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 異跡探求者トレジャーハンター専用機船サマク035号は第16異跡がある孤島に向けて進んでいる。

 異跡探求者本部から孤島までは片道約1時間。移動時間が短い事から異跡探求者の調査ではもっとも調査が進んでいる異跡である。出現するドローンの殆どが球型の浮かぶドローンである事から新人探求者ハンターの初調査と言う名の洗練として派遣されやすい異跡である。


 その孤島に向かう船につまれたトラックの荷台の中で唯一異跡探求者ではない人物、サラは困っていた。非常に困ってしまっていた。

 見つからない様にと乗ったトラックが動いてしまい降りるタイミングを逃してしまった。

 今は止まっている様だが、外に出て安全かどうか分からない。そもそも、何処に止まっているのかも分からない。

(ジンさん……)

 暗闇の荷台の中で意気消沈していた。

 サラが目を覚ましてからはいつもジンがいた。無愛想で口数少ないが、危ない所を何度も助けてくれた。

 そのジンが再びコロニーに行くと聞いて怖くなり追いかけてこの状況である。

 それが今はどうだろうか。追いかけた事によりジンを見失ったばかりかもしかしたら2度とジンに会えない状況に陥ってしまったのだ。

 しばらく己がした行動を悔やんで顔を伏せていたサラは気持ちを切り替えてトラックの扉を見た。

 ここにいては何も始まらない。まずは外がどんな所なのか確かめる。

 サラは扉に手を当てるとゆっくり開けた。

 そして、開けられた扉から広がるその景色に目が釘付けになる。

「……海?」

 それは、飛行機に乗った時に上空から見下ろした海が水平に広がっていた。目前に広がる海は上空から見たのとは全く違う様に水が光を反射し、波が立つ。何より、波の音が耳に響く、潮の香りがしている。海がサラの五感を刺激していた。

「うわあぁぁぁ!?」

 その時、海の様子をしばらく見ていたサラは突然水をかけられたような悲鳴に驚き振り向いた。

 そこには1人の男がおり、口を開けたままサラを見て固まっていた。


  * * *


 ジンは船の甲板で潮風を感じながら海を見ていた。

 服装は情報解析部(アナライズ)が連絡して調査部に準備させた探求者の服装であっる。前に着ていた服は言わずもながら焦げてしまったり直しておらず耐久性に難があり点検もしていないから着せるわけにもいかず、新品の服を着ている。

 船が着いたら直ぐに第16異跡の調査だからである。

 かなり急なスケジュールだが、これは孤島や何もない砂漠の真ん中になどに異跡がある場合、船や飛行機でしか行けない場所の移動時間を無駄にしない方法である。

 第16異跡まで片道約1時間の船旅は非常に短い。

 船に乗るとすぐにミーティングが始まった。簡単に第16異跡の説明と目的についての話しである。本来はその後に必要な装備品についても話すのだが、異跡探求者本部からの出発であった事から前もって情報解析部と探求者が話し合い調査部リサーチが補充していた。そして、探求者の装備品は異跡に着いてから準備する事となっている。

 これはどこの異跡でもそうだが、装備品を持って行くのは調査部の役割だが、異跡に入る前に探求者が装備品を準備、点検をさせないように決められている。過去に前もって装備品の準備と点検を探求者が行ったら、無断で装備品を持ち出し借りた部屋に隠して保持や転売と言った問題行動があった。その為に準備は異跡に入る直前に行うとされ、部屋には装備品を持っては戻れない様になった。

 ミーティング後、私物を置くために借りた部屋で素早く着替えを済ませた。新しいから少し動きにくく感じるが、動かしにくい分は経験でカバーするしかない。

 その事もあり、早くにミーティングと着替えを終えてやることがないジンは甲板に出てそこから海を見ていた。もっとも、異跡がある孤島が見えてきており着くまで時間はかからないが。

 風が更に強く吹き、風を受けている帆が更に強く張る音が響いた。

 ジンが乗る船は帆とエンジンが搭載されている船である。


 一部の船がエンジン搭載かエンジンと帆の両方が付いている船だが、現在でも風を受けて走る帆の船が存在し、現役で使われている。

 これも異跡探求者の技術と本部が置かれている土地柄が大きく関係している。

 異跡探求者本部が置かれているのは永世中立諸島ニシアン。つまり、海に囲まれ数ある島のその内の1つに置かれている。設立当初は空を飛ぶ飛行機は存在せず、物資を運ぶにも移動手段は船しかなかった。その船も異跡探求者用に大量に積み込め、速く走る事が求められた。

