表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/47

三姉妹誕生

【バージョンアップ】

冬樹のスマホから通知音。

見ると、システム更新のお知らせ。

「へぇ。待望のホログラム化か」

思わず、机の上のノートを見る。

自分のサポートキャラ作成の為の設定集。

ひと月かけて、コツコツと書き溜めたもの。

「ほんの少し前まで。

サポートキャラ作成がきたと思ったら。

バージョンアップ早すぎ」

もう一度、ノートを見る。

「でも、3人から選べない」

ノートは3冊。

可愛らしい春のイメージ。

ちょっとツンデレな夏のイメージ。

癒しを求めた秋のイメージ。

それぞれびっしり図解付きで設定されている。

このまま3人とも入れるには。

課金しないと容量が足りない。

「いや待てよ。少しずつ特化機能にすれば。

3人とも入るんじゃ?」

設定画面と、ノートを見比べながら。

慎重にキャラを入力していく。

「まだ足りない。何を減らすか。

ホログラムの大きさを小さくすれば。

ギリいけるか。いやこれでは小さすぎる」

設定画面をなん度も触る。

性格設定を重視すべきか。

もしくは見た目を重視すべきか。

数ミリ単位で大きさも設定。

やっと満足のいく設定には出来た。

容量も99パーセントを表示している。

同意画面を押す。

「あ、課金しないと。

すぐにアップロードされないのか」

諦めて、PCとの同期だけ確認。

満足感と、薄れいく意識。

「明日のバイト。大丈夫かな」

そう思いながら、寝落ちする。


【スマホのなかでは】

春『落ち着いた?』

先ほどまで起きていた空間のゴタゴタも。

今はピタリと止んでいる。

夏『ちょっと狭い』

何処からともなく、ティセットを取り出した夏。

秋『潰れるかと思いました』

散らばった本を本棚に片付けながら秋。

春『だって、仕方ないよ。

本来なら、1人のところを3人だよ?』

絨毯に寝転がって漫画を読みながら春。

夏の目が剣呑なものに変わる。

夏『春、秋。これ以上侵入禁止』

秋の手がピタリと止まる。

秋『この空間で、どう過ごせと』

秋の空間は既に本でぎっしり。

本人の動く隙間もない。

春『早く、冬樹のバイト代入らないかな』

じゃないと、喧嘩になるよ。

という春のつぶやきは空間に消えた。


【冬樹の部屋】

机の上で目が覚めた冬樹。

「まだ、アップロード中か」

時間を見ると、まだバイトの時間には早い。

時間まで暇なので。

ベッドの上で仰向けに寝転がり、スマホを眺める。

「 “俺つえぇぇ”の作品。

とうとう有料化かあ。好きだったのに」

過去には、人が作ったものか否か。

そんな騒ぎがあったらしい。

でも、その騒ぎは。

人が作ったものはブランド化。

機械が作ったものは、より安価に。

と二極化。

さらに、人が作ったものに。

それぞれが固有のロゴを入れることにより。

簡単に真似できない仕組みへと進化した。

その余波により。

人は生きるために働くのではなく。

自由を得るために働く仕組みへと変わっていった。

冬樹は、学校で習った歴史を思い出しながら。

色々な動画を流し見る。

とあるタグが目に入る。

“バトル動画”

最近流行りの投稿動画バトルのタグ。

「俺の方が、もっと良いネタ持っているのに」

視線を向けた先には。

机の上に山のように積まれたネタ帳ノートの山と。

飲みかけのペットボトル。

食べかけのお菓子など。

「でも、投稿ってハードル高いよな」

投稿しても見られなかったら。

いや、その前に規約とか規定とかややこしい壁がある。


【スマホのなか】

ふと呼ばれた気がして、春は顔を上げる。

空中には、外の世界が映し出されている。

春『ねえねえ、冬樹。困っているみたいよ?』

隣の夏に声をかける。

夏『…』

夏の手の扇が微かに動く。

あれは、知らないの合図。

秋『あれは、困っているのではなく。

悩んでいるのでは?』

秋は、本棚の上に腰掛ける。

このままでは身動きが取れないから仕方がない。

春『でもさ、なんとかしてあげたい』

拳を握りしめ、春は勢いよく立ち上がる。

同時に、散らばっていた漫画本も消える。

夏『呼ばれるまで放っておけばいい』

春への口調とは裏腹に。

秋へは扇で“どうする?”の合図。

秋『確かに悩みをサポートするのも。

我々の仕事ではありますが』

秋の眼鏡が曇る。

冬樹の行動から、真意を図る動き。

春『じゃあ、決まり。行くよー』

春は、秋の結果が待てないとばかりに、空中へ飛び出す。

夏『春だけじゃ心配。私も行く』

続けて夏も空中へ。

秋『待って、私も行きます』

秋は、一瞬躊躇った後。

空中へ手を伸ばす。

その先には“待機中”の文字。

それを“転送中”に書き換え。

秋も空中に飛び込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