサオさんという方の安否だけ知りたいんですけど、定期的に」


「そのくらいなら構わないけど、安否だけでいいの?」


「ええ、それ以上はダメでしょう?」


「そうね・・・それで、1人だけでいいのかしら?」


「はい、お願いできますか?」


「一月に1回、安否をソメイヨシノのメンバーの誰かに言う。聞ける場所は、このギルドのみって条件ならいいわよ」


「はい、大丈夫です。お願いします」


 魔物は見つけたら殲滅してしまっていいということと、今日より大進行宣言がされるとのこと。

 大進行宣言は、いつ一気に魔物が押し寄せてくるかわからない、各自警戒せよってことらしい。

 魔物の目撃情報を聞き、ギルドランクをあげ(9級、10級)、お金も渡された。

 解体場に行き、昨日狩ったものの解体を頼む。


「今日も大量かい?」


「はい、大丈夫ですか?」

 壁際に魔物を大量に出して行くと、エミルさんが頭を抱える。


「こりゃあ人を増やさないとだめだねぇ・・・」


「御手数おかけします。あと、このアリって買い取りやってるんですか?」


「ジャイアントアントのことかい? やってるよ」


「まだまだ大量にあるんですけど、出しちゃいますね。それで、これって何に使うんですか?」


「アリの甲殻は1つ1つ小さいだろう? もう少し小さくしてスケイルメイルにするんだ。アリの顎はレイオマーノって知ってるかい? 最近はあまり使うやつは見ないけど、そんな武器になる」


(レイオマーノは木などにサメの歯を付けたもので、この世界では鉄の棒にアリの顎を付けたもの。見た目が似ているためそう呼ばれている)


「アリの甲殻のスケイルメイルとブラックビーフの皮鎧だと、どっちがいいんですか?」


「スケイルメイルのほうが若干防御力が高くて、ブラックビーフのほうが隠密性が若干高い。これはもう、好き好きだね」


「ああ、そうですか・・・解りました」


「何かほしい素材とかあるのかい? 分けておくよ?」


「いえ、特にありませんね。いつも通り食べられるものと魔石は貰っていきますのでお願いします」


「ああ、任せておきな」


 そんな会話をして、全魔物を預ける。その中に上位種もいることに、驚き呆れられた。

 その後、昨日受け取っていないラネアスパイダーの足と魔石を渡され、マジックバッグの中に入れる。

 今度子供達に茹でてあげよう・・・慣れてきたので、皆にも食べて貰ってもいいかもしれない。

 ナリッシュ達に装備をプレゼントしようか悩んだが、纏まらなかった為やめた。

 こういうのは自分でがんばるのが1番だ! そうに違いない!


 屋敷に一旦戻る時、ショウマ君からギルドマスターに頼んだことについて質問される。


「なんで、あのおっさんの情報を聞いたんだ? もっと違うこと聞いた方がよかったんじゃないのか?」

 ショウマ君は腕を組んで聞いてくる。


「単純に気になるって事と、帰る時にイサオさんがいないとリョウタロウさんがバッシングを受けるかもしれないからね」


「バッシングですか?」

 リョウタロウさんが、首をかしげて呟く。


「そう、飛行機事故とかだと機長とかがバッシング受けるでしょ? しかも、安否不明って相当言われるよ? だから、せめて安否だけでもって思ってね」


「そうか・・・ならなんでも無い」

 ショウマ君が頷いて言う。


「カナタさん、ありがとうございます」

 リョウタロウさんが言ってから頭を下げる。


 屋敷に着くと、セードルフ達に狩りにいくことを説明し早速出かけることにする。

 子供達はチラチラと来ていて、皆に「頑張って」「気をつけて」「帰ってきてね」と声をかけられた。

 心配されるのも嬉しいもんだな・・・そんな事を思う。


 そして、昨日と同じ草原に向かおうとすると、多くの冒険者が同じ草原に向かって進んでいく。


「こんなにいるのか・・・他のPTと取り合いになっちゃうかもですね・・・嫌だなぁ」


「でも、厚手の布の服を着てる人が多いですね・・・皮鎧着ている人は少数で、鉄鎧なんて10人くらいですかね?」

 リョウタロウさんが、周りを見回しながら言う。


「そう言えばそうですね・・・出来ればさっさと鳥を狩って魔糸の採取をしたいですね」

 俺も周りを見回しながら言う。


「そうだね。白い糸は染められるから、いくら持ってても足らないさね」

 アヤコさんが、嬉しそうに笑う。


「そうですよね。折角なんですから必要以上に採取しちゃいましょう!」


「すみません、あっちのほうにオークジェネラルがいます」

 リョウタロウさんが、指差して言う。


「了解です。見つけ次第殲滅しましょう! ナビお願いします」


「はい、もちろんです」


「それでしたら、二手に分かれませんか? 昨日と同じくらいまでなら記録に残るようですし(遠くに離れすぎるとギルドカードの記録に残らないこともある)」

 ケイタ君が、メガネを取りポーチに仕舞いながら言う。


「それもそうだね、そうしよっか」


 1グループ目、リョウタロウ、ショウマ、タダシ、アヤコ、ユカ、コノミ。

 2グループ目、カナタ、ケイタ、タクミ、ヨシ、ミズキ、アカネ。


 この2グループに分かれて、魔物を探すことになった。まだ草原についてないんですけどね。


 オークジェネラルは1グループ目が狩りに行った。


 2グループ目の俺たちは、トウグとゴブリンを発見し狩りに行く・・・狩り終わると街道に戻り、見つけるとまた向かっていく・・・そんなことをしながらだったが、草原に着く。


「そこら中に人がいますよ。隠れているPTが多い様ですが」


「聞いた通り、繭だけ狙ってるんじゃないですか?」


「たぶんそうだと思います。ですが、まだセントバードも居ないみたいですね。あっちにジャイアントアントが居ますよ! 人が居ないですし行ってみますか?」


「了解、じゃあ向かってみましょう」


 森の中に入っていくと、アリが数匹餌を捜し歩いていた・・・特に苦もなくウィンドカッターで狩りアイテムバッグにしまう。

 奥に向かっていくと・・・アリが何かを運んでいるところを発見する・・・なんだろう?

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