mission2 『親友を説得せよ!』
とりあえず改めて自分の作品を見てみると話数の割りに字数が少なかったので少々、修正と追加を加えてみました。
ドンドンドンッ!
あれから約10分後、俺の部屋のドアを再びノックする音が静かな俺の部屋に響き渡った。
「……鍵は空いてるから入ってきてくれ……」
鼻を摘まんだ状態でおざなりにそう言った俺は先ほどからくるまっている毛布の端をギュッと掴んだ。
「お~い……ってなんで部屋の中、こんなに暗くしてんだよ」
ガチャリとドアノブが回る音と共にいつも聞き慣れた声と複数の足音が薄暗い俺の部屋と耳に入ってきた。
その様子を俺は毛布にくるまった状態で目と鼻だけを露出させて俺の部屋に入ってきた相手の顔を確認する。
まず最初に入ってきたのは特徴的なボサボサの黒髪に眼鏡を掛けた男で、常に学生服に白衣を身に纏っている変り種だが一応“IQ180の天才児”という肩書きを持っている須藤大輔だった。
天才というのは大抵、神経質で周囲とは確執を生みやすいというポジションだが、基本的にコイツの性格は“多少、頭の良い馬鹿”というモノになっているので交友関係は良好。
しかし、タチが悪い事に天才故に様々な技術や特許を持っているせいか、俺達が現在通っている高校、草薙学園では無駄に大きな権力を持っている。(大抵が馬鹿な要求ばかりしている)
「おいおい、お前が朝っぱらから俺達を呼び出すなんて珍しい事もあるもんだなカスミ……」
次に入ってきたのは長身でスー○ーサイヤ人の様にはね上がった金髪と淡く青い瞳をした俳優ばりの容姿をしたこのイケメンの名前は“リック・ダグラス”……。
リックは日本育ちのアメリカ人で普段は冷静沈着だが実はメンバーの中で一番熱くなりやすいタイプで趣味は“萌え系アニメ”と何とも残念な男だ。
ついでにリックの実家はアメリカで5本の指に入るダグラス家という有名な資産家の孫で超お金持ちときている。(仕送りの大半はゲームに消えている)
「緊急事態だと聞いて来たんですが……私達に一体、何の用なのですか?」
そして最後に丁寧語で喋り、長髪の黒髪に眼鏡をしたキリッとした眼をした真面目そうな男の名は相模宗一郎。
草薙学園の生徒会副会長であり、その肩書き通りの堅物で真面目な男。
趣味は読書で特技は剣道と、俺達のメンバーの中で最も物事に対する頭の回転が早い。
大輔、リック、宗一郎……代わり映えしない信頼出来るこの三人の姿を見て、俺はホッと胸を撫で下ろした。
「マジで頼む、俺を助けてくれ……」
そして、俺は三人との友情を信じて今までくるまっていた自ら毛布を剥ぎ取った。
(・o・)×3
その瞬間、三人が上記の様にポカーンとした顔つきになり、一瞬とも一時間とも取れるほどの長い沈黙が続いた。
それはそうだろう……友人に緊急事態だと呼び出されその友人の部屋に入ったら見知らぬ金髪美少女(自分で言うのも何だが)が友人のベッドの上で毛布に包まった状態でポツリと座って居たのだから……。
「え~っと、あの……貴女はどちら様ですか……?」
この異様な状況にまず最初に反応したのは真面目で堅物な宗一郎だった。
大輔とリックの二人はポカンと口を開いたまま微動だにしていない。
「……いきなりで信じては貰えないとは思うが……俺は月城霞だ」
ひっそりと静寂に包まれた部屋に静かに流れる俺のソプラノ調の美声。
そして、再び俺の部屋は静寂に包まれた。
……しかし……。
『『『はあぁぁぁぁぁっ!?』』』
次の瞬間、静寂は打ち消され、代わりに大輔達の驚愕の声が俺の部屋に怒号の様に響き渡った……。
それから約20分後、俺は死んだ魚の様な目をした大輔に事のあらましを全て吐き出した。
「……つまりに話を一口に纏めると、どういう訳か朝起きたら何故か霞さんの身体が女性のモノになっていた……と?」
そう言いながら宗一郎は半ば信じられない様な顔つきで俺に視線を移した。
「……そうだとしか言えない」
