第二章 領主編 『変わらぬものは拳の中に在る……的な話しについて。』
取り敢えず、ギリ隔週で更新出来ました。
「……男子ならっ!!拳で語れやボケッ!!!」
……洞窟内に響き渡る、いきなしの怒号である。
俺はわざとらしく地団駄を踏んで、あらゆる罵詈雑言を浴びせながらポッカリと口を開けた洞穴へ指差しでキレまくる。
はてさて……どうしてこうなっちまったのか?
それは一時間程、時を遡らねばなるまい。
……一時間前。
一体どれくらい気絶していただろうか?
気がつくのと同時にあの悪夢を思い出し、俺は飛び起きてしまった。
何だったら変な奇声を発していたかもしれない、そんな俺の顔を覗き込む婆ちゃん(姉)……その横でイチタロウがムスッとした表情を浮かべてやがる。
かなりイラッとした、が、傷口に触れ、包帯らしきものが首周りに巻かれているのに気づいたので矛先を収める方向で耐えるよう戒めた。
それにしても傷口の辺りが冷たくて気持ちがいい。
「何かスースーするんだけど?」
「ああ、姉様の『薬』を傷口に染み込ませた上から儂の熟成薬に浸し、陰干しした布を巻いたからの、鎮痛効果は絶大よ。」
……確かに痛みはほぼない、鎖骨が折れているのに肘まで動かせる、流石に腕を上げさせない様に胴体ごと包帯で固定されてしまっているが……。
「………。」
「どうじたねモンテ殿?」
何気なく自身に巻かれた包帯を眺めていたら、ふとある疑問が湧いてきた……のだが、一瞬の躊躇いが俺を引き留めていた。
「いえ、その、真新しい包帯だなと思って……それにお二人ともキチンとした佇まいの服装をされているから。」
「ふむ、それについては言葉の事も含めて先刻、説明出来たと思うとったんじゃが?」
「ええ、ですから俺が気になったのは婆ちゃん達の事じゃなくて……他のゴブリンの出で立ちについてです。」
「………。」
そう言葉を選びながら話す最中、何気無く視線をイチタロウへ向けるとやはり何時もの……というかヤツらしくない表情をしている。
同じくイチタロウへ視線を向けていた婆ちゃん(姉)が溜め息を洩らしていた。
困惑と諦観が混じり合った様な、失笑とも受け取れる印象を受けたが、俺の目に気づき直ぐに微笑みへと切り替えたようだ。
何だか話しが逸れてしまいそうだ……改めて整理するまでもないが、ゴブリンが魔族領における序列競争の底辺として迫害を受け、種として生き残るために文化面を蔑ろにしてきたという話しを聞いていただけに婆ちゃんズの出で立ちに疑問を持つのは至極真っ当だろう。
そしてその答えがイチタロウの抱えているものへ直結している……踏み込むべきじゃないと考えたばかりだったのだが、俺は抑えが利かなくなっていた。
何処かでイチタロウが助けを求めている気がして、余計で傍迷惑を承知でブッ込む覚悟をする。
「………。」
婆ちゃんズと俺……互いに視線を合わせたまま、沈黙を守り続ける。
質問の意図は理解しているだろう、しているからこその沈黙なのだ。
それはほんの数分にも思えたし、数時間にも感じられた……だがやがて、最初に事態の打開を促したのは婆ちゃん(妹)だった。
沈黙を守る姉に寄り添い、握られた手をさする……その所作に対し、瞳を閉じて僅かに頷くと一言だけ『……そうじゃな。』と呟いた婆ちゃん(姉)はイチタロウをもう一度見据えた。
「話さねばなんめぇよ……オメーが気に喰わなくっても、アンちゃん(ニッカ)の話しさ聞いて分がった、全で繋がっでやがる。」
繋がっている……確かにそう言った、それを聴いた瞬間、イチタロウは苦虫を潰した様に表情を歪め、『分がっでんだ。』とだけ言い残して部屋(洞穴)から出ていってしまった。
「すまねぇ、あの子の不作法を許してな……姉様も治療で消耗しとるから、事情は儂が話すよ。」
姉の背中を静かにさすりながら、重ねて詫びを述べるその眼差しを見て何となく理解した……この姉妹は長い年月を互いに支え合う事で生き抜いてきたんだろうと。
「ふむ……まずヌシはゴブリンの事情を何処まで知っとるかの?」
