表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私と彼の恋模様  作者: 辰野
9/224

9.

 「……そんなことが」


 明美(あけみ)が学校を無断欠席なんて珍しいと思っていたら、痴漢にあっていたらしい


 冗談半分で明美をいじろうと思ってたのに、とてつもなく重い話を聞かされた


 それで朝から明美の様子がおかしかったのか……


 「でも今日って明美電車できてたよね?怖くなかったの」

 「そりゃあもちろん怖かったよ。

 けど、助けてくれたお兄さんにお礼言い損ねてたからもしかしたら………って思って。それで……」

 「無理して電車乗ったのね。ったく、こういう時に迷惑をかけないようにひとりで我慢するのは明美の悪いクセだよ」


 明美は昔からお人好しだ

 周りに迷惑をかけないようにいつも気を配っている

 だからこそ周りに迷惑をかけないために無理をしてしまう


 「はぁぁ、私も探すの手伝ってあげるって。あとこれからは一人で電車に乗らないこと」

 「で、でも電車に乗らないとあの人も探せないし学校にも行けないよぉ」

 

 この子に手を出した痴漢野郎、本気で誰だよ!!

 よくもこんな可愛くて純粋な明美に手を出してくれたわね

 痴漢にあったトラウマってどのくらいの間続くんだろう

 はやくいつもの明美に戻って欲しい……


 「大丈夫、大丈夫。私が明美が乗る駅まで行ってあげるから」

 「え!?そんなの海音みおんちゃんに悪いよ……」

 「私は何があっても明美の駅まで行くからね。一人で怖い思いなんてさせないから」

 「海音ちゃん…………うぅ、ありがとう。ほんとは一人で電車に乗るのとっても怖かったよーー」


 だからいつも自分の気持ちに素直になれって言ってるのに

 ほんとにこの子は世話がやける


 それにしてもそのお兄さんとやらがいてくれて本当に良かった

 満員電車だと身動きも取れにくいし、ましてや顔よりも下なんて普通気づかない

 そのお兄さんが気づいてくれなかったらどうなっていた事か……


 しかも、明美の話によると痴漢を証明するためにそのときの画像を駅員さんに見せたという

 どこからどう見ても変態行為にしか思えないが見方によっては明美の思いを最優先してくれたのかもしれない


 駅員さんにその写真を見せたら厳重な注意か罰金が請求されてもおかしくない

 むしろ注意で終わることなんてそうそうないだろう

 いくら人助けとはいえ、痴漢の現場を撮ったことは事実なのだから

 

 明美が責任を感じそうなので言ってないがそのお兄さんはかなりの紳士だ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