親友の様子がおかしい
「実は俺、宇宙人なんだ」
昼休み。
弁当の唐揚げを食べていた俺に、親友の佐々木は突然そう言った。
「…………」
俺は箸を止めた。
「……もう一回言って」
「だから、俺は宇宙人なんだ」
「聞き間違いじゃなかったのか」
佐々木は真剣な顔をしている。
冗談を言っているようには見えない。
だからこそ困る。
「どこから来たんだよ」
「……地球」
「宇宙人じゃねえじゃん」
「いや、そう言うことじゃない」
「何が?」
「俺の魂が、地球のものじゃないんだ」
「急にスピリチュアルになるな」
佐々木は周囲を確認するように教室を見回した。
そして、声を潜める。
「……昨日、宇宙から受信したんだ」
「病院行く?」
「最後まで聞け」
佐々木は机の上にスマホを置く。
「昨日の午後三時三十四分。突然スマホが震えたんだ」
「ただのメールじゃないの?」
「違う」
「じゃあなんだ?」
「宇宙からの通信だ」
「なんで分かるんだ?」
「画面に『こちら宇宙』って表示されたからだ」
「……もしかして、それで信用したのか?」
「うん」
「おかしいよお前」
佐々木はさらに真剣な顔になった。
「その後、さらにメッセージが届いた」
「なんて?」
「『地球人に気をつけろ』」
「お前も地球人だろ」
「違う。俺は宇宙人だから」
「その設定まだ続くの?」
佐々木は俺の肩を掴む。
「信じてくれ」
「無理」
「俺たちは今、宇宙規模の陰謀に巻き込まれている」
「この学校にも、宇宙人が潜んでいるかもしれない」
「それならお前じゃない?」
「何を言ってるんだ」
「こっちのセリフだよ」
俺が呆れていると、突然。
――ピコン。
佐々木のスマホが鳴った。
二人で画面を見る。
そこには一件の通知が表示されていた。
『こちら宇宙』
『宇宙防衛費が不足しています』
「『今すぐ指定の口座に、三万円を振り込んでください』」
「…………」
「…………」
「……これ、もしかしなくても詐欺じゃ…」
「そんな訳ない」
「見てくれ」
佐々木が画面を指差す。
「送り主、宇宙だ」
「そうだな」
「宇宙人が困ってるんだ」
「らしいな」
佐々木は満足そうに頷いた。
「やっぱり俺は宇宙人だったんだ」
「しょうがない。今すぐ三万円を――」
「振り込むな」
「でも、宇宙が困ってる」
「お前は宇宙より先に、自分の頭を心配しろ」
俺はため息をついた。
しかし、このときの俺はまだ知らなかった。
この日を境に、俺の周囲で奇妙な出来事が次々と起こり始めることを。
そして何より――
このクラスで一番おかしいのが佐々木ではないことを。