俺は暫く考え、デュラハン騒動からの経緯を含めて、知りうる情報を整理しながら話していたのだが……途中で話しが噛み合わなくなった、どうやら婆ちゃん達はこの洞窟で起きた一連の騒動に対して、一部知らない事があったようだ。
それは戦えない子供や老人が得体の知れない卵の養分として犠牲になっていた事実を話していた時、明らかに驚愕と動揺を露にしており、妹さんに至っては話している俺が殺気を感じる程に憤っていた様で、牙の軋む音が鈍く響いていた。
まさか無言の圧力で話しの腰を折られるとは……続けていいものか迷う俺に詫びながら、お姉さんが妹さんを諌めてくれたのだが、その時、ポツリと『すまんの』と呟いた言葉の余韻が引っ掛かった。
それはおそらく……『知らなかったでは済まない』という意味でのニュアンスじゃないだろうか。
より一層深く息を吐きつつ、婆ちゃん(妹)は眼を伏せながら声を紡ぎ始める。
「悪かったの……おそらくヌシの予想通りじゃ、儂は、儂らはの異端として此処に幽閉されとる身なのよ。」
曰く……数十年前、若くして世界を回り様々な文化に触れる事で、最初に人語を介する様になったのは妹さんの方だったという。
彼女は得た知識と経験を種族のために活かそうとした……だが、当時の長老衆はその事で他の魔族領の有力者の不興を買うのを恐れ、身体の弱かった彼女の姉を幽閉した。
結果として姉を案じ、共に幽閉される道を選びゴブリンは最底辺の種族として現在に至るまで衰退してゆく……。
唯一の救いは姉に備わった類い稀な熟成薬の能力故に軟禁で済んでいた事だろう。
だが問題の本質はこの後の話しだった……。
「デュラハンは何故、人質を取ってゴブリンを掌握出来たと思うね?」
「………?」
妙な問い掛けだと思った……考えてもいなかったが、俺は単純に防衛出来ずに深部まで侵攻されたか、或いは魔族領での力関係に逆らえずに従ってしまったのではと推測を述べたが、それらは婆ちゃん(妹)に一笑に付して否定された。
デュラハンが侵攻して来たなら最初から敗北は必死だと悟り、非戦闘員を逃がす時間稼ぎに徹する事も出来たという。
カルパティーン洞窟は広大でかなり複雑に入り組んだ構造となっているため、外へ通じるルートが幾つかあったらしい。
また、力関係に関してもデュラハン自体が魔族領から弾かれ、落ちぶれた個体であったために背景を頼んでの示威行為は無意味だと言われた。
だが後者の話しには疑問が残る……前にキャサリンが言っていたデュラハンの変貌とその行動だ、少なくともデュラハン以外の何者かの指向を感じざるを得ない。
「なに簡単な話しさね……最初から、デュラハンは最深部である此処から現れたのさ。」
「………!?」
ちょっと何を言っているのか解んない……そんな戸惑うばかりの俺に婆ちゃん(妹)は続けて衝撃的な事実を紡ぐ。
「自動始式転移法術と言ったかの……あれと同じ機能のものが長老衆の居る洞穴に在るんじゃよ。」
何ですと!?……一瞬、思考が真っ白になって固まってしまった。
「んな馬鹿な、キシリア派が試作段階であるものが……いや、そうか……パクったのはキシリア派の方か!」
戦争相手の最新技術をパクって洗練するってのはアニメ、ゲームの世界じゃ昔から常套手段だ……いや、核心はそこじゃねーだろ。
「デュラハンを手引きしたのは長老衆って事かよ!?」
……その問い掛けに無言で頷く婆ちゃんズ……。
「滑稽じゃろ?魔族領から追われ数十年経っても、カビ臭い妄執にすら逆らえなんだ……あの子に愛想を尽かされる訳じゃて。」
「待ってくれ、婆ちゃん達は長老衆と関係ねぇだろ!?何でイチが悩まなきゃなんねーんだよ!!」
「同じじゃよ……儂らは何も出来んかった、ジジィどもの選択を多少なりとも理解するが故にな、割り切れずとも儂らは『犠牲を選んだ側』なんじゃ。」
「あの子はやさしい……やさし過ぎで板挟みさなっどる、家族と仲間、掛けちゃなんね天秤で揺れとるのざ。」
厭な話しだ……全滅するよりは人身御供を差し出して難を逃れようってか?
