契約者と破壊神
クエスト内容?そんなもん自分で考えなよ。面倒くさい。と、いうことでいろいろと別ルートのことを掘り下げてみました。まぁ、一話完結のショートストーリーで、伏線はりまくったので各自で回収お願いします。
あなたは一つ勘違いをしている……。
正しいとかそんなのは関係ない。
だからさ……。ワタシハアナタヲ―――――――
◆◇◆◇◆◇
あなたは運命という言葉を信じるだろうか。
運命とは人の未来において確実に定められたものを指す。例えば、『死』という言葉を考えてみよう。
ある人の『死』が未来に定められている。すると、その過程において自身や他者がどんな行動をしようと、最終的にはその人の『死』という結末に収束する。
それが運命である。
よく、運命は自身の選択で決められると、言う人がいるかもしれないが、それは間違いである。人間という観測者が観測ことが出来るのは精々少し先程度だ。つまりは、運命を変えたつもりでも、最終的な結末は変わっていないため、結果的に何の変化も生まれていない、ということだ。
そう、わたしが言うと、今度はその運命も変えられる。という人が出てくる。そんな人がいたらわたしは笑いが止まらなくなる。
何故かって?
考えてみろ。人間一人が運命という宇宙よりも広い、この世界という法則に触れられるということ自体が愚かしい。人間の魂はそこまで大きな存在か?
そんなわけはないだろう。人間の魂なんて所詮はこの世界にとっては原子レベルのもの。その一つが何かをしようと、世界の法則は変わらない。
もし、運命を変える力を持っているのだとしたら、それはすでにヒトではない。
もし、世界を変える力を持っているのだとしたら、それはすでにヒトではない。
もし、全てを買える力を持っているのだとしたら、それはすでにヒトではない。
◆◇◆◇◆◇
ある所に少女がいた。その少女は日本ではないどこかで生まれ、平凡な日常を過ごしていた。けれども、その日常は一日で終わりを迎えた。
理不尽?
いいや。これこそ運命だろう。
だが、もし、そこでその少女が死ぬ運命だったとしたら、どうなるのだろうか。
もし、そこでその少女が生き残ってしまったら?
奇跡?
神の戯れ?
どちらも違う。結果として残るのは運命という輪から外れた一人の少女のみ。
そんな少女ははたしてヒトであるのだろうか。
この結論は至って簡単に出る。だって―――――――
◆◇◆◇◆◇
小鳥の囀りと共にわたしは目を覚ます。頬には窓から差し込んだ温かい日の光が辺り、朝ということを再度、実感させる。
わたしの名前はリリア。
もう、何度目の自己紹介だろう。
華奢な体に、成長途中の胸。大きくはないが小さくもない。鏡を見ると、薄紅色の瞳とウェーブのかかったショートの茶髪。もう、何度目だろうか。
いい加減馴れた。
幼さが残る顔立ちも変わらない。それはわたしという個体がヒトであると示している。それでいて、ある重要なことも示しているのだが、まぁ、それは置いておこう。
朝起きると、システムメッセージに面白いものが入っていた。
それは、《教皇》が討伐されたという知らせだった。もうすぐ、イベントの一回戦も終了するし、そろそろ知れ渡るであろう。《教皇》のLAを飾ったのは《ミックスベジタブル》のとある少年だ。だから、討伐表示も《ミックスベジタブル》。その過程において、誰が参加していたか、なんてわからない。
実際、討伐者として名前が載るのはたった一人だし、そう表示されるのが当たり前である。けれども、そこにいたギルドを紹介しないのはちょっと残念である。
別に名前が載りたかったとか、そんなのではない。ただ、他者の努力を踏みにじってその代表として名前が載るのだから、それなりの覚悟が必要だということだ。
多くの人が勘違いしている《ミックスベジタブル》というギルド。
そこには二つの派閥があった。一つは殺人ギルドとしての派閥。もう一つは純粋にゲームをクリアしようという派閥だ。両者ともにゲームをクリアするという目標は変わらないが、その方法が違うだけだったのだ。
だが、人間はいつも悪い方ばかりをみてしまう。
それが現実だ。
では、ここでちょっとしたクイズをしよう。
Q 何故、今の今まで《ミックスベジタブル》生きていられた?
