1
ードスン
俺は落っこちた。学校の帰り道歩いていたら急に地面に黒い穴が空いて気がつくとここにいた。あたりは真っ暗でよく見えない。下は石でさっきから冷たい。立ち上がって周りを見ると出口らしき光が見える。俺は光に向かって歩いた。
外に出ると夜だった。上を見上げると月が煌々と光っている。満月だ。振り返り今出てきたところを見ると石や砂で作られた遺跡のようなところだった。そして今ようやく気づく。
「ここはどこだ...」
その声は夜の暗がりに溶けていった。ここは高台になっていて調度正面に街があるのがわかる。だがその建物は日本にある高層ビルやマンションではなく石や木でできているのがわかるほど粗末なものだった。そして俺はようやく現状を理解した。
「ここは異世界だ...」
いや、まだ地球ではないこと証明できない。日本じゃなくても地球のどこかにこんな国があってもおかしくはない。だがすぐにその考えは打ち砕かれる。
よく見ると下に人がいるのがわかった。階段を見つけたので下に下りる。階段をずっと下りると人影を見つけ、この人に尋ねようと近づくと会話が聞こえたので咄嗟に物陰に隠れた。
「今日の調子はどうだ。」
「まずまずですボス。」
ボスと呼ばれている方はとりあえずでかい。身長190cmはある。そしてあのガタイの良さ。いかにも不良のボスという感じだ。もう1人はボスの方とは違いひょろひょろだ。並んでいるからかこっちが小さく感じる。
体調の話をしているのかと思い、道を教えてもらうだけだと思って動こうとしたとき、次の声が聞こえた。
「今日は男1人だった。どれぐらいで売れるかな。うっひっひっひ。」
その声を聞いたとき全身に寒気がした。なんかよくわからないけどバレたら殺されると咄嗟に考える。どうすると考えていると、
「寒いな。お前火をつけろ。」
ボスがそう言った。するとひょろひょろの方がなにかを取り出す。杖だ。
「火よ!」
そう叫ぶとその前にあった焚き火が燃えた。その行為に俺は心当たりがある。俺はゲームが好きだったからよくわかる。魔法だ。そしてここが地球ではないことがわかった。そうだとすればさっきの会話は人身売買していることになる。やばい。とりあえずやばい。手をみると汗が滲んでいる。なんとかしてこの状況を打破しないと。ボスの近くに大剣が置いてある。俺の身長と同じぐらいの大きさだ。あんなので切られたら俺なんて真っ二つだろう。何でもいいから武器になりそうなものを探す。俺の前にあった箱の中にナイフが入っている。鉄でできた安そうなナイフだが、無いよりはましだ。
「俺、ちょっと便所いってくら。」
ボスがそう言ってどこかにいった。
魔法使いしかいない。チャンスだ。魔法使いなら接近戦は苦手なはず。ここから突っ込んで先に。緊張で鼓動が高まる。
今だと思い、物陰から出て魔法使いに向かって走る。魔法使いまであと2メートルほどになった時ようやく気いて驚いた顔をしている。よし、いける。ナイフを魔法使いに振り下ろす。ナイフが魔法使いにあたった。
「はあはあ...」
なんとか魔法使いを倒した。後はボスだけだと思い自分の手を見る。真っ赤に染まっていた。自分の服も真っ赤だ。さっきまでは必死で気付かなかったが、自分が人を殺したことを知った。振り返ると、魔法使いが血を流しながら倒れていた。思わず吐きそうになったが我慢した。まだボスが残っている。
集中しないとと思うがさっきの感覚が手にこびりついている。人を殺したことをなんとか忘れようとするが考えてしまう。
そんなことを考えていたからか、一人倒したことでの安堵か警戒を怠っていた。俺はボスが帰ってきたのに気づかなかった。
「お前は誰だ。そいつをやったのはお前か。」
その重々しい言葉に気がついて振り向いたが遅かった。頭に衝撃がきたと思ったら、意識が遠のいていった。




