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プロローグ①
魔術師、それは空想を具現化させるための力。
空を飛びたい。
時を越えて過去をやり直したい。
そんな夢物語を現実にする力。
五〇〇年前、ある魔術師がいた。
若くして、世界最強の魔術師となり、王宮の魔術師として日々研究に明け暮れる。
────ということは無く、日々王にとって都合の良い魔術の研究をさせられていた。
日々の研究に限界があった。
独裁者のための魔術を編み出す意味が分からなかった。
何より一番その身を苦しめたのは────刺激がないことだ。
魔術とは想像の具現化であり、刺激なしで生み出されるものではなかった。
鬱になりかけ、導き出した選択は旅だった。
だが、その意思に王は反発した。
「誰が貴様のような盆暗に資金を出してやっていると思っている」と罵った。
立場しか見えておらず、本質まで見ていない愚王だった。
この時、愛想が尽きた。
王国を捨て、一人で旅に出ることにした。
止める者は、誰一人前に立っていることは無かった。
数年間、いろんな景色を見た。
炎の海。
氷の世界。
結晶の洞窟。
狭い部屋で本に囲まれていた世界では、得られなかった経験を得た。