A 《ミックスベジタブル》が謎の強さを持つギルドで他のギルドを退けていたから
これは大きな間違いである。つまり誤答だ。
本当の答えは
A 大型ギルドの幹部が二つの派閥の存在に気づき、良心的な方を放置していた。
これが本当の答えだ。どちらにもコネがあるのでとてもわかりやすい。そして、今回。大型ギルドの幹部たちがイベント参加中にある企画が持ち上がった。
それはボスの一つを攻略して、驚かせようという企画だ。
実際に行って大成功だったが、噂というものは酷いもので、どうしても無知な人は《ミックスベジタブル》を疑ってしまう。怖いものだ。
その企画において他のギルドに交渉を持ちかけていたのが先ほどの少年。名をソラヌムメロンゲナ、という。かなり長い名前だ。
彼は見事に他のギルドと交渉を持ちかけ、今回の結果に至ったのだ。本当にすごい少年だ。
さて、話は変わるが最近は《力》のアルカナに向けて《ミックスベジタブル》が進行しているらしい。わたしはそれが気になったので、出かけてみることにした。
わたしのギルドメンバーは現在、別の問題に直面しているため、動けたのはわたし一人だった。仕方がないので一人で行くことになった。
◆◇◆◇
《力》のフィールドの最後の街である《ヘラクレス》を過ぎて、草原を1人、馬で急ぐ。少し気になったのが、《ミックスベジタブル》の動向だ。まさか、単独で攻略しようと考えているのではなかろうか。
馬に鞭をうち、巨大樹の森へと入る。情報道理、巨人が出てくる。まぁ、わたしの敵じゃないんだが……。
掴みかかってくる相手の攻撃を難なくかわして、一気に腕を駆け上がる。そして、うなじ……は面倒なので、狙わない。
「オーバー・エッジ!」
そう、わたしが唱えた瞬間、わたしが腰から抜いた短剣のリーチが一気に伸びる。伸びると言ってもショートソード並だが……。
けど、それで十分。
だって、勢いつけたら首ごと吹っ飛ぶから。
弱点がうなじだか、なんだか知らないがとりあえず大きいからクリティカルである首が狙いやすいことこの上ない。
レベル53を舐めんなよ。こちとら、三次転職クエストで9レべも上がってんだよ。
おもしろいことに、うなじごと首切ったら相手のHPが全損した。何とも楽でいいこと。とりあえず、馬を並走させながらわたしは木の上をジャンプしていく。モンスターの気配はスキルでわかるので、事前予測も楽にできる。どっかの調査兵団が苦労してたのが馬鹿みたいだ。
少し気になる物があった。それはドロップ品だ。
ボスの間を目指して一直線に進んでいる。そう思える。
途中で何度か敵に遭遇するも楽々撃退。弱い。弱すぎる。大体、急所を突いただけで死ぬとか、どんなヌルゲーだよ。楽勝過ぎて涙が出る。
あっという間にボスの間にたどり着いた。だが、そこにはあるギルドが鎮座していた。
そう、《ミックスベジタブル》だ。わたしは体を回転させながら着地し、一番近くにいた男性に声をかけた。
「もしかして、これから調査ですか?」
「いいや。攻略だよ。私たちの力を誇示しなければ誰も考えを変えない。そうとは思わないかね?」
「はぁ……。まぁ、ご一緒しても?」
「かまわないが、邪魔はするな」
そう言って男性は去っていく。その直後に先頭の人物が大きな扉を開く。どうやら、本気らしい。とりあえず、わたしも最後に部屋の中に入った。
直後―――――――
部屋のドアが閉じた。
どうやら、逃げ場をなくしたらしい。街に戻るアイテムを確認したが使用不可になっている。最悪だ。逃げ場などない。
ドアを開けた先は廃墟だった。数百年前まで人間が住んでいたような場所だ。でも、そこにいるのはたった一人の少女のみ。周りには壊れて今にも崩れそうなビルがあるだけ。
《ミックスベジタブル》は素早く少女の周りを囲み、完全に包囲する。すると、彼女の目がゆっくりと開き、HPバーが表示される。だが、驚くべきことに、少女のHPはプレイヤーと同じような表示になっていた。
少女はみすぼらしい茶色の布きれを被り、手には何やら禍々しい大剣を持っていた。
彼女は無垢な瞳をこちらに向け、静かに問うた。
「我はシヴァ。破壊の神。シヴァ。汝らに問う。汝らも我を化け物だと思うか?」
