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派遣

夏祭りチャレンジ3日目!

 予想外の出来事もあったが、ジン達は医療部メディカルの医務室に着いていた。

「それじゃ、ジンは右。サラさんは左の部屋に」

 指示を出したのは医療部の責任者メサイアス。

 まさか、責任者が直々に当たるとは思わなかったジンは驚いたが、言われた通りに指定された部屋へ入ろうと足を運ぶと、

「ジンさん!」

 何故かジンの後をサラが着いて行こうとし、

「そっちじゃなくてあっち」

 エリシュカとミシカに引き戻され、指定された部屋に連れて行かれた。


 しばらくして、身体検査が終わったジンは小部屋の一室でメサイアスから診察結果を聞いていた。

「左手と頬以外に外傷はなし。骨にも異常はない。大丈夫だ」

「よかった」

 その言葉を聞いて何故か共に診察結果を聞いていたエリシュカが胸を撫で下ろした。

 怪我した所も改めて手当てし直してもらった。

「だから言っただろ。どこも異常はないと」

「だからって、飛び降りたりしたら普通怪我するでしょ!骨にヒビ入ったり!」

「いや、ヒビ入るだけでも痛みはあるし、そもそも折れるだろそこは」

 2人の会話にメサイアスは呆れながら突っ込んだ。

「とにかく、医者としてもこれ以上の無茶な事は控えてもらいたい!2度無事でいられる保証はないんだからな!」

 警告はするが、それでも探求者ハンターには聞こえていないだろうと考え肩を落とした。

「もういいか?」

 そう言うとジンは椅子から立ち上がった。

「ちょっと、何処に行くのよ!?」

「研究室。どうせ、そこで話を聞くんだろ?」

 そう言うとジンは部屋から出た。

「まったく……」

 止める間もなく勝手に出て行ったジンにエリシュカは頭を抱えた。

「大変そうだな」

「大変よ……」

 メサイアスは机に診察結果が書かれた紙を置いて言った。

「だが、惜しいな……」

 メサイアスの言葉にその意味を理解したエリシュカは真剣な表情を浮かべた。

「話は耳にしている。異跡の破壊。いや、爆発か。処分はかなり厳しいだろう」

 正確には故意に破壊していない。ジンがいたら言っていただろう。

「そこは今調査中よ。録音機が来たから状況を把握出来るかもしれないけど、一番重い処分は探求者資格の剥奪及び異跡探求者の脱退。」

「一番もなにも、それになるだろう」

 メサイアスの言葉にエリシュカは歯を噛み締める。

「検査の件、請け負ってくれてありがとう。まだ彼女について周りに知られたくなかったから」

 エリシュカは話を変えて感謝の言葉を述べた。

「古代人……か」

 エリシュカが指す言葉にメサイアスは呟いた。

 検査をお願いする上でメサイアスにはその可能性をあらかじめ説明し、ジンの検査のついでという口実で行ったのだ。

「真意はこれから確かめるわ。それで、彼女の方は?」

 エリシュカはサラの身体検査の結果について尋ねた。

 古代人であるかどうかを踏まえる為にジンの倍の時間をかけて検査をしていた。

「そろそろ結果が来てもおかしくないんだが……」

 そう言ってすぐに、誰かが扉をノックし入って来たのは医療部の女性であった。手には紙が握られていた。恐らくサラの検査結果だろう。それをメサイアスに渡すと部屋を出た。

 メサイアスは渡された紙をしばらく見た。

「……どう?」

 エリシュカが尋ねる。

「外傷は何処にもない。少し見た感じでは、人と全く同じだ。変わった特徴もない」