 異跡調査と平行して船の改良が何度も行われた。船の形から大きさ、重さ、積載量など、速さを求める改良を重ねた。そして、調査が進むにつれてエンジンが開発されると、すぐさまそれを船用エンジンとして作り搭載した。

 エンジンの力は凄く、それまで風に頼るしかなかった航海が劇的に楽になった。ニシアンから大陸までは早くて片道約半月、長くて約1ヶ月かかった航海が僅か1週間に縮み、船のみしか移動手段がなかったニシアンからは大いに喜ばれた。

 しかし、それでも遅いと考えた異跡探求者は風が吹いている時に帆を張りエンジンの補助にしようと考えた。条件は厳しく、逆にエンジンの出力を落としてしまうのではないかと言う意見もあったが、これが思いもよらず速かった。

 風を受けているから速いと言えたが、何よりも、エンジンだけでは積載不可能な量も乗せる事が出来た事から異跡探求者では改良を重ねる今も大いに帆とエンジンの船は重宝されている。


「よお、ジン!」

 波打つ海を眺めるジンに探求者の服を着たホルスが陽気に声をかけた。

 ジンは少しだけ目線をホルスに向けるが表情が一瞬歪む。

 その表情に気づいていないホルスも異跡に着くまでやる事がないのだろう。そのままジンの横に立つと海を見る。

「何故隣に立つ?」

 ジンは横に立つホルスに不機嫌な表情で突っ込んだ。

「ん、なんとなく?」

 それに答えるホルス。答えになっていないし、そもそも答えるのに困る質問である。

「なら立つな」

 ジンは突き放す様に言う。ここまで言ってしまえば2人の間に不穏な空気が立ち嫌悪となってしまう。が、

「でもな~、ここにいればすぐに中に戻れるからいいんだよな。それに、風も気持ちいし」

 ホルスは頭をかきながら言う。

 確かに風が気持ちいのは認める。陸ではあまり涼しい風を感じられない。船に乗っていなければ海の涼しい風を感じる事が出来ない。

 この言葉に折れたのか、これ以上突き放すのが無理と考えたのか、はたまた同意したからか、ジンはそれ以上言わなかった。

 男2人が並んで海を眺める。

「なあ、ジン」

 しばらくしてホルスが口を開いた。

「本当に誰ともパートナーを組まないのか?」

「ああ」

 ホルスの言葉にジンは決まっていると言うように即答に答え頷く。

「俺はジンの事を認めているんだがな~」

 ホルスはそう言うと1つ溜め息を着いて何度もジンに語りかけている事を言いだした。

「ジンは確かにすごい。だけど、1人で何でも出来る訳じゃない。ジンが今必要なのは誰かと常に手を組んでいくパートナーが必要事だと俺は思うぞ」

 ホルスはジンに何度も手を取り合えるパートナーが必要である事を語っていた。それは、ジンに足りないもの。そして、ホルスが探求者としてジンを認めてパートナーとして組みたい事も含まれていた。


 パートナーは2人以上の探求者が生存率を上げる為に常に組んで探索する事を言っている。

 実際にパートナーを組んだ探求者は連携が取れ、生存率は臨時で組んだ時よりも僅かに高い。それを知る探求者は気が合うもの同士や心を許せる者と組む事が多いのだが、探求者の人間関係は非常に狭い。だから、パートナーを組める、組んでいる探求者はほんの一握りしかない。


「俺は誰とも組まない。そう決めている」

 だが、パートナーを組む事を否定する者もいる。ジンもその1人である。ホルスがパートナーの事を言うとジンから返ってくる言葉はいつも決まっている。

 何度もパートナーの打診について語るホルスには何故ジンがこれほどまでに拒否するのか分からない。

「それに、28異跡で起こった爆発の責任で探求者を剥奪されるかもしれないしな」

 今回は付け加えて言う。これが最後の調査かもしれない。だからパートナーは要らないと。

 それを聞いたホルスは驚いた表情を浮かべた。

 さすがに探求者の間でも第28異跡の爆発の噂は大きく話題に上がったのだろう。それにジンが関わっていると知ったホルスだが、それでも語る事を止めない。

「例えそうだとしても、他にも心を許せる者を見つけないといけないし、いないといけない。俺はジンよりも探求者をやっている。だから言える。ジンには誰かいないといけないと」