いや、婆ちゃん達が知らされていた話しと事実が食い違っている以上、信用は出来ない。
「自分達の保身のために同族を売った……って事はないよね?」
俺は敢えて意地の悪い質問をしてみた……長老達の真意を婆ちゃん達の反応を通して推し量るためだ。
答えは『己れの眼で確かめろ』だった。
「ここから魔族領に入って鬼の集落まではどれ位の時間が掛かる?」
「ふむ……およそ3~5日じゃろうな、魔族領内は過酷な環境故に足止めを食う事も多いからのぉ。」
なるほど……だから転移術の話しをしたのか、俺にそれを利用しろって訳だ。
「………。」
「お若いの……今のあんだの方がよっぽどゴブリンよか悪い顔しどるよ。」
………。
……それから二~三のやり取りをして、俺はその部屋?……洞穴を後にした。
元の分岐点まで戻る長い通路を歩きながら、前方で佇むイチタロウを視界に捉える。
行き場がないってか?しけたツラしやがって……。
「全て聞いたんだべ、モンテ様?」
「ああ、お前がデュラハンはこの場所に気付いてなかったって嘘をこいてたのもな。」
「………。」
押し黙るイチタロウを通り過ぎ、分岐点まで戻ってきた所で懐からタバコを取り出す。
右手が思うように動かせねぇ……もどかしさに戸惑い、左手で箱を 撓ませてから競り出した一本を口で迎えにゆく。
吸いつきながら火を灯すと、僅かに眩しさで眼を細めた。
「………。」
煙りを燻らせ、フィルターを噛みしだいて上下に揺らす……。
そんな俺をまだシケたツラで見ているだけのイチタロウ……そりゃあイラつきもするだろう。
そう思っていた矢先だった。
突如、洞穴内に理解不能な絶叫が轟きまくる!?……ってか反響して不快極まりない。
辛うじてそれが言語だと感じた瞬間、イチタロウの表情が強張っている事に気付いた。
「……おい、これってもしかしてゴブリン語?」
「………。」
尚も押し黙るだけのイチタロウに対して、イラつきが上乗せされてゆく。
……あ~ティンさんや、この声の主ってば何?
『声の発生源を特定しました、発生源は五つ、前方の洞穴からの完全なヤジですね♪翻訳しますか?』
ふ~ん、多分そいつらが長老とかじゃね?ざっくり要約するとどんな感じよ。
『イチタロウに対してですね、内容はマスターを小間切れにしてこちらに寄越せ……と言ったものです。』
へ~え、ホントはもっと色々言われてんだろうなぁ……でも襲ってくる気配がないんだが?
