風の力となる者(後)
俺は足が震えてしまい、身体が硬直してしまった。
詩音「し、慎太君・・・。に、逃げて…。」
俺は詩音に何も言い返すことができずに、逃げる事もできずに、ただゴーレムの前に茫然と立ち尽くす事しかできなかった。
同時に死という恐怖が芽生えた。
「死ぬのは嫌だ。」
ゴーレム「グオォォォ!」
死にたくない・・・。
俺は恐怖で硬直してしまってる身体を一生懸命動かして、後ろにいる詩音の方を見た。
(詩音・・・。ボロボロだ。一瞬で・・・。このゴーレムは強い・・・。俺じゃどうにもならない・・・。けど・・・。)
その時だった。
頭の中にあのときの声が響いてきた。
(天地共に力を持つ光と闇の神の化身よ…目覚めよ…。己の力を目覚めさせる時がきた・・・。神の化身よ・・・名を呼ぶのだ・・・)
その時だ。
その声を聞いた瞬間、俺の中で何かがはじけた。
「俺はこんな所で死ぬなんて嫌だ!お前みたいな怪物に詩音は殺させない!詩音は俺が守る!」
「目覚めよ我が力!雷神!!!」
するとどうだろう。
身体が急に光出して、力がみなぎってきた。
俺の頭の中に力の流れが入りこんでくる。
詩音「す、すごい・・・。これが慎太君の能力なの・・・。」
「風の力よ・・・。」
すると右の手に竜巻のような玉が現れた。
「雷の力よ・・・。」
すると、左の手に雷の玉が現れた。
俺はその二つの玉を合わせた。
何故だかわからないけど、できる気がしたんだ。
「風雷玉波!」
(ドッカーーン!)
ゴーレム「グ、グオォォォォ・・・ォォォ。」
ゴーレムは跡形もなく消え去った。
「大丈夫?詩音・・・。」
詩音「うん・・・。ありがとう。」
そして、俺は負傷した詩音を担ぎ、詩音に道案内を任せ、アジトを再び向かった。




