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第1話 33歳サラリーマン、パパ活はじめました。

「健吾、あなたとは結婚できないわ。別れましょう……」


 突然、彼女である紗理奈から別れを切り出された。


 俺の名前は伊藤健吾、中堅住宅メーカー勤務の33歳サラリーマンである。


 6年付き合った彼女との結婚を目標に仕事を頑張り、現在年収500万円、この春には係長に昇進した。


 久しぶりのデートで気合をいれて、帝国ホテルのディナーコースを予約し乾杯が終わった後、彼女に思い切ってプロポーズをしたところ、彼女の顔色がみるみる曇り、別れを切り出されてしまったのだ。


「何で、何でだよ!俺はキミのために仕事を頑張って、結婚資金も貯めていたんだよ。なのにどうして急に!」


 紗理奈は落ち着きながらも冷徹な声で俺にこう告げたのだ。


「健吾……あなた本当に私と釣り合っているとでも思ってたの?」


「それに私には、あなたとはランクの違う今彼がいるのよ」


「あなたと結婚して、都心から離れたところに家を建て、一生平凡な暮らしをするなんて、そんなの耐えられるわけないでしょ!」


 いい機会だから紹介するわ。そういってスマホを取り出し連絡すると、ホテルのロビーに20代後半の高身長、モデル級のイケメンがやってきた。


 そして奴は、紗理奈の肩をひきよせ、俺にこう言い放った。


「紗理奈、この貧相な男がキミの彼氏だった奴?よりによってこんな奴に付きまとわれていちゃあね」


「きれいな花には蝶だけではなく、汚らしい蛾も寄ってくるってことだね」


 紗理奈は、勝ち誇ったように俺に言葉を吐き捨てる。


「健吾、彼は中田ミシェルっていうの。ハーフのイケメンで実家は資産家、慶應大学出身で、大手企業に勤めているわ」


「年収はあなたの3倍以上だし、イケメン、高身長、そして身体の相性もぴったり、あなたに何一つ彼より勝っているものなんかないの」


「6年間、お情けで付き合ってあげていたことも理解できないなんて」


「はっきり言うけど、あなたは用済み。もう顔も見たくないわ!」



――頭の中は真っ白で、悲しみを通り越して何ももう感じられない。


 紗理奈とのいろいろな思い出、あれはすべて嘘だったのか。


 6年前、出会った頃の情熱的な日々は何だったのだろう……


 俺はそこからの記憶がはっきりとは残っていない。


 どこの駅からどの電車に乗ったのか、全く覚えておらず、ただどこかの駅前にある大衆居酒屋に入り、浴びるように酒を飲みまくった。


 本当に急性アルコール中毒になって死んでもいいと思うくらい、浴びるように酒を飲んだのである。


 記憶も曖昧なほど泥酔した俺は、その勢いのまま駅前で若いヤンキー風の高校生に絡みまくった。


 はっきりいって普段なら話しかけることもない高校生たち、でもそんなことはどうでも良かった。


 酒の勢いのまま、道でたむろしている高校生たちに突っかかっていく。


「お前ら、何たむろしていやがるんだ。道の真ん中でよー」


「何だ高校生か、なにイキってるんだ。大人なめんなよ!」


「オラオラ、おっさんと思って、馬鹿にしてんだろ、かかってこいや!」


 気が付くと、少年たちにボコボコにされた俺は、プランターに頭を突っ込み、顔中傷だらけ、身体もボロボロ、痛みと酔いで動くことができなかった。


 通報を受けた警察官が俺に声をかけ、起き上がれないことから救急車で病院に運ばれたのであった。


 翌日、俺は病院で厳しく注意を受け、警察署にも呼び出しをくらい、こっぴどくお説教をされた。


 何やら高校生たちに手を出したのは俺の方からで、周りの見物人たちからも、証言を得ているとのことであった。


 俺は恥ずかしさと情けなさ、自分自身が嫌になり、そのまま自分の家に帰ると、震える手で会社の上司にLINEしたのである。


 『申し訳ありません、私事でしばらく会社には出れそうもありません。病院を受診後にまたご連絡をいたします』