『その様ですね、ですが個々の能力はゴブリンの平均値を遥かに凌駕すると思われます。』
より深くタバコを吸い込み、大口を開けてあざとく煙りを上空へ吐き出す……。
「……で?何か向こうで喚いてるけど、お前はどうするんだイチタロウ。」
「………。」
馬鹿野郎が……。
おもむろに吸殻を指で弾き飛ばし、その瞬間、俺はついにブチキレた。
「……男子ならっ!!拳で語れやボケッ!!!」
……洞窟内に響き渡る、いきなしの怒号である。
俺はわざとらしく地団駄を踏んで、あらゆる罵詈雑言を浴びせながらポッカリと口を開けた洞穴へ……と、冒頭に繋がる訳だ。
因みにこの時、思念伝達を使って長老どもに『ちょっと黙ってろ、すぐにこちらから踏み込んでやっから。』と脅しておくのも忘れない。
……さて、どうやらこちらの待ち人が『来た』ようだ……。
「スゴい啖呵ねボス~反響で耳がヤられる所よ♪」
背後からの声に左手をひらつかせ、俺は更に青ざめたイチタロウを見据える。
そこにはロジャーを始め、高熱から復帰したミシェルとダナン君を含めた全員の姿があった。
……ってか、二本目を取り出す俺をミシェルの奴が苦々しく見てる、よっぽど不吉な仕草として認識されてるんだな。
「イチタロウよぉ、俺はお前達と出会って2日?3日?……とにかく日が浅ぇよ、気の利いた事なんざ何も言えねぇわ……だからよ、お前が直接コイツらに聞いてみろや。」
先程、婆ちゃんズのトコから思念伝達でみんなに集合を掛けておいた……勿論、事情は既に暴露済みである。
「……。」
押し黙るままのイチタロウへ、真顔で歩を進めてゆくロジャー……マッコイ達も同様に後ろから追従してゆく。
怯えきったイチタロウと毅然としたロジャーの視線が僅かに交差した。
(モンテ殿……僕達まで呼ばなくても良かったのでは?)
とんでもない場違い感に苛まれたのか、ダナン君が俺の背後で呟いてきた……。
「成り行きだ……。」
黙って見守るしかねぇだろうよ……そう自身を戒めて、二人を見据える。
「………。」
「ロジャー……オイラのせいでお前の弟は……。」
辿々しく……ようやく言葉らしい言葉を吐きやがったか……そう思った刹那だった。
「………!?」
ボクサータイプらしい、キレのあるロジャーの右フックが完璧過ぎるタイミングでイチタロウの顔面を捉えたのだ。
切りもみ状に吹き飛ばされ、尻餅をつくイチタロウ……ありゃ駄目だ、完全に足にキテる起てないだろうな。
呻きを洩らすイチを冷たい眼差しで見下ろすロジャー。
「……何度だ。」
「………?」
「俺達はあの糞溜めみたいな戦場で、何度だ、何度お前に背中を預けてきた?」
「………。」
淡々と紡がれたその問い掛けを聞いた瞬間、眼を見開くイチタロウ。
心が……感情が……何かを振り切って溢れ出す。
「……んな事……そんな事は分かってんだぁ!!だがら、だがらごぞ!!オイラの身内がお前の弟を殺したって悩んでんだろぉがぁ!!」
己れを震い起たせ、ロジャーの胸ぐらへ掴み掛かってゆくイチタロウ……だが当のロジャーは微動だにしない。
代わりに、凄まじく重い衝撃がイチタロウの脳天へ突き刺さる!!
……それは容赦のないマッコイの拳骨に他ならなかった。
何が起きたのか?膝から崩れ落ち、怪訝な表情でマッコイを見上げる……。
「あらぁ、あんたに一言言いたいのはワタシも一緒よ♪」
「………。」
ニンマリと笑うマッコイに追従する様に、キャサリンがマイケルが……それぞれイチタロウの横っ面を思いっきり引っぱたいてゆく。
「いい加減解れよ馬鹿野郎……俺達はな、これからもお前に背中を預けるって言ってんだよ。」
一瞬……呆けた様に、四人の顔を見上げるイチタロウ。
そこには昔から変わる事のない見慣れた眼差しが在った。
(……そうか、勝手にみんなを見ようとしながっだのはオイラだったのが。)
暫くの間、呆然としていたが、やがて無言で差し出されたロジャーの手を掴み、立ち上がるイチタロウ……刹那、閃光が瞬く!
