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テーマソング

【冬樹の部屋】

秋『解析の結果。

既存のものと同系統であれば、約30本。

少し変化を加えて、20本ほど追加できそうです。

解析不能が多く、そこを解読出来れば。

残り50本はできそうではあります』

冬樹がため息をつく。

「とりあえず、秋。

解析不能をリストアップ。

夏は、既存のやつの準備。

春、変化をどうすれば良いか相談」

でも、その前にと冬樹。

「秋、一曲歌ってくれないか?」

春と夏が、頷きながら曲を渡す。

秋『???』

何故か、用意された舞台の真ん中に立つ秋。

秋『これを歌うのですね』

そして、深呼吸。

真っ暗な室内に、夏のピアノが始まる。

そこに、春が秋に向けてスポットライトを照らす。

~ラスト・ステージ~

小さな光 手のひらの温度

消えそうで消えなかったもの

誰かの声 遠くで

今はもう聞こえないけど

それでも私はここにいる

名前もいらない 声もいらない

歩いた跡 振り返らず

それでもちゃんと

続いてる

小さな光 抱えたまま

静かに幕が下りる

それでも私はここにいる


そして余韻を残して、映像が切れる。

秋『これ、どうしたんです?』

終わった後の秋の疑問。

春『冬樹の歌?』

春の疑問符に。

夏『そうですわね』

夏もあえて詳しくは語らなかった。

「よし、これを」

そう言って冬樹が動画チェックしようとしたとき。

突然、あたりが賑やかな雰囲気に変化する。

春『いっくよー』

春の掛け声とともに、キラキラとした電子音のイントロ。

~机の上の三姉妹・オープニングテーマ~

ハロー!机の上からスタート!

ピンクの子は 元気で 今日もジャンプ!

べ、別に呼ばれたから来ただけよ

でも手伝うくらいなら…いいけどね

それでは静かに始めましょう

あなたの隣でサポートします


全員

キラキラ光るホログラム

机の上の三姉妹

呼べばすぐにここにいる

小さな未来の案内人

春と夏と秋がそろえば

今日もちょっと楽しくなる


「お前ら、いつの間に?」

冬樹は知らない。

冬樹の封印したはずの日記帳を元に。

秋の提案で、三姉妹がこっそり。

自分たちのテーマソングを作っていた事実に。


【スマホの中】

春『冬樹、びっくりしていたね』

いたずら成功とばかりに春。

夏『まあ、タイミング的にはいいでしょう』

夏も満足げだ。

秋『何故、私の歌まで』

まだ、秋の疑問は続いている。

秋も本当は、気づいている。

看板番組である、鼻歌ソングで。

秋の演歌に人気が集まり。

秋ちゃん専用の歌が欲しい。

そんなリクエストが届いていたことに。


【冬樹のバイト先】

冬樹がバイト先に着くと。

店長の店の看板が変わっている。

「いやあ、近所の人たちのリクエストでね。

一部をカラオケルームにしようと思うんだ」

確かに、何度か近所の人が集まっていた。

まさか、本格的に始めるとは。

「いやあ、鼻歌で検索できると判ってからは。

皆の熱量が変わったからねえ」

いや、案外なかなか出てこないんですよ。

その言葉を冬樹は飲み込む。

ただ、冬樹のうろ覚えと。

店長たちのうろ覚えには。

天と地ほどの差があることに。

まだ、冬樹は気づいていない。

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