 俺はそこから1週間会社を無断欠勤した。


 そして自暴自棄になった俺は、出会い系アプリをインストールしたのだ。


 スマホの画面にスクロールされる女の子たち、次々とまるで使い捨てのように消費される商品を見定めるように品定めをする俺。


 プロフィールで身体の関係を匂わせる文面を探し、「食事やお茶はかんがえておりません」「顔合わせは考えておりません」そんなヤリモクでもOKそうな女の子たちにメッセージを送りまくった。


 人気順で検索をかけ、20代の若くて綺麗な感じの写真の子ばかりにメッセージを送りまくるが、なかなか連絡がこない。


 ヤケクソになり、どんどんスクロールを繰り返すと、人気下位のほうに18歳で写真加工されまくってはいるが、目をつぶれば許容範囲と思えるような一人の女の子が目に入る。


 名前はアスカ(まあ100%偽名だけど)、18歳で高校中退、顔は中の下、スタイルはやせすぎ注意といった感じではあるが、さっそく連絡をとることとした。


「大人できますか?」


 数分経って返事が返ってきた。


「お手当はいくらぐらいですか?」


 俺はまた返事を返す。


「大人は2から3くらいで考えています。お会いしてから相談したいです」


 また数分たって返事が返ってきた。


「はじめまして。マッチングありがとうございます。私はフィーリングが合えば大人3でお会いしています。条件があうようでしたらよろしくお願いします。」


 まるで定型文のような文章だけど、まあ皆にこんな感じなんだろう。


 そして俺は彼女と出会う約束をした。


「大人は2.5でいかかでしょうか」


「わかりました、その条件で大丈夫です。なしなら3ですけど」


「そうしたら3でお願いします」


「明日の15時に待ち合わせして、そのままホテルに行くのでも大丈夫ですか?」


「大丈夫です」


「ありがとうございます。そうしたら待ち合わせの1時間くらい前にまた確認の連絡を入れますね」


「承知しました。よろしくお願いします」


 翌日の土曜日に、渋谷駅で待ち合わせの約束になった。


 ちなみに俺はその日も深酒し、起きたのは10時過ぎだった。


 渋谷の円山町にあるラブホを検索し、評判の良さそうなホテルをピックアップして、俺は彼女に会うため身支度を整えた。


 いくら体目的のパパ活とはいえ、最低限の身だしなみは整えておかないとと思った俺はシャワーをあび、無精ひげを剃り、丁寧に髪をセットした。


 まあ、とはいえホテルに直行だし、そこまでオシャレするつもりもなかったのだが、クローゼットから白いワイシャツと紺のセットアップを取り出し、ローファーの靴をあわせて、一応清潔感のありそうなコーデでまとめることにした。


 家を12時頃に出ると、最寄り駅から中央線にのり、新宿で山手線にのりかえ13時過ぎには渋谷駅に到着した。


 正直、人気下位の女の子で、18歳という年齢も疑わしいくらいの感じだったから、期待はしていなかったが、待ち合わせに遅れないよう、つい時間前行動をしてしまう。


 そういえば絵里奈との6年間も、自分がずっと待たされる側だったな。何か今さらながらに腹だたしい気持ちになってきた。


 いかん、いかん、気持ちを切り替えないと。そう感じた俺は、気分を切り替えるため駅チカのオシャレそうな喫茶店に入り、時間をつぶすこととした。


 喫茶店は外の熱気と反し、すこし涼しいくらいクーラーが効いていた。


 スマホを開くと会社の上司からはもうLINEは来ていない。


 休み始めてすぐには鬼電のごとく上司から連絡がきていたが、すぐにLINEブロックして、着信拒否をすると、そこからは何があっても無視を貫いていたためだ。


 正直、今の仕事は好きだったし、住宅メーカーの営業として顧客相手の売り込みをするのもやりがいはあった。注文住宅の棟上げイベントや完成時の引き渡しに同席させて貰った時に、幸せそうな家族の姿をみるのも嫌いではなかった。