「そう」

 結果にエリシュカは息を吐いた。

「もし、尻尾や翼があったら古代人ってすぐ認められたのに!」

「冗談言うな!お前の口からそれを聞くと怖いから!」

 エリシュカの真顔の冗談にメサイアスが笑って突っ込むが、目は笑っていない。どうも、冗談が冗談に聞こえなかったようだ。

 エリシュカの発言。言い換えてしまえば別種族、異種族に当てはまる。もし、種族が複数いたなら世界は変わっていただろう。

エリー(・ ・ ・)は彼女についてどう考えている?」

「古代人の方?」

「ああ」

 メサイアスはエリシュカに意見を尋ねた。エリーはエリシュカの愛称である。

「古代人……かって聞かれると、証拠が少ないからそうですとは言えないわね。体は同じ。言葉も同じ。正直に言ってしまえば世間に疎い現代人ってところね」

 エリシュカは首を横に振った。

「けど、ここに来る少し前に開発部クリエーターが調べていたドローンを解体して銃を取り出したばかりか、再組み立てしたみたいなのよ」

「ほお!」

 メサイアスは軽い驚きを見せた。

 ドローンの解体は開発部でも困難で、銃を取り出しに成功したのは指で数えるほど。組み立てはした事がないが殆ど不可能だろう。

 それをサラは簡単にこなし、組み立てした。

「簡単に解体したなら古代人とも言い切れないけど、見方を変えれば手先が器用なだけ。もう1つ、何か私達の度肝を抜くような、とんでもない事をしないと古代人とは認められないし納得してもらえない」

「エリーが言うとんでもないは本当にとんでもないの様に聞こえるな」

 エリシュカの言葉にメサイアスは苦笑いした。

「だが、そこまで言うって事は、エリーは彼女が古代人の可能性があると信じているんだろ?」

 メサイアスの言葉にエリシュカの口が開いたまま少しだけ動かなかった。その様子に図星だなとメサイアスは思った。

 エリシュカは話を切り替えた。

「検査結果は……そうね、異常なしにしましょうアース(・ ・ ・)兄さん!」

 隠す様に慌てて言われたその言葉にメサイアスは肩を落とした。

「それにしても……もうそろそろよね?」

「何がだ?」

 エリシュカは何が言いたいのだと考えるメサイアス。

「来るのが遅くない?」

 サラが遅い事を言っていた。


  ◆


 ジンは情報解析部(アナライズ)第2班研究室に向けて歩いていた。

 途中、異跡探求者に所属する者達がジンを見て小声で言い合っていたが、ジンは気にせずにいた。

「ジン!」

 その時、ばあんと誰かがジンの背中を思いっきり叩いた。

 一瞬よろめいたが、目付きを鋭くさせ振り返った。

「無事に帰還したんだな……っておいおい、目付きこえーぞ!」

「うるせえ、元からだ!」

 何とも口の軽い男か。今まで歩いていたジンに誰1人と声をかけようとはしなかったのに、癖のある赤毛の髪に琥珀色の目をした男は普通に、しかも、当たり前の様に声をかけた。

 そのジンの鋭い目付きに驚いていたが、すぐに真顔を見せた。

「けど、無事で何よりだ」

 そう言って笑みを浮かべた。

 だが、ジンは無愛想だった。

「お前はあいからわずだな、ホルス」

「褒めても何も出ないぞ」

「褒めてねえぇ!」

 歯を見せて笑うホルスにジンは突き飛ばす様に叫んだ。

 ホルスはジンと同じ探求者で少しだけ歳上である。だが、ジンとは逆でよく話す。気が軽いと言うか、ふざけている様に見えると言うか、人間関係を築かない探求者にしてみれば珍しいほど社交的である。

