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【23】近衛騎士と騎士団の確執


――――近衛騎士団と騎士団の違い。分かりやすく言えば縄張りが違う。近衛騎士団が城、騎士団が王都だ。


「来たか、ロシェ」

近衛騎士団長ことデューク・ローズナイト公爵。名前からもお察しの通りこのひとは王妃さまの兄でありエリート。


「久しいな、ロシェ。とは言え先日はうちの騎士たちが世話になった」

こちらはじりひん子爵家から一兵卒入団し伯爵に昇爵し団長になったものすごい叩き上げ。


「いえ、こちらこそお力添え感謝いたします」

そう丁寧に告げれば、うんうんと頷きながらロベルト団長が嬉しそうに俺を見る。


「しかし君の活躍も素晴らしい。是非とも騎士団に来てもらいたいものだ」

このひとは辺境伯を慕っているので辺境伯の元で鍛えた俺を気に入り、度々スカウトしようとしてくる。……が。

「いえ、リュカさまが可愛いのでお断りします!」

「くうぅっ、しかしそれも事実だな!」

このひともリュカさまを愛でる会会員だから。


「それはそうと本題をいいだろうか」

と、我らがデューク団長。

仕方がない。王妃さまの兄だから失礼をしては王妃さまに『めっ』されてしまう。


「だがその前に、ロシェ」

「はい」

何だろうか。


「王族の方の頭を叩くのはやめなさい」

「……すんませんっした」

何で逐一デューク団長の耳に入ってるんだっ!


「さすがだな、ロシェ!」

「甘やかさないでもらえますか、ロベルト団長」

デューク団長のいいところはロベルト団長が叩き上げ伯爵でも同じ団長職として敬意を示すところだろう。

だかはこそロベルト団長もうちらの団長と話をするのだ。


「それに本題は……近衛騎士団と騎士団の話だ」

うん……?何か小競り合いでもあったのか?どちらも王都にあるので互いの縄張りが干渉し合うと度々揉めるのだ。


「あぁ……そうだな。今度建国祭があるだろう」

「ええ、ロベルト団長」

建国際は互いの縄張りが干渉する代表格だ。


「王都では祭が開かれるから騎士団が警備にあたる。一方で王族の方を招いた催しは近衛騎士が担当する」

「ええ。そろそろ合同で警備体制を詰めている時期ですよね」

互いに干渉し合う催しだからこそ……だな。


「そこで…… 」

うちの親分の顔が暗い。


「近衛騎士とうちの騎士団員が喧嘩しやがった」

とロベルト団長。


「原因は何です?」

「騎士団と近衛騎士のいさかいの原因など決まってる。お坊ちゃん育ちのエリートが平民や下位貴族出身者を笑ったことだ」

ふぅ……とロベルト団長が溜め息をつく。


「はぁ……バカなの?それ、結局うちの団長がロベルト団長のとこに出向かないと行けないじゃん。でもロベルト団長が来たんですね」

「いや、一度私も行ったが……今日はロシェと話をつけるためにお越しいただいた」

もう行った後かよ。


「でも俺と話ですか?何でです?」


「ロシェは男爵家出身だし、騎士団員とも仲がいい」

仲がいいと言うか関わる機会が多いと言うか。この前の公爵家の一件はいがみ合いなどしている余裕もなかったからみな必死だったから気にするものなどいなかった。

しかし……何か嫌な予感がする。


「建国祭の警備にロシェも加わってくれ。担当は王太子妃殿下……」

「アギギキャギャァ――――――ッ!!!」

俺は奇声を上げながら崩れ落ちた。もちろん王太子妃殿下は素晴らしいオメガの男性だ。彼に非はない。


「俺は……俺の、俺の計画はっ」

「一応お前の計画とやらを聞こうか?」


「建国祭に参加できないリュカさまのためにっ」

体調に影響が出たらまずいし、ハードスケジュールと言うのもあって建国祭の催しへの参加は必要最低限、負担は減らしているのだ。


「俺がこっそり街に出てビールおつまみ……違った屋台土産を買って帰る計画がぁっ!」

「ついでに一杯やろうとしてないか」


「リュカさまに市井の様子を話してあげるために必要なんだ!リュカさまも屋台料理を楽しみにしてるぅっ!」

「まぁ確かにリュカさまが楽しみにしているなら……でもエレナでも良くないか?」

「俺だって貢ぎたぁいっ!ヤダヤダヤダ建国祭の警備なんてやダァッ!!」


「お前はっ!そのな、屋台料理を土産に買う時間くらい王太子妃さま付きの近衛騎士隊長に頼んでやるから!それにな……」

「ふぁい」


「最近どうも隣国がきな臭い」

「……まさか王太子妃さまの……?」

「ああ、王太子妃さまの祖国デゼルト……外交上建国祭にも使節団が訪問するが、王太子妃さまがあの国でどういう立場だったか知らぬお前でもないだろう」


「……っ!分かりました」

そう言うことなら協力しないわけにはいくまい。

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