 でも、今からはもう仕事に戻ることは難しい。仮にうつ病と診断されて診断書を用意して貰ったとしても、おそらくもう会社に俺の居場所はないだろう。


『紗理奈のせいで……クソっ、あの女が俺の人生を狂わせたんだ』


 スマホを手に、考えたくもないが、あの女のことを思い出してしまう。


 気持ちを切り替え、小説投稿アプリを開き、面白い作品はないか目を通していく。


 今の気分は「ざまあ系」だったので、検索をかけると売り出し中の若手作家の作品が次々とヒットしていく。


 その中で、俺と同じ状況の、長年付き合った彼女に裏切られ、振られた男が、異世界転生してハーレムを作っていく作品を読み始めた。


 正直、そんな転生ありえねーとか感じながらも、ご都合主義で主人公にメス堕ちしていく美少女たちのハーレムを読みながら、時間つぶしとうっぷん晴らしをすることができたのである。


 そして時計を見ると14時00分になっていたため、俺は女の子にメッセージを送ることにした。お金のためだけの関係、そこに愛もクソもないことから、事務的な文面で連絡することとした。


「渋谷駅につきました。待ち合わせの1時間前ですが、今日は大丈夫ですか?」


 10分過ぎても連絡はなく、20分過ぎてもメッセージ通知はなかった。


 俺は苛立ちながらも、まあブッチする奴も多いだろうし、もう10分待って返信がなければどこかで買い物でもして帰ろうかと頭を切り替えようとした。


 すると5分ほどしてメッセージが返ってきた。


「遅くなりました。15時で大丈夫です。ハチ公口で待ち合わせOKですか?」


 俺は返事が遅かったことに悪い予感がしていたが、まあいいかと気持ちを奮い立たせてメッセージを返した。


「15時にハチ公口で大丈夫です。ホテル直行でいいですか?」


 今度はすぐにメッセージが返ってきた。


「それで大丈夫です。また後でお願いします」


 店をでて待ち合わせ場所のハチ公口でにむかうことにした。


 向こうの女子の服装はSHEINとかいうブランドのロリータ系地雷ファッションとのこと。


 フリフリ系でメイドっぽい服装で、量産型らしくツインテールにピンクのリボンが目印とのことだった。


 正直、知り合いには2人で歩いているところを見られたくないというか、まさにおっさんと少女のパパ活って感じ100%だよなと思いつつ、歩いて行った。


 ハチ公口には10分前に到着したがまだそれらしい女子は来ていない。


 もしかしたら俺の恰好も伝えてあるので、遠くからありなしを判断しているのかもしれないが、もう少し待ってみることとした。


 15時になりあたりを見渡してみると、ツインテールにピンクのリボン女子っぽい子がいたので、とりあえず声をかけてみようと近寄った。


「あの、待ち合わせですか」


「……」


「もしかしてアスカさんですか?」


「はい、アプリで連絡くれたお兄さん?」


「はい、連絡した誠(偽名だけど……)です」


「今日はよろしくお願いします(ペコリ)」


 その時、俺はただならぬことに気が付いてしまった。


 彼女アスカさんの身体からなんとも言えないような臭いが漂ってくることに。

もしかして彼女は風呂キャン界隈の女子なのか、それは本当に嫌だな……


「ちなみに、今日は大人でいいですか?」


 彼女からの問いかけに、もう一度彼女を頭の先から足の先まで確認し品定めする。


 顔はマスクで隠れていてわかりにくいが、目はプラスチックのような幅広の平行二重で、鼻筋はプロテアーゼ入りと思われる形をしており、まあ量産型の整形美人といえなくもない顔立ちをしていた。