 それがホルスがジンの実力を認め、ジンを気にしてパートナーとして組みたいと言うホルスの理由である。

「それが、お前だと言うのか?」

 だが、ジンの言葉と目は冷たくホルスに向けられる。

 ジンにはホルスが必要だと言う事を必要とは思っていなかったし、考えてもいない。それよりも、ホルスが言う必要と言う物を手にして失う事を何よりも恐れていた。

「俺は多分、その1つだろうな?」

 だが、ホルスもホルスでジンと言う人間が分かっているのか答えはうやむやに、物腰は柔らかかった。

「うわあぁぁぁ!?」

 その時、船の後方、トラックが止められている所から声が悲鳴が響いた。

「何だぁ?」

 甲板で聞いたホルスは驚いて声を上げた。

 船に乗っていた異跡探求者数名が何事かと悲鳴が聞こえた場所へと走る。

 ジンとホルスも同様に走る。

 もしかしたら、船に異常が起こった可能性もありそれを自分の目で確かめる為に。

 だが、彼等の予想は大きな意味で外れてしまう。

 ジンがそこに着いた時、目を疑った。

 そこにいたのは、驚きのあまり固まってしまった調査部の男。

 そして、トラックの荷台の扉が開かれ、その荷台には困った表情を浮かべてどの様にすればいいのか分からないサラの姿があった。

 ホルスを含む異跡探求者達はどうして異跡探求者でない一般人がいるのかと驚いているが、サラを知るジンは別の意味で驚いて硬直していた。

 そんな事を知らないサラは硬直しているジンを見つけると目を輝かせて叫んだ。

「ジンさん!」

 その言葉に異跡探求者全員が一斉にジンを見る。

 サラの言葉にジンがキレる時間はかからなかった。

「何故お前がここにいるんだぁぁぁ!!」

「彼女?」

 次の瞬間、ジンはあらぬ事を思い口に出したホルスを殴り飛ばしていた。


  ◆


 第16異跡のある孤島に船は着いて停泊していたが、その船からは調査部と通信部リポーターが孤島と船を行き来しているのみで探求者を含む他の異跡探求者達が持ち場に着いてはいなかった。

 本来なら孤島に着いたらすぐに探求者を見送くり、その後に後方支援サポーターは探求者の帰還に備えて異跡の脇に設置されている小屋で様々な準備をする筈なのだが、調査部と通信部以外の後方支援の姿は孤島にはない。

 それもそのはず、今、探求者2人を含む異跡探求者は情報解析部第2班の預かりであるサラの対応に追われていた。

 調査部がそれについて本部に事の経緯を報告すればいい事なのだが、情報解析部第2班が深く関わっており、サラ本人は言いたそうにしていたが、預かりである以上は詳しい事情とサラと言う人物について本人から聞けないでいた。

 そこで、サラと深く関わっているジンが代わりにそれらをする事となった。もっとも、情報解析部第2班の意図を無視して調査部に全てを任せる選択もジンにはあったのだが、自身の意思を優先させた。

 それは、自分で情報解析部第2班に文句を言いたいから少しだけ調査を待ってくれというものでそれを口に出して言ったのだ。

 それを聞いたホルスは少し驚いた表情、意外そうに口を開いて、

「ジンがわがまま言うなんて初めて聞いたぞ」

 と言ってジンに睨まれた。

 そうとう珍しかったのだろう、睨まれてもホルスの唇はほころんでいた。

 こういった理由から調査と準備が少し遅れていた。


 そして、小屋の中にもうけられ通信部によって繋げられた電話の受話器に向かってジンは怒気を含めて叫んでいた。

「あれほど目を離すなと言っただろおばさん!!」


  ◆


 受話器から響く大きな声にエリシュカは耳から受話器を離した。

「ま、まさか、本当にいなくなるとは思わなかったのよ……」

 まさか、ジンを追って船に乗り込んだと考えなかったエリシュカは予想外だったのか物腰は低めであった。

 通りで異跡探求者本部をくまなく探してもいないわけである。ジンからの連絡でようやくサラの居場所が判明したのはよかったが、しばらくは情報解析部第2班は休憩時間である。