俺の話を一通り聞いた3人の冷ややかな視線に対して、俺は肩を落としながらそう呟くしかなかった。
(そうだよな……いくら親友と言ったってこんなふざけた話、誰も信じてくれる訳ないよな……)
しかし。
「……ま、まさか成功するとは……」
大輔が自分の眉をピクピクと動かしながら冷や汗を垂らしながら女性化した俺の顔を見つめていた。
「まさか大輔さん、貴方……」
「……本当にやりやがったのか?」
それに加えて、宗一郎とリックは大輔と俺の顔の交互をキョロキョロと見返していた。
「……どういう事だ?」
イマイチ、事態を把握出来ていない俺は悲しみに満ちた顔を僅かに上に傾かせ、大輔の顔を見つめた。
『いやぁ~、まさか面白半分で製造して昨晩にお前に飲ませた“女体化薬”が本当に効くとは……ビックリだぜ☆』
その瞬間、俺の顔つきは悲しみに満ちた眼から怒りに満ちた眼に変貌した。
~それから10分後~
「……つ、つまりお前に昨晩飲ませたジュースの中には俺が製造した特別仕様のナノマシーンが入っていて、それが人体の構成を任意に変更する事が出来る“女体化薬”としての役割をしていた訳です……」
あれから10分後、俺の部屋が猟奇殺人の現場に成り果てるまで大輔を殴り付けた俺はこうなった原因を大輔の口から直接、聞いていた。
「お、俺と宗一郎は大輔が前にそんなバカげた薬を作っている……と言う話を聞いた事があったんだが……」
「……まさか、本当に作っていた上に実用段階まで完成していたなんて夢にも思わなかったんですよ」
俺の鬼の形相によって恐怖に震える3人の話を纏めれば、大輔は以前から面白半分で“女体化薬”という怪しい薬を製造したらしい……。
リックと宗一郎は偶然ながらに女体化薬の話を聞きつけたらしいが完成する筈がないと思っていたらしく、互いに話題として挙げようとしなかった。
そして昨日、面白半分で製造していた女体化薬が実用段階にまで漕ぎ着ける事に成功したが大輔本人も成功する筈が無いと思い、廃棄処分する意味も含めてその薬をジュースに混ぜて女体化薬の話を何も知らない俺に飲ませた……という内容だった。
「俺の身体を元に戻す薬はちゃんとあるんだろうな?」
事の真実を知った俺はこめかみを軽く押さえながらこの騒ぎの元凶である大輔の顔をキツク睨み付けた。
「大丈夫だって☆元に戻す薬はちゃんと用意してある……ただ、薬の性質上、女性化薬の効果が安定するまでの一定期間の間は飲んでも効果が無いんだよね……」
苦笑いしながらそう言って大輔に俺は元に戻る事に安堵した気持ちと苦笑いする大輔の顔に一抹の不安を同時に抱いた。
「俺が飲まされた女性化薬が安定する一定期間は?」
内心、ドキドキしながら薬が安定するまでの期間を大輔に問いただした……すると……。
「☆☆☆丸一年☆☆☆」
これ以上ない程に素敵な笑顔で最悪の言葉を発した大輔に俺は次の瞬間、何の躊躇いも無く大輔の両目に人差し指と中指を射し込んだ。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「一年!一年って、どうするんだよ!一年もの間、どうやって生きていけっていうんだよ!」
抉られた目玉を抑えながら転がり回る大輔を他所に、俺はすっかりパニックになり叫び声をあげた。
「落ち着けカスミ……パニクる気持ちも分からんではないが、今はそんな事よりも行動しよう……俺達も力を貸すから安心しろ」
リックはパニクる俺にそう言うと男だった時より若干、背が小さくなっている俺の頭に手を置くと優しく撫で始めた。
「……一年か、今年の一年は長く果てしない道のりになりそうだな……」
リックに頭を撫でられたのがおかげで一応は落ち着きを取り戻した俺はこれから起こる波乱万丈な一年を憂鬱な表情を浮かべながら小さくそう呟いた。
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