シヴァと名乗った少女の目は少し、悲しそうに見えた。何か、全てを否定され続けた過去があるようなそんな目だ。そして、返答などわかりきったことという目だ。
案の定、囲んでいる誰かが有無を言わさず、片手剣を構えて、シヴァを切り裂こうと疾走した。
刹那―――――――
すべてが終わりを迎えた。
◆◇◆◇◆◇
気づくと、わたしは光に包まれていた。どうやらすべてが終わったらしい。この世界も、わたしの命も……。
すべてが終わり、全てがなくなった。
わたしは願う。
死にたくない
すると、再度光が瞬き、わたしの体を包む。運命の輪から外れたが所以の出来事なのかもしれない。
気づくと、わたしは何もないところになっていた。
これは比喩などではない。周りには何もない。黒一色なのだ。
だが、1人だけ存在した。それはシヴァと呼ばれた少女だった。
シヴァは悲しそうにこちらを見る。いや、どちらかといえば憐みの目に近いのかもしれない。
「そなたも理から漏れたか……。哀れなこと……」
わたしは大切な人を思い出す。友人や先輩。すべてのこと。
そんな人がこの世界のどこかにいるのではないかと思い、探す。けれども何もいない。どこまで行ってもわたししかいない。そんな現実にわたしは嗚咽をこらえきれず、膝をつく。膝をついても服が汚れることはない。なんせ、地面も黒なのだから。
涙を流し、何処までも泣き続けた。
けれど、そんなわたしに誰かが声をかけた。
「何処へ行っても無駄じゃ。ここには我とそなたしかいない。そんな世界じゃ」
その言葉にわたしはさらなる絶望に突き落とされることになる。だが、同時にある事実に気づいた。それはこの空間を作り出したのが彼女であるならば、元に戻すことも出来るのではないだろうか。という疑念だ。
わたしは涙を噛み締め、バックステップしながら彼女から距離をとり、腰の短剣を抜く。
その途端、彼女の赤い瞳が完全に悲しみへと変わった。白髪の短い髪でも俯けば顔が影となり見えなくなる。けれども、なんとなく彼女が悲しんでいることがわかった。
「そっか……。そなたも我を化け物にするんだ……」
その言葉を聞いてわたしはすべてを理解した。この少女も自分と一緒なのだと……。
ならば、やるべきことは一つだけだ。
「ねぇ。ゲームをしない?」
「ゲーム?」
冷や汗がどっと出て、不快な気持ちになる。
「そ、ゲーム。この世界をかけてさ。わたしが勝ったらあなたを喰らって元の世界を取り戻す。でも、あなたが勝ったらあなたはこの世界を自分の望む世界に書き換えられる」
シヴァは笑った。まるで三下を見る目で……。
「そんなの勝負にならないよ……。だって、我は破壊神であり、そなたは人間。この勝負に勝ち目はないし、第一、そんなことしなくても我はこの世界を創りかえられる」
少女が手に持った大剣を天にかざすと、天が割れ、新しい世界が出来上がろうとしていた。わたしはそれを見てありったけのこころを込めて叫ぶ。
「ディスペル!」
瞬間、天が再生し、元の黒い空間へと戻る。この世界ならば自由に何でも出来る。なぜなら、ここにいる時点でわたしたちはヒトではない。いや、ヒトでないのはあっちだけか……。だって――――――
少女は驚き、こちらを見た。
「創りかえさせないよ。今そんなことをやったら、元の世界の情報が消えちゃう。この世界でしかできない。だから、受けなさいよ、ゲーム……」
「いいねぇ。乗ったよ。そのゲーム。来なよ。自称、人間さん」
「何を言われようとわたしはヒトだ!」
そう言ってわたしは黒い地面を蹴り上げる。瞬間、シヴァも大剣をふるった。瞬間、終焉の斬撃が迫ってくる。当たれば終わり。そんなことは分かってる。けど、わたしにできるのはただ一つだけ、今、ある未来という運命を、他の運命に書き換えることぐらい。それしかできない。それでいい。この世界がVRMMOの世界だというなら今は、データが全てバラバラになっている状態だ。それを元に戻すだけでいい。それですべてが終わるはずなんだ。
わたしは斬撃を跳躍で回避する。そして、着地し――――――いや、次はエリアルステップで相手の攻撃を避けながら接近する。
次の斬撃は何処だ?