 研究室ではサラを探して疲れ果ててしまった殆どの班員が座り込んでいたり床やソファー、椅子を並べて倒れ込んでいた。

 今はまだ、情報解析部がサラを古代人と認めておらず、古代人であるなしに関わらず情報を最小限にしている為に他の手を借りる事が出来ないでいた。その為に全てを自分達で行動、解決しなければならなかった。

 全員、本業は体力仕事出はなくデスクワークであるから体力がない。走り回って体力がすぐに無くなるのは目に見えていた。

『だからって、どうやったら本部の目を掻い潜って船に乗れるんだ!』

「知らないわよ!」

 ジンの言葉に投げやりになって答える。

 何処かで聞いたやり取りである。


  ◆


 しかし、ジンは船が孤島に到着する前にサラの口から経緯を聞いて知っていたが、それでもエリシュカに文句を言いたくて仕方がなかった。


  * * *


 船が孤島に着く少し前、船内にもうけられた会議室でホルスはジンに殴られた左頬の痛みを堪えながら、サラはジンを見つけて気が楽になったのか笑みを浮かべ、ジンは不機嫌のあまりに顔を歪ませていた。

 そして、調査部の女性が1人、ノーマと名のる女性がジンとホルスと共にサラがどうやって船に乗り込んだのか聞いていた。

「つまり、ジンを追ってここまで来たと?」

「はい」

 これまでの経緯をまとめたホルスの言葉に素直に答えるサラ。より正確には隠れたトラックがたまたまジン達が乗る船に乗っただけであるが。

「しかし、偶然と言えば偶然だけど、ジンの乗っている船で良かったな!」

「はい!」

「良くない!」

 ホルスは少し呆れながらもその偶然を称賛するも、ジンとしてみれば迷惑でしかない。

「何言ってるんだよ。ジンを追ってここまで来たんだぞ。一途じゃないか」

「何が一途か分からねえぞ!」

 その言葉にホルスの目が丸くなる。

「彼女じゃないのか?」

「違うと言っているだろ!」

「そうなのか?」

「海に突き落とすぞ!」

 ジンとサラは恋人と考えていたホルスであるが、ジンが真っ向から否定して目が丸くなる。挙げ句の果てには脅しも言われてしまう。それでもホルスの中ではジンとサラの関係は変わる事がない決定事項である。

 サラはまた不思議そうにジンを見ていた。エリシュカの時とは少し違うがホルスに悪態をつきながらもよく話す。

 2人の会話に呆れてノーマが咳払いをする。

「それで、サラさんをどうするのですか?てか、何であたしがここに同席する訳になったのジン!」

 ノーマは途中から敬語を忘れてジンに問いただした。

 本来ならノーマよりも上、調査部のまとめ役が話を聞く筈なのだが、まとめ役がトラックを運転していた調査部に荷台の中を確かめなかったミスを説教する為に手が開けられなかった。そこでジンがノーマを指名し、それを認めた為に同席していた。

