51.
どうやら俺の声はちゃんと届いていたらしい
三島が首をポキポキ鳴らしながら歩いてくるのが見えた
こいつの破壊力は下っ端どもと比べ物にならないほどに強力だと聞いている
こいつに殴られて骨折ですめばラッキーだと言われてるぐらいだ
だから下っ端どもでさえもこいつを怒らせるようなことは決してしない
下っ端たちは笑いながら後ろに下がっていく
俺がこいつにボコボコにしされるところを楽しみにしているんだ
「よく雑魚の分際で俺様に逆らってくれたなぁ。お礼と言ってはなんだがお前の顔面に一発おみまいしてやるよ」
なるほど、拳が飛んでくるのは顔面か
こいつの性格上、あそこで反抗したら自分から俺を殴ろうとするだろうと思った
そして殴る時にどこに殴るかも言うんじゃないかと予想ができた
たぶんここに殴るから受け止められるものなら受け止めてみろよってことだろう
力があるものこそ、その力を過信しすぎる
俺はただたにこいつに殴られに来たわけじゃない
こいつに一発くわせてやろうと思ってきたんだ
「へ、もう喋れないってか。喋れないならその口も潰しちゃって構わないよなぁ」
そして強いものは弱いものを見下しすぎる
どうせこいつは俺より弱いから刃向かうわないと思ってる
確かに殴りかかることはできないだろう
喧嘩なんてしたことないしどうやって殴っていいのかも分からない
けど反撃の仕方なんていくらでもある
「バキッ」
俺は拳を腕を盾にして受け止めた
案の定、腕をおられて体育倉庫に乾いた音が響いた
腕を盾にしてもそれでも受け止めきれずに数メートルぐらい吹っ飛ばされてしまった
漫画とかアニメだけかと思ってたけど、殴られて人間が飛ぶなんて本当にありえるんだな
確かに腕を折られて体中に激痛が走るけどあいつも黙ってはいられないだろう
「あぁぁぁぁぁぁ!!」
その断末魔は俺の悲鳴ではない
俺を殴ってきた三島の方だ
俺を殴ったはずの拳は血まみれになっている
そして俺にこびりついている血も俺のものではない
こいつに折られた腕についている血も全てこいつの血だ
こいつの拳が強烈なのは前々から知っていた
ならその威力をカウンターに利用すれば一番ダメージが入ると思った
なにからなにまで、俺の作戦通りだ