「たくっ!用がねぇなら行くぞ!」

「待て待て!あるから待った!」

 ホルスは離れようとするジンを慌てて止めた。

「手短に言え」

 早く研究室に行きたくて仕方がないジン。

 ホルスは改めて真顔の顔を浮かべた。

「それじゃ言うぞ。ジン、俺と……」

「断る!」

「おぉぉぉい!まだ言ってないぞ!」

 本題を言ってないのにあっさりと一刀両断され、虚しい叫び声を上げる。

「どうせまた言うと思ったが、その通りだったみたいだな」

 何を言うか分かっていたジンはホルスに言うと研究室に向けて改めて歩き出した。

「知っていたなら始めに言えーー!」

 何とも騒がしい。待てと言われて待ち、聞けと言われて聞いたのに。

「だが、俺は諦めていないからな!」

「何故俺なんだ?」

 ホルスが言おうとしている内容を知るジンには理解不能だった。


 ジンの進行方向から2人の人物が歩いて来た。

「あら、ジン?」

 その内の1人、ホルスとはまた違う赤毛、赤銅色の髪の女性が声をかけた。

 ジンは足を止めると、表情を強ばらせた。

「やっぱり!話に聞いていたけど、本当に無事だったのね!」

 女性はジンに笑みを見せるが、ジンの表情が更に強ばる。

 はっきり言って、めんどくさい2人に捕まってしまった。

「聞いているわ。異跡を爆発させたって」

 それは全くの誤解である。

「それで生きているなんて、やっぱりすごいわね!」

 本人としては褒めているのだろうが、褒めていない。むしろけなしている言い方だ。

「ミネルバ、そのくらいに」

「はぁ~い」

 ジンの僅かな表情を感じ取った同行の男に言われてミネルバは渋々ジンから手を引いたら。

「気に触る言い方ですまないな」

 同行していた男はミネルバの話し方が癪に障る言い方である事を知っており、代わりに謝罪した。

 が、ジンは無言で睨み付けていた。


  * * *


 サラはエリシュカと医療部の所まで共に行ったアルファ達と共に研究室へと歩いていた。

 その途中、エリシュカが溜め息を着いた。

「あのバカ……!どうして気にかけなかったのよ……」

 何かに悔やんでいる言い方である。

 よく見ると、サラの服装が異跡で眠っていた時の服ではなく、至急された膝下で袖にゆとりのある長袖のワンピースに変わっていた。そして、髪が濡れていた。


 サラが検査結果を聞きに来るまで遅かった理由。それは、検査の多さではなく、検査が始まる前に水浴び、正確には体を洗いたいと駄々をこねた事と検査後に体を流したからである。

「ジンさんと砂漠にいた時に汗をかいたんです。それで、村で汗を流せると思っていたのですが……それに、もしかしたら汗の臭いも……」

 言いにくそうに言うサラだが、女性陣にしてみれば、これは駄々をこねると思った。

 サラの担当が全て女性であった事からすぐに体を流しに……とも行かず、準備があるから検査の後で体を流そうとと何とか説得して納得させ、終わってすぐに体を流しに行かせた。体を流す場所に着いた時も、水が若干冷たい温度に体が慣れていないからか、洗い場の使い勝手の悪さからか、理由は他にもある。それらが結果を聞きに行くのが遅くなったのである。


 そして、ジンが医療部から出てしばらくして、ようやくサラ達も研究室に向けて歩いていた。

「でも、男ってそうゆうのに気付きにくいものですよ?」

「それ、俺らに喧嘩売ってないか?」

 ミシカの言葉にカイロは眉を歪ませた。

「あれ?」

 その時、エリシュカが足を止めた。

 進行方向にジンと情報解析部第4班の班長レッカと助手のミネルバが何か話し込んでいた。

 エリシュカは顔を歪ませたがアルファ達に指示を出した。

「悪いけど、別ルートから先に行ってて」

「は、はい」

 エリシュカの言葉にアルファ達はサラを連れて研究室へと先に行った。

 4人を見送るとエリシュカはジン達を見つめ直し歩き出した。

「失礼、レッカ班長」

 エリシュカは声をかけて偶然という様に近づいた。

「これはエリシュカ副長!」

 エリシュカの声に気づいたレッカも声をかけた。

「ちょうどよかった!実はお願いしたい事があったんです!」

 エリシュカが来るなり、レッカは口を開いた。

「ジンを第16異跡に派遣させたい。」

「は!?」

 とんでもない事にエリシュカはともかくジンも驚いた表情を浮かべた。

「実は、予定していた探求者の1人が体調不良で行動不能なのです」

 経緯を説明するミネルバ。先程とは口調が違う。

「まさか、《悪童》じゃないだろうな?」

「ご明察」

 口を開いたジンの言葉にミネルバは頷いた。

 予想的中だ。探求者《悪童》なら仮病を使って休む事もやりかねない。

「一度報告した方がいいわね」

 エリシュカは腕を組んで考えた。

「そこでジンを借りたい」

「待って!どうしてジンなの?ジンには28異跡の報告を聞かないといけないの!他を当たって!」

 エリシュカは正面から否定した。

「いないのです。現在、予定が入っておらず本部におり、かつ軽傷者までの人物がジンだけです」

 ミネルバの説明に顔が歪む。

「なら彼は?」

 そう言って、ジンの背後でまだ残っていたホルスに指差した。

 ホルスは何と言う表情を浮かべた。

「彼は今回の調査に入っています。だから本部にいるんです」

 そうゆう事だと言った。

 ホルスが親指を立てる。

 立てるなとジンが心の中でぼやく。

「それに、もしかしたらこれがジンにしてみれば最後の任務になるかもしれない」

 レッカの言葉にエリシュカの表情が曇る。

「28異跡が爆発して壊れたのは言い訳が出来ない事実。その内部で調査し、生き残ったジンが爆発に関わっていると思われるのは当たり前。いや、爆発させたと思ってる」

 実際は違うがレッカの言葉にジンは無表情である。

「ジンの処罰は探求者資格剥奪と異跡探求者からの脱退が濃厚」

 エリシュカがメサイアスに話した通りの内容を言う。

「ここで調査報告をして処罰が言い渡されれば、探求者として何も出来なくなる。なら、言われる前に探求者の最後として異跡の調査をする事が、探求者としてふさわしいのではないですか?」