 そのノーマはジンから同席に関しての理由を一切聞いてはいないので早く知りたくてしかたがない。

 サラは頭の片隅でジンの荷物を受け取りに来た女性のはずと思っていた。

「お前に、こいつを見ていてほしいんだ」

 ジンはサラの方に少し目線を向けてノーマに頼んだ。

 だが、ジンの口から出た予想もしていなかった頼み事を言われてノーマは驚いた表情を浮かべた。

 そして、ホルスも同じだったらしく驚いた表情のまま、

「ジンの口から頼みごとが言われるなんてな……」

 その言葉にジンは鋭く睨み付けた。

「何だその言い方は!」

「初めて聞いたぞ、ジンが誰かに頼むの!」

「どうゆう意味だ!」

「いや、初めてだから意外だな~と」

 ホルスの言葉に同意する様にノーマも無言で頷く。

 ジンは更に凄い剣幕で睨みホルスを睨み付ける。

「誰かに頼んだらおかしいのか?」

 そうとう癪に触ったのか声も怖くなっていた。

 慌ててホルスが言い直す。

「いや、おかしいとは言っていないだろ!意外、そう、意外だから驚いただけさ!」

「同じ事言ってます」

 自分でも言っておいて薄々分かっていた事だが状況に追い付いていないサラに突っ込まれた。

「お前、俺を何だと思っているんだ?」

 ジンの声がいっそう低く怖くなっていた。

 もう怖いとか言うそういうレベルではない。うっすらと殺気の様なものも漂っており、鳥肌が立つ様な恐怖である。

 向けられた殺気の対象はホルス。それを感じ取ったホルスは土下座でもしそうな勢いで両手を前に出して再び言い直した。

「違う!そう言う意味じゃない!言い直す!ジンも時には人に頼みごとしたりするよな!な?今回はたまたまそれを目にしたから俺が驚いただけで……」

「全然言い直してない」

「ジンさんのフォローになっていません」

 だが、厳しい言葉が女性2人の口から出た。

 その言葉に何かが連続して体を貫く感覚をホルスは感じた。そして、

「お前から見た俺の印象は何なんだ?」

 ジンが吐き捨てる様に呟いた。

 その言葉がとどめとなり深々と突き刺さる。

 最後の言葉は一見すれば傷つかない様な言葉であるが、その出所はホルスが認めてパートナーとして誘っているジンの殺気をまとわせ棘の様な言葉である。傷付かないはずがない。

 ホルスは無言で椅子に座ると、そのまま体を縮こませて落ち込んだ。

 一方で、ジンの言葉にノーマは無愛想で無口と突っ込みたくなったが我慢をして話を戻す為に口を開いた。

「それはさておいて、まあ、その事ならリーダーに言えば大丈夫と思うけど何であたし……まさか、同期だから?」

 ノーマの言葉にジンは頷くもせず、肯定もしない。だが、目はノーマだけを捕らえていた。

「やっぱり……」

 その目を見たノーマは予想が当たった事に大きく肩を落として椅子の背にもたれ掛かった。

「同期?」

 ノーマの口から出た言葉に首を傾げるサラ。

 だが、ジンは気にせずにサラの注意点を述べた。

「こいつは一瞬でも目を離すといなくなる。だから……」

「あ~……何となく分かった」

 ジンが何を言いたいのか理解したノーマは片手を上げた。

「まあ、さっきも言ったけどリーダーに言わないといけないからそこの所はジンも頼む時は一緒に頼むよ」

「ああ」

 ノーマの言葉にジンは頷いた。

(しっかし、こうゆう頼みごとにはつくづく断れないみたいね……)

 ノーマは自身が嫌々ながらも面倒見がいい事を自覚していた。それが原因で様々な頼みごとを言われてしまう。

 ノーマは仕方ないと思い長く息を吐くとサラを見た。当のサラはいまいち状況に追い付いていないらしく目を丸くしていた。

 ノーマは今後のサラに対する予定の確認を始めた。

「島に着いたらやっぱり連絡するの?」

「ああ。それに、おばさん……副長に文句をいいたいしな」

 一応情報解析部第2班の副長であるから言い直した。

「恐らく迎えが来るかもしれない。それまでは頼む」

「まかせといて」

 ジンの言葉に大いに頷くノーマ。迎えはそんなに時間がかからない。そのくらいなら大丈夫だろう。

 そして、ジンはとにかく口に出して注意したい事を言い出した。

「とにかく、こいつを絶対に異跡に入れるなよ!」

 ジンが口にした言葉にサラが大きく反応した。

「ジンさん、また行くのですか?」

 その声に今まで無言であったサラにノーマは無意識に顔を向けた。

 サラの表情は強張っており、今まで状況に追い付いていなかった表情とは違っていた。

「ああ」

 それに頷かないながらも肯定する。

 やはりコロニーに入るのだと確信したサラは誰も予想しない言葉を口に出した。

「私も行きます!」

 その言葉に一瞬言葉を失った。だが、

「駄目だ!」

 ジンはすぐさま鋭い声で言った。

 ジンの言葉にサラは何か言おうと口を開いた。だが、

「俺も同意だ」

 今まで落ち込んでいたホルスがサラの言葉に驚くと同時にその言葉の意味する無謀さに口を出した。

「サラちゃん、異跡は一般人が思っている以上に危険な所だ。ベテランの探求者でもいつ死ぬか分からない所だ。そこに行くって事は、死への入り口に入るのと同じ事を言っているだ」