小気味よい裂音を響かせて、ロジャーの顔から煙りが吹き上がっている……否、寸前に利き手で受けきったようだ。
迷いの全てを振り切り、全身全霊で放たれた一撃……。
「涼じい顔しやがっで……さっきの一発は痛がっだぞ。」
「安心しろ、また下らん事で迷ったらお見舞いしてやる。」
「……言っでろ、馬鹿だれ。」
殺意にも似た抜き身の如き視線が互いにたじろぎもせず、交差している……どうやら雪解けってヤツらしいな。
取り敢えずひと安心か……はてさて、お待たせして悪いが残る問題はあとひとつだ。
全員、前方の洞穴へと改めて振り返る……。
「向こうも五人の様ですから、ここは私達で決着をつけてもよろしいですか?」
おうおう、みんな何処ぞの戦闘民族みたいなイカつい笑顔になってんなぁ……。
「いや、駄目だな♪こっちで一悶着やってる間でも仕掛けてこねぇチキンどもだぞ、お前らがわざわざ殺るまでもねーよ。」
その瞬間、その場に居た全員がキョトンと呆けた表情で俺を見る……じゃあ誰がやんの?みたいな目線がちょっとイタいよ君たち。
俺は先んじて一歩を踏み出し、洞穴を暫し見つめる。
まぁ俺も元引きこもりとして気持ちは分かるよ……長い時間、んな暗闇で惰眠を貪れば恐くもなる、そこから一歩だって出られなくもなるさ。
だからこそ、テメエらには遠慮も配慮も無しにぶち壊す。
「はーい、それじゃあ、みんな俺がイイって言うまで眼を瞑っててね♪」
「………?」
カシュッ……。
カランコロン………。
………パシュッ!
刹那、瞼越しにでも感じられる程の閃光が洞穴内部を充たす。
と同時にまたも聞くに耐えない絶叫が木霊する……って、何かさっきとちょっと違う声が混じってると思ったら、マイケルのヤツが『眼がぁァ
っ!?』とか叫んでるし、人の忠告は聞こうよ(笑)
毎度お馴染みの閃光手榴弾の威力はスゴいの一言だね♪
まぁ、最深部に自生する光苔を瞳に取り込んで云々って事は、裏を返せば光に対して過敏になっちまうって事でもある、しかもそれが数十年単位で慣れちまってたら、相当な苦痛だろう。
それから数分後……あっさりと長老衆を捕縛しました(笑)
マイケルはがっくりと項垂れて、ブツクサ呟いてたが失明とかの心配はないだろう。
「それで……この者達の処遇は如何致しますかモンテ様?」
無残に捕縛された長老達を見下ろし、鉄鋏を抜いてみせるロジャーさん、眼が物騒極まりない。
「殺すな……コイツらの事はあの人達に任せるさ。」
俺はそう言って、イチタロウへ視線を送る……やはり来ると思っていた。
ゆっくりと、双子の妹に支えられながらも孫が心配で出てきたんだろう……洞穴の入口で婆ちゃんズが佇んでいた。
すまないと前置きした上で二人にはさっき言った件も含めた後始末を頼んだ。
まぁ、やらかしたとは言え、一族のまとめ役を揃って失脚させてしまったのだから、代わりを立てなきゃいけないよね。
そう言って説得する俺に婆ちゃん(妹)は頷きながら、姉の肩を穏やかに、嬉しそうに擦っているのが印象的だった。
……きっと、お姉さんは俺越しにイチタロウを視ていたんだろうな。
一体イチタロウが俺の背後でどんな表情をしていたのか、振り返らなくとも分かる気がした……。
何でかって?双子らしく、婆ちゃん達の表情が揃っていたからだ。
つづく




