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今日から傭兵 -就職先は軍事会社でした-  作者: 蒼乃堂紋
第8章『私情最大の作戦』
49/62

#47

どうもご無沙汰しております

久しぶりの投稿です

待っていてくださった方すいませんでした

海軍局にこの人ありと言われる人物が居る。

裏で海軍局を操っているとかで、影の提督なんて言うあだ名で呼ばれている。

なぜそんなあだ名や噂が流れているか。

理由は簡単だ。

彼が住んでいるのが海軍局の海上基地だからだ。

もちろん住み込みで任務に就いているとかではなく文字通り住んでいるのだ。

一般的な常識から考えれば一介の軍人である彼が基地内に住居を構える事など許される訳がない。

そこでたった噂が影の提督という訳だ。


本土から離れた場所に存在する海軍局第二六海上基地、通称要塞島。

多数ある海上基地の中でも一際大きく同列規模の海上基地と比べ兵士達の練度も群を抜いてすばらしい物があると軍内でも有名だ。

他の海上基地が人工物を基礎に洋上に建造する方式をとるなかこの基地だけは無人島を買い取りその島の周囲に基地施設を建造する他には類を見ない方法をとっている。その為についた名が要塞島だ。

司令官が基地に住んでいるのもこの無人島を買い取ったのが彼だからだと言うのがもっぱらの噂である。

他にもここが有名な理由がある。

洋上警戒にあたっている哨戒艇や補給の為に立寄った軍艦の出入りが頻繁にあるが補給作業の手際や整備の優秀さから乗組員からの信頼も厚い。

そんな基地を率いているのが影の提督こと五十嵐猛中将である。

猛というその名にふさわしく厳つい顔ととても50代とは思えないほど筋骨ムキムキの体をしている。

部下への接し方は常に厳しく、自分にはより厳しく接している五十嵐中将は普段はしかめっ面だ。

陰で部下から鬼五十嵐なんて呼ばれるくらい怖い顔なのだがそんな彼が今ではまるで別人のような顔をしていた。

普段はつり上がった眉毛も今は力なくふにゃっと曲がっており、鋭い眼光を飛ばしていた力ある目は細くなって目じりにシワを作っているだけだ。

たぶん彼の部下が見たら誰か分からないだろうというくらい破顔している中将の前には1人の女性が座っていた。


「・・・お、お父さん」

「なんだい瑠璃ちゃん?あっそうか紅茶にはケーキよりクッキーだったね!」


そう、もうお分かりかと思うが影の提督こと五十嵐猛は千華警備の五十嵐瑠璃の父親である。

厳つい体が座っていたソファーから浮くとソファーには座っていた痕がくっきりと残ったままになっていた。

すぐに準備するからと2人が座っていたリビングを後にし、キッチンへと向かった中将。

数秒で戻ってきた時、到底甘い物が好きようには見えないその巨体の手には焼き立てのクッキーがお皿に盛りつけられていた。

もちろん生地から丹精込めて作った中将お手製のバタークッキーである。

あのゴツゴツとしたデカい手で作ったとは到底思えない代物だ。

美味く作れたと自信を持って言える一品である。

以前試作品をこっそり基地内の休憩所に置いて様子を伺っていたら評価は上々だった。

ただ誰が作ったのかは最後まで分からずじまいでいろいろな噂が飛び交っていた。

今回のバタークッキーも間違いなく上手く焼けた。

中将は自信を持って娘の前にそのお皿を置く。


「紅茶のお替りは如何かな?」

「・・・貰います」


ニコニコとした笑顔でティーカップに紅茶を注ぐ中将。

とても部下には見せられない普段の威厳もへったくれもない姿だ。



彼がこんなにも態度が変わるのは理由がある。

娘の他に息子がいるのだがすでに成人した子供達は親元を離れて暮らしている。

早くに妻を病気で亡くした彼は2人の子供達に寂しい思いはさせまいとそれはそれは愛情を注いで育ててきた。

先に息子の方が1人暮らしをするようになってからは娘に対して尋常ではないほど愛情を注ぐようになった。

しかしそれが原因で娘が実家を出て行った事に彼は気づいていない。

現在は偶にしか顔を見せない娘に会える日だけを楽しみにしている状態だ。

基地内でも中将の機嫌の良い日とそうで無い日があるとすぐ分かるようで娘が会いに来る1週間を至福の1週間と呼んでいる。

ただなんらかの理由で娘がこれないという事があるとその1週間が死の1週間と呼ばれるほど過酷な抜き打ち訓練があったりすると言う。

そんなこんなで娘にはまるで別人のような表情を見せる事はこの基地内にいる軍人達には周知の事実となっていた。



紅茶を注ぎ終わった時、電話の呼び出し音が静かなリビングに響いた。

その音に一瞬だけ仕事中にする鋭い目になるとすぐに元のだらしない目に戻す。


「ちょっと失礼するね、瑠璃ちゃんはゆっくりしてってね!」


呼び出し音が鳴り続ける電話を取ると相手を威嚇するように低い声で言った。


「上手く追い返したのか?」

「・・・そ、その」

「なんだ歯切れが悪いな」

「実は、その」


受話器越しに部下からの報告を聞いた中将は怒りにワナワナと震える手を振り上げようとして止めた。

(いかん、いかん、今は娘が来ているんだ。落ち着け)


「わかった、報告ご苦労」


受話器を元の位置に戻すと急いで娘の待つリビングへと向かう。

着けていたエプロンをたたみながらリビングへと入った中将は娘がクッキーを食べている姿を見てガッツポーズを取る。ただし心の中で。


「瑠璃ちゃん、ちょっと仕事が入っちゃったからごめんね。直ぐに終わらせるから、夜は何が食べたいかな?お父さん腕ふるっちゃうから何でも言ってね」

「・・・なんでもいい」

「うんわかった!期待しててね、直ぐにサクッと終わらせるから!」


中将は椅子に掛けていた軍服の上着を羽織るとリビングから出て行く。

玄関から外に出ると部下が車を待たせて待機していた。


「現状を報告しろ」

「はい、こちらに・・・」


すでにあの娘に甘々なあの中将の姿はここには無い。

車内で部下からの報告書に目を向けながら基地の司令室へと向かう。


「陸軍局参謀本部・・・」


渡された報告書のある項目が目に止まった。

報告書が千切れるのではないかと思うほど握られた様子を横で伺っていた部下は生きた心地がしない数分間を車が止まるまで味わう事となる。


読み返してわかったんですがなんか無理やりというかご都合主義とか

ちょっと無理あんだろって部分が多々あって悩みました


まぁ小説って事で多少の事は気にしないという方向で宜しくお願いいたします

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