「ふざけないで!」

 レッカの言葉にエリシュカが叫んだ。その声に周りにいた異跡探求者達が釘付けになる。

 今ジンを行かせる訳にはいかなかった。ジンからは聞かなければならない事があるからだ。飛行機に乗っていた時に書かせた報告書の他にも異跡で感じた事や古代人と思われるサラの事。討論により深く理解し解明しなければならない。

 異跡は危険。再び生きて戻れるか分からない。

 エリシュカの肩にジンが手を置いた。

「……ジン?」

 ジンはエリシュカと顔を見合わせると2人に向かって口を開いた。

「分かった」

「ジン!?」

 ジンの答えに驚くエリシュカ。

「いいんだおばさん。いくら親だからってここで庇う必要はない」

 ジンの言葉にエリシュカは自身の血の気が引くのを感じた。そして決めた。

「分かりました。許可します!ただし、長く滞在しない事、異跡から必ず戻って来る事。それが派遣の条件です!」

 エリシュカからの許可が下りたジンは出発時間を尋ねた。

「出発は?」

「今から45分後、ターミナル10番から出発です」

「殆どギリギリじゃない!」

 ミネルバが口にした時間に驚くエリシュカ。

「見つからなければ中止にしようと思っていたんだが、ジンが行くと言ってくれてありがたい」

 なら中止にしなさいよとエリシュカは心の中で叫んだ。

「後で調査部リサーチを迎えに行かせるから」

 そう言って2人はジンとエリシュカから離れた。

 エリシュカは溜め込んでいた息をプハァと長く吐いた。

「全く……こっちの状況も知らないで勝手に!」

 エリシュカは去っていった2人に毒づいた。

 だが、最終的にジンを異跡に派遣させる事を決めたのはエリシュカだ。文句は言えない。

「ジン!」

 そんな様子も知らずにジンの首に腕を巻くようにホルスが飛び付いた。

「と言う事だからよろしくな!」

「近い」

 一刀両断。

「45分ってけっこうギリギリよ……身勝手班長よ全く!」

 一方でエリシュカはいまだに毒づいていた。

「研究室に急ぐわよジン!」

 そう言ってエリシュカは走り出した。

 ジンもホルスの腕をどかすとその後を追い走り出した。

「全く……」

 ジンの走る姿を見ながらホルスは呟いた。

「もう少し周りを見て見ろよ。1人で何もかも出来るほど人は器用じゃないんだからよ」


  ◆


「すぐにジンの装備を準備して!急いで!」

 情報解析部第2班の研究室ではエリシュカの言葉にジンの装備が至急準備されていた。

 本来は調査部が一手に担うのだが、ジンの装備品は情報解析部に預けていたために情報解析部が出来る範囲で引き受けていた。

「ジンさん、どこへ行くのですか?」

 数名の情報解析部が準備に追われる中、サラはジンに行き先を尋ねた。

「どこでもいいだろ」

 が、ジンは素っ気なく答えた。

「失礼します!調査部です!」

 その時、研究室に調査部の女性が入って来た。

「ああ、すみません、もう少し待ってください!」

 そう言って女性を待たせた。

「ジン!」

 エリシュカが叫ぶ。ジンは急いで駆け寄った。

 サラは準備の邪魔にならないように移動すると、アルファに尋ねた。

「ジンさんはどこに行こうとしているのですか?」

 その問にアルファは答えにくそうであったが口を開いた。

「異跡だ」

「えっ!?」

 どうしてと続かなかった。

「ただ、急すぎるんだ。本来ならジンから異跡での詳しい話を聞かないといけないのに」

 アルファも不自然に感じていたがそれをエリシュカには言わなかった。

 それを聞いたサラは不安を感じた。

 今のコロニーはガーディアンに正常な指示がされていない。サラがいたダミーのコロニーはたまたまボールが多かったからよかったが、それ以外の強いガーディアンが現れてジンが撃たれたと考えると……怖い。