案の定、わたしの着地地点だ。間に合うか?いや、間に合わせる。
「運命転換!」
わたしは回転しながらすれすれで斬撃をかわしながら黒い地面に着地する。あと、力が使えるのは精々一回が限度。それ以上使ったらわたしが倒れる。
わたしは地面に着地すると同時にシヴァに向かって疾走する。あと少し、あと数メートル。だが、この辺から回避が困難になってくる。
わたしは自分の鍛え上げられた反射神経に身を任せ、思いっきりスライディングする。そして、シヴァのすぐ横を通り抜け、後ろに周った。これはどちらかが死ぬか、どちらかが戦意喪失するかの戦い。
わたしは彼女の持つ大剣に触れ、再度運命転換を使用する。その直後、大剣は砕け散り、ポリゴンの欠片となった。そして、それとほぼ同時に短剣を彼女の首筋へと突きつける。
「終わりだよ。わたしの勝ち―――――――――」
わたしの言葉が急に止まった。なぜなら、私の体に禍々しい槍が刺さっていたからだ。
「終わり?それはそなたであろう……」
油断した。彼女の力は大剣に依存したものだとばかり思っていた。でも違った。彼女の大剣はその一部でしかなかった。あのチカラは彼女自身のものだった。それに気付けなかったからわたしは負けた。
けど、わたしの表情は笑っていた。
「楽しかった? ゲーム……。手に汗握ったでしょ……」
「……………………」
少女は何も答えなかった。けれども、わたしはつぶやき続ける。体が光に包まれ、消えることが自身でもわかり始めた。
「寂しかったでしょ。わたしもそうだったから……。けどね、それはあなた自身の問題なんだよ。壊れちゃった世界には面白いものだっていっぱいあったんだよ。あなたが望めば、孤独でいることもなかった……。なんだったらわたしがあなたの最初の友達になってあげるからさ……」
わたしは掠れた声で続けた。
「でも、それは叶わないみたい。新しい世界にわたしはいない。でも、あなたが望む世界になる。楽しみなよ。新しい世界をさ……」
その言葉と共にわたしの視界はブラックアウトした。
◆◇◆◇◆◇
わたしは体の温かみを感じて再び目を開けた。すると、周囲には《ミックスベジタブル》の人間がいて、中心にシヴァと呼ばれた少女がいた。でも、少女の手に大剣はなく、力なく座り込んでいる。
わたしは理解した。彼女はわたしといるために……いや、わたしともう一度遊ぶために、この世界を元に戻したのだと……。
けれども、《ミックスベジタブル》の面々は彼女に武器を向けた。
わたしはそれを確認して彼女の元に駆け寄り、手を差し伸べた。
「魂の契約だよ。君はこれからわたしの英霊になるんだ。それでいいかい? これはわたしの三次職で一度しか使えないからどのモンスターに使うか迷ってた。けど、あなたに決めた」
少女は静かに肯いた。そして、わたしの手を取った。その瞬間、眩い光が周囲を包み、全てを覆い尽くした。わたしはその中で一枚のカードを手に取る。
カードには彼女が描かれており、持っているだけで温かみを感じた。
あなたは一つ勘違いをしている……。
正しいとかそんなのは関係ない。
だからさ……。わたしはあなたを命に代えても守って見せる。
だってさ、ヒトであるかを決めるのは結局、自分自身なんだからさ……。
ミックスベジタブルの一人がこちらに剣を向けてきた。もう、ステージクリア表示は出ている。でも、ドロップアイテムは一切出てこない。
ステージ前の大きな扉は空いているし、逃げることも可能だ。でも、だれも逃げなかった。さしずめ、わたしを殺せば、ボスドロップのアイテムが全て手に入るとでも思っているのだろう。それは大きな勘違いだ。
だって、ボスはすでにわたしのトモダチだから……。
わたしの三次職は《契約者》。モンスターと一度だけ契約でき、そのモンスターの能力をコピー、使用できるというものだ。