 今まで口が軽く回っていたホルスではない。その表情は険しく、何度も死地をくぐり抜けその危険を知る探求者である。

 しかし、サラもそれを知らないはずがない。いや、異跡探求者以上に知っていた。

 サラが目を覚ましたのはコロニー。そこでガーディアンの暴走を目の当たりにしジンと共に脱出したのだ。あの時はコロニーがダミーである事と爆発により逃げ出さなければならず詳しく調べられていないが、危険である以前に暴走自体が異常である事を感じていた。

 個人の気持ちを優先してしまえば、ジンも心配であるが、真相を知りたくて仕方がない。

「それは知っています!私は……」

「それ以上話すな!!」

 その時、ジンの大声が部屋中に響いた。

 その声にサラ、ホルス、ノーマが驚いて言葉を失った。

 これ以上サラが深入りする理由はない。何よりも、古代人という可能性を秘密にして調べている情報解析部第2班の意思に反しているし、まだ周りに明かすべきではない事をジンは感じていた。だからサラの対応に首を突っ込み対処しているのだ。

「今は何も言うな」

 ジンはいくらか声のトーンを下げてサラに言った。

 サラは直前の大声にまだ驚いて固まっていて頷く事が出来ないでいた。

「……まあ、今回は内部の確認だけだから何事もなければすぐに終わるはずだから」

 我に返ったノーマは固まっているサラに今回の目的について話した。本来は許されていないのだが、不安を和らげる為だ。

 ホルスは恐る恐るジンを見た。

「ジン、一体どれだけなつかれているんだ?」

 次の瞬間、的を思いっきり外し雰囲気を壊したホルスにジンは再び殴り飛ばしていた。


 その後、ジンはノーマと共に調査部のまとめ役にノーマをサラの監視に付ける事を打診し、これを承諾。そして、通信部に孤島に着いたらすぐに本部と連絡をとりたいから準備をしてほしいと頼みこれも承諾した。

 サラは不安そうな表情をしていた。が、それはあくまで表情であって気持ちは違う。

 ノーマの説明でいくら確認と言えども異跡探求者とは別の意味で危険と感じているサラにはどうも不安で自身の事について口止めされて不満でしかたがない。

 表情には出さないように心に溜め込んでいた。

 ジンとノーマがいない間、サラの監視はホルスがしていた。

 サラに何でも聞くのではと考えていたジンだが、ホルスはジンに殴られた右の頬を押さえていた。右と左、ジンの拳はある程度加減をしていたみたいだが、それでも探求者としての身体能力は高くて加減してもやはり痛い。

「戻って来たら医務室行こぉ~……」

 小さく呟くホルスであった。


  * * *


 全てを話したジンはエリシュカの返答を待っていた。

『そうね……準備に少し時間がかかるけど、調査部に連絡して迎えに行かせるわ。それまではノーマさんにサラさんを見ていてもらって』

「分かった」

 エリシュカの指示を聞いたジンは受話器を置こうとした。

『ああ、ちょっと待って!』

 だが、受話器からエリシュカの声が漏れ、ジンは再び受話器を耳に当てた。

『ジン、必ず生きて帰って来るのよ』

「……ああ」

 そう言って受話器を置いて電話を切った。

 その言葉は希望の言葉であった。約束としては守れるかどうか分からないが、生きて帰る希望を持てる言葉である。

 ジンは小屋にいる通信部に終わった事を伝え、後を頼むと小屋から出た。

 そして、目の前の異跡ではなく船に目を向けた。

 少し遠くて見えにくいが、サラが船から異跡を眺めている様に見えた。

 ジンは心の中で何事もない様に祈っていた。

皆さん、船っていつ頃からあると思いますか?


なんと、人類が誕生していた頃には存在していたとされているんです!

ビックリですね(*゜Q゜*)


資料などで残っている古いものではエジプトの壁画などに書かれており、葦で組まれた船や航海に適した丸木船やハピルスで組まれたり……紀元前2000年頃には既に帆の船がありました。


けど、発掘などで見つかる船の欠片なんかは資料に書かれるそれ以前のものでもっと凄い!既に壁画なんかに書かれている船を使って(帆はない、全て漕いで、人力)外洋に出て貿易したり新天地を目指したり……昔の人はチャレンジャーです!!(゜ロ゜ノ)ノ


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