 ただ、それとは対称的に、首筋の細さと衣服から見える手首の白さ、そして無数の手首にみえるリストカットの跡をみて、彼女から隠し切れない地雷臭を感じ、正直気持ちがしぼんでいくのを自覚した。


 ただここまで来て断るのも癪だし「それなら、なし3でお願いします」と答えた。


「それでOKです。ホテルいきません?」


 感情を殺した業務的な受け答え。


 そこで事前に調べておいた円山町のホテルに直行した。


 しかし、土曜日の昼下がりというのに、なぜこんなにもたくさんのカップルがホテルに行こうとしているのだろうか。


 世の中は盛りのついたサルばっかりだと思いながら、自分たちも目当てのホテルに到着したのである。


 休憩2時間3900円、それだけの時間があれば十分だ。


 部屋番号を指定し、エレベーターに乗り込む。彼女も俺も無言の時間が過ぎる。


 お互いの目的ははっきりしているし、特に話したいこともない。


 お金と性欲だけの関係、そこには愛も気持ちも何もない関係。


 でもそんなことはどうでもよかった。


 部屋に入ると、俺は彼女に先にシャワーを浴びたらと声をかけた。


 すると彼女は先に前金として3万円の半分を欲しいと言ってきた。


 まあそれは警戒するよな、初めての男女なら貴重品を盗んだり、ギャラを払わなかったりすることもあり得るし。


「前金を払うのは大丈夫です。でもそれは行為の直前でもいいですか」


 彼女は静かに頷いた。


「あとそんなに警戒しなくてもいいですよ」


「あなたからお金や個人情報を奪ったり、このままブッチすることもないですから、貴重品は持ってシャワー行ってください」


 彼女は黙ったまま、貴重品をもってシャワーに向かった。しばらくするとシャワーの音が聞こえ、彼女のやせ細った身体とリストカットの跡を想像し、意気消沈してしまう自分がいた。


 とはいえ、俺は手持ち無沙汰になってしまったため、ラブホの室内を色々探索することとした。


 テレビをつけると無料のアダルトビデオが流れており、Hな体操着で身体測定をしている映像が流れてきた。


 体温計をいやらしい部分に入れられたり、素肌にメジャーをあてられてバストを測定されたり、乳首を責められたりしていた。


 その映像をみて、さすがの俺も少しムラムラと気持ちが盛り上がってきた。


 彼女がシャワーからでると、白いバスローブに身を包み、若干の警戒感を滲ませながら、「お先しました」と一言いってベッドの方に向かっていった。


 そしたらシャワー浴びてきますと言い、俺も貴重品を持ちバスルームに向かった。バスルームではぬるいシャワーを浴びながら、シャワーソープで身体を洗い、彼女との行為に臨むこととした。


 10分ほどシャワーを浴び、バスローブに袖を通すと、彼女はベッドの上で携帯を手持ちぶさたにいじっている姿がそこにはあった。


 俺は「それじゃあ、俺も用意できました。始めますか?」彼女にそう声をかけた。


「いいですよ。そうしたら前金の1.5お願いします」


「わかりました。これで金額間違いないですか?」


「確かに1.5です。そしたら始めましょう」


 事務的なやり取りを終えた彼女は、照明を落としバスローブを脱いだのである。


 予想した通りかそれ以上に彼女の身体はやせ細っており、胸は良い言い方をすれば小ぶりであるが、正直貧乳で造形もあまり魅力的なものではなかった。


 またシャワーに入ったはずなのに、身体や髪にはまだほのかに臭いが残っており、それがさらに俺の心を萎えさせたのだ。


 キスはNGとのことで、しかたなく彼女の首筋や胸、脚など全身を愛撫しながら、目をつむり理想の女の子を頭に思い浮かべていた。


 彼女の反応は乏しく、特に声を出すこともなくまさに無反応。これがマグロ状態というやつなんだろう。


 愛撫が脚から秘部に移ろうかという時、さすがに俺も躊躇してしまった。秘部からやはり独特の香りが漂うことから、これは愛撫や生の行為が性病を避けられないものとして、頭に警告音として鳴り響いていた。