入手条件とクエストが鬼畜過ぎたから9レベルも上がったというわけだ。
「おい……。アイテムを分けろ。ここまで来た私たちに報酬があってもいいだろう」
「残念。わたしもアイテムは入手してないんだよね。ウソをついてると思うなら殺してみれば?」
「なるほど、殺せば手に入るというわけだな。イベントか……」
「違うよ。でも、そっちが相手になるというならこっちもやらなきゃね……」
わたしはさっき手に入れた《シヴァ》のカードを地面に置く。そして、呪文を唱えた。
「契約実行――――――っ!」
すると、カードからいくつもの光の球が生まれ、わたしの中に入ってくる。その途端、わたしの髪は白髪になり、目も赤くなった。そして、手には少女の大剣が握られていた。
「ボスはわたしと契約した。もう終わったんだよ。それでも戦うというならお門違いだ!信じられないというなら受けて立つ。一人ずつとは言わない。全員まとめてかかってこい!」
MP残量の確認をする。このインストール時間は無限ではない。わたしのMPが切れるまでだ。残りの残量から見て、あと1分といったところか……。ボスクラスだから消費も早いのかねぇ……。
痺れを切らした一人がこちらへ向かってくる。わたしはそれを正面から向かえ撃った。相手の槍の一撃を神速じみた動きで避け、相手の腹にこぶしをかます。大剣なんかできれば相手のHPが全損するので手加減、手加減……。
それでも、鎧を着た重装備なのに、一気にレッドゾーンとかやばすぎる。もう少し威力の落とした技にしなきゃ……。
と、今度は魔法の嵐ですか……。わたしは大剣を虚空に一振りしてすべての魔法を一瞬で弾き飛ばす。そして、最初に殴っちゃった人にバリアを張り、大剣を地面へと叩きつけた。
その瞬間、すさまじい衝撃波が生まれ、前衛の人は後方まで吹き飛ばされ、その上、HPがレッドゾーンに突入する。後衛の人もその余波を受けて寸でのところで死なない程度にHPが削れた。
わたしは興ざめだとばかりに大剣を背中にしまった。
すると、蜘蛛の子を散らすように、人が逃げていく。どうやら撃退成功らしい。
直後にインストールが解け、姿が元に戻ると同時に、《シヴァ》がカードへと戻る。
狩りに使うにしても時間が短いうえにクールタイムが24時間とこれまた長い……。使い勝手が悪いが逆転の一手としては最適だろう。もちろん、ピンチになった時しか使わないけど……。
◆◇◆◇
数分後、システムメッセージで《力》のボスが攻略された情報が流れた。今回の戦闘は特殊すぎるため、討伐者の名前が出ないという異例の事態に陥った。だって、討伐してないから……。でもクリアだ。
周りからすれば何だかあっけなかったが、わたし個人からすると、かなりの精神力をすり減らした気がする。もう、二度とやりたくない。
ちなみに《契約者》は本来、一定の確率で遭遇イベントが発生し、そこで契約を結ぶらしい。あれも遭遇イベントだったのかな?それにしても死にかけたんですが……。運営はどうなってんだよ……。絶対に死ぬイベント作んなよ……。クリアできるのはTASぐらいってか?乱数調整なしでもいけるように作りなさい!
そんなこんなで、実は……誰かが知らない裏ではこんなことが起こっている。他の人に目を向けてごらん。イベントを辞退した麒麟さんだってきっと何らかのエピソードをこの世界に刻んでいるはずだよ。
そして一緒に遊ぼう。シヴァ。
まだ明かされない未来を一緒に見て行こうよ……。
《力》のボスを大型巨人だと思ったやつ。そんなわけないだろ。私が今回残した伏線は《ミックスベジタブル》の良心的な面と、その方法。その過程においてまだストーリーが存在するよ、ということと、後は麒麟さんが大会を辞退したのちの物語です。私は回収せんぞ。頑張れ。次は誰だかわからないけど、まぁ、クエスト内容とか頑張ってね。困ったときはたらい流しだけど……。