 ジンはエリシュカから今回の装備品について説明されていた。

 特殊な装備品以外に本部で聞く事は殆どない。

「ジンの銃だけど、前の調査で無事だったのが5つ。銃身が9つ。予備は残念だけどまだ修理に出してて戻ってきていないの。メンテナンスは調査部にやらせるけど足りなければ支給品を足すわよ?」

「なら、ライフルを頼む」

「珍しいわね」

「背中を預けるのがあいつだからだ」

「なるほどね」

 エリシュカは頷く。

「それと、弾丸を大量に頼む」

「なら、弾倉がもう少し必要ね。他には?」

「任せる」

 一通り話終えるとエリシュカは受話器をとると調査部に繋げ、今話して必要な装備品を挙げていった。

 その間、ジンの装備品は整えられ、調査部に渡された。

「確かに」

 調査部の女性は受け取るとジンを見た。

「行ってくる」

「気を付けるのよ」

 ジンはエリシュカに一声かけると、調査部と共に走って部屋を出た。

 部屋に静けさが漂う。

「副長……」

 ジンがいなくなり意気消沈するエリシュカにアルファが声をかけた。

「さ、次よ!」

 が、エリシュカは声を張り上げた。やらなければならない事は、まだ始まったばかりなのである。

「28異跡の情報を全部まとめるわよ!セリカ、ジンの録音機の解析は?」

「まだ半分もいってません」

 エリシュカに名前を言われたセリカは説明した。

「そう。あとサラさん……あれ?」

 その時、再び違和感を感じた。

 エリシュカの違和感に気が付いた情報解析部全員が部屋を見渡す。

 サラがいない。いや、アルファ達3人にしてみれば再びいなくなった。

 ここでエリシュカは部屋に入る前にジンが言った台詞を思い出した。

―――あいつは時々いなくなるから気を付けてくれ―――

 部屋に沈黙が漂う。

「他は彼女を探してぇぇーーー!!」

 新たな課題が追加された。


  ◆


 サラは密かにジンの後を追って出ていた。が、

「迷いました」

 広すぎる異跡探求者本部で迷子になっていた。

 不思議な事にコロニーでは走ってジンの後を追い付けていたのに、今は全く追いつけないでいた。

 ここで幸いと言うべきか、サラの服装はワンピースである。コロニーで着ていた服を着ていたら目立っていた。だから、通りすぎる異跡探求者達は気にしていなかった。

 しばらく歩いたサラは窓から外を見た。ジンが外に出たならいるはずと考えたからだ。残念ながら、見えたのは海で、近くにはトラックしかなかった。

 もう少しと窓から体を乗り出した。

「きゃっ!」

 そして、バランスを崩して前方に転倒。サラがいた場所が1階である為に大怪我を負わずにすんだが、もし1階でなければどうなっていた事か。

「持ったかー?」

 その時、声が聞こえた。

 倒れていたサラは慌てて起き上がると近くにあったトラックの荷台に入った。

 悪い事をしているつもりはないのだが、体が反射的に起こしてしまった。

 本部から2人の調査部が出で来た。

「全部揃ってます」

「それじゃ行くか!」

 そう言って2人は操縦席と助手席に座るとトラックにエンジンをかけて動かした。

「あ!」

 トラックが動いた事に気がついたサラ。

 トラックは思いの外揺れ、いつ揺れるか分からないずに立つに立てないでいた。

 そのままトラックはターミナルに着くと10番とかかれた場所に停泊している船に乗った。船にはトラックが2台乗せられる程のスペースがあった。


  * * *


 その船の前ではジンがちょうど到着していた。

「ギリギリだなジン」

「うるせぇ!」

 ホルスの言葉に呟く。

「で、ここから1時間くらいか?」

「はい」

 ホルスの質問にジンの荷物を持って運んだ女性が頷いた。

「それじゃ、さっさと終わらせて戻って来るか!」

 ホルスはそう言うと船に乗った。続いてジンと船に乗り、今回の調査に赴く全員が乗ると、船はターミナルを離れ、第16異跡のある小島へ向けて出発した。

と言う事で本部から次の異跡へ!

今度はそこに何があるのか?



…………また豆知識書くことないぃぃぃぃぃΣ(ノд<)


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