 とはいえ、ここまで来て何もせず残りのお金を払うのはあんまりだと感じた俺は、意を決して彼女の秘部を舌で優しく愛撫しはじめた。


 彼女の秘部は愛撫を繰り返しても、まるで砂漠に水を撒くかのように一向に湿り気を増すことはなく、前戯で気持ちを盛り上げようとする俺の気持ちは打ち砕かれてしまったのである。


 とはいえ、ここでホテルに常備されていたローションが目に入り、それを使用すると、ようやく受け入れ可能な状態となったため、改めて彼女になし3で大丈夫であることを確認し、そのまま挿入したのである。


 彼女の中はほのかに熱を持っており、無表情のロボットの様ではあったがそれなりに整った表情を前に腰を振るっていると、だんだん気持ちが盛り上がって、そのままさらに動きを加速させた。


 彼女は感じてなどいないのだろう。そしてこの行為はお金を得るための労働くらいにしか思っていないのだろうが、それでも俺は自分自身の気持ちを加速させ、ついに彼女の中に性のたぎりを発射したのである。


 彼女はプラスチック人形のような表情を崩すことはなく、そこに僅かな心の揺れさえも感じることはなく、ただ淡々と自らの中に注がれた精液を処理していた。


 そして「私が先にシャワー使ってもいいですか」そう問いかけてきたのだ。


 俺は「お先にどうぞ、あと貴重品忘れないでください」そう声をかけた。


 彼女がシャワーに入って身体を流している間、正直俺は快感よりも、虚無感と性病の心配ばかりしていたというのが本音であった。


 彼女はシャワーから出てくると、「お先でした。シャワーをどうぞ」と声をかけ、ロリータ系の服に着替え始めた。


 俺も急いでシャワーに入り、特に念入りに歯磨きとグリンス、そして陰部を丁寧に洗ったのである。まるで欲望の穢れを落とすかのように、シャワーソープの白い泡が排水口に流れていった。


 シャワーから出ると彼女は着替えを終えており、俺も手早く着替えをすませた後、彼女にお手当の話を切り出した。


「今日はありがとうございました。なし3でしたので、前金の1.5の残り1.5をお渡しさせて下さい」


「ありがとうございます。残りの1.5で間違いありません」


 彼女に残りのお手当を渡したあと、お互いに淡々と仕事を終えたサラリーマンの様に、特に話をすることなくホテルの入り口まで出てくると、そこで最後の挨拶を交わしたのである。


「それじゃ俺は駅にむかいます」


「そうしたら私は反対方向なので、またご縁があればご指名ください、さようなら」


 他人行儀な挨拶のあと、俺たちはまた都会の日常に戻っていったのである。


 そして俺がパパ活をして1週間がたったころ、風呂に入ろうとするとまさに心配が的中したのである。


 そう、それは陰部の猛烈な痒みと喉の痛みを感じ始めたのである。


 慌ててチャッピーに相談してみると、どうやら性病の疑いとのことであった。


 咽頭クラミジア、咽頭淋病、腟トリコモナス、カンジダ症……


 いくら自分自身が自暴自棄になっていたとはいえ、愛のない性行為の代償としては大きすぎるものであり、同時にあのアスカという娘にもやりきれない怒りを感じ、感情を抑えることができなった。


「あのアスカとかいう女終わってんな……クソっ!」


「金を払ったのにあのマグロ女、挙句の果てに性病まで移しやがって」


「紗理奈の奴も俺を捨てやがって、俺の周りの女どもはクズどもだ!」


「チクショウ、チクショウ!」


 荒ぶる気持ちのままに壁を殴りつけ、俺の握りこぶしから血が流れていた。


 だが、痛みで冷静になった俺は、思わず本音でこう呟いた。


「いや、一番終わってんのはこの俺か……」


 そして、俺は膝から崩れ落ちたのだ。

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