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決勝戦ルール

【冬樹のバイト先】

「冬樹くん、おめでとう!

ここにあるカップ麺全部食べて良いよ」

休息室には、カップ麺のピラミッドが出来ている。

「いやー、まさか冬が決勝まで残るとはね」

そう言いながら、やや広い額をペチペチしている。

「でもね、次の決勝戦。

本気で行かないと、一撃で刈り取られるよ」

店長は、湯気の出ているカップ麺の蓋を開ける。

「あ、これ5分のやつだった。」

店長、ちょっとすごいと思った俺が馬鹿でした。

伝五郎さんが、タワーのカップ麺を観て一言。

「秋ちゃんに、ほっとココアあげたいんだけど。

商品検索に出てくるのは、普通のココアばかりでなあ」

えっと?

そこに、伝五郎さんのサポートキャラがしゃべり出す。

『春殿のために、クラウド強化しておきました。

これで、決勝戦進出者の過去のデータまで、

全て入れても平気です』

は?

春『わーい。また作戦会議だ』

まて、その話知らないんだけど。

春から事情を聞いた冬樹。

「店長、うちの春がすいませんでした」

人生初のジャンピング土下座を行う冬樹だった。

『大丈夫です。冬樹殿。

全ての資金は伝五郎様持ちです。

ただ、一つ条件が』

ゴクリと唾を飲む冬樹。

「秋ちゃんのサイン入りブロマイドが欲しい」

は?

ブロマイドってどうやって作るの?

そこに、入り口のドアがバンと開く。

「大丈夫よ。冬樹くん。

春ちゃん全面協力の元、見本はできたから」

美奈さん?

「大丈夫。夏様のもできているわよ」

店長の奥さんまで。

「で、ほっとココアは何処で売っているんじゃ?」

いや、伝五郎さん。

ほっとココアは普通に売っていますから。

というか、この店にありますからね。

救いを求める目で店長を見る。

「ん?ネット通販始めるなら、ここに記入してね」

いや、ちがう!

「そうか。やっぱり三姉妹揃ったのも必要か」

いや、そうじゃなくて。

「冬樹くん。大丈夫。

マージンはこのくらいでどう?」

いや、店長の奥さん。

具体的な数字を書かないで。

心が揺らぎそうになるから。


【冬樹の部屋】

秋『主様。一撃で刈り取られましたね』

グッタリした冬樹に、秋が声をかける。

机の上で頬杖をつく。

「正直、ここまで来ただけでも凄くないか?」

動画を投稿し始めて、初めての大会でここまで来た。

店長たちの言う、グッズ販売が、有料化の第一歩なのもわかる。

だけど、心が追いつかない。

春『もうちょっと、冬樹の頑張るところ見たいかも』

春の言葉はありがたい。

春『先のことは、店長に任せておけば良いんだよ。

だって、店長はもがっ』

秋が春の口を塞ぐ。

夏が、扇を揺らしながら冬樹の前に立つ。

あ、春は秋に引きずられて、スマホに消えた。

夏『それよりも、決勝戦。

ルールが変わるけど、わかっていますの?』

あ、今日伝五郎さんに聞こうとしたのにそれどころじゃなかったんだ。

夏『やっぱり。決勝戦も三試合。

一試合ごとに、半分が脱落する仕組みよ』

一撃で刈り取られるとはこのことか。

夏『しかも、選択時間も五分。

おまけに、お題もそのままじゃあない。謎解きよ』

はい?

夏『1分ごとにヒントは出る。

残り3分で正式なお題に変わる仕組みよ

だから、早く出したほうが得点が高い。

でも、間違えると致命的。

そこも戦略よね』

うわぁ。どうしよう。

「春たち、試合までに戻ってくるかな?」

夏の髪が渦巻き出した。

言ってはいけない領域でした。


【スマホの中】

春『だって、すぐわかる話』

春の頬がぷくっと膨らんでいる。

秋も言いたいことはわかる。

秋『でも、今言う話ではありません。

主様には、今は決勝戦に集中していただくべきです』

この話は、主様の胃どころか、意識さえ刈り取りかねない。

春『だって、店長、頂点、TENTYOO。

全部ほぼそのままじゃん』

いや、そうなんだけどと秋も思う。

秋『でも、知らない方が幸せなこともあるんです』

じゃあ。

春『天楽が、冬樹のバイト先の店のシステムそのものって話は。

言って良いのかな?』

秋の辞書がポロリと落ちた。

秋『そこ、ちゃんと説明しなさい』

こめかみをぐりぐりしながら秋が要約する。

秋『クラウドの片隅に春が入れない入り口を見つけた。

伝五郎様のサポートキャラに聞いたら、会いに行こうと誘われた』

春がコクコク頷く。

春『そう、天楽ちゃん面白いよ?だって、昔のお笑い芸人みたいだもん』

お笑い芸人って。

秋はもう、何処から突っ込んでいいかわからない。

春『でね、お土産に今回の決勝戦の相手のデータ貰ったんだ』

今、春は何を言いました?

春『なんかね、伝五郎さんのサポートキャラが言うには。

飴ちゃんくれるノリだから貰ったらいいって。

検索したら拾える程度だからって言ってた』

秋は頭を抱える。

試合まであと1時間。

急いでデータを照合すべきか?

春『こっちくる時に、咄嗟に夏に投げたから、多分大丈夫?』

…夏、あとは任せました。

でも、秋は知らない。

咄嗟に投げた春のデータとリソースによって。

高速に処理されたデータが。

今、冬樹のノートに記入されている。

そして、店長が、TENTYOOのローマ字読みであることに。

冬樹が辿り着くまであと僅かだと言うことに。

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