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夏の向日葵  作者: 暁紅桜
第6章_夏空の下
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8話《クール?》

「ルミー」

「…………」

「ルミさーん」

「…………」

「もう、いつまでも拗ねないでよ」


 着替えを済ませ、歌恋かれんの水着を選んでいるルミは、先ほどのことに怒っているのか、ムッとした表情を浮かべながら 並べられた商品を物色している。


「別に拗ねてないです」

「じゃあ笑ってくださいな。ムッとしないで」

「……ばか」

「なぜ!?」


 突然の罵倒に驚く歌恋。ルミは気にすることなく、彼女に似合いそうな水着を悩みながら探していく。


「先輩、前はどんなの着てたんですか?」

「あー……私、夏は海とかプール行かないから、学校指定しか着た事ないな」

「……私と一緒ですね」

「まぁそんなところです」

「でも、困りました。参考例があればいいなと思ったんですが……」


 いろんな水着を手にしては戻す。それをルミは何度も繰り返し、何度目かの商品を戻す行為で、ルミは振り返り、じっと歌恋の胸を見つめた。


「どうした?」

「因みに、せ、先輩の胸のサイズって……」

「えっ、えっと……」


 そのまま口にしようとしたが、歌恋はあたりを見渡し、ルミに耳打ちをしながらサイズを答える。

 それを聞いたルミは指折り数え始める、歌恋は慌ててそれを静止する。だが、ルミの表情は徐々に絶望的な顔をする。


「私はもう、手遅れ……」

「ちょっ、ルミ!そんな顔しないで!」

「何が、何が違うんだ?牛乳?それとも、運動か?」


 ブツブツと呟きながら、まるで自分の心を抉るように、デザインと同時にサイズも確認し始める。


「あのさ、ルミ」

「はい……」

「ルミが着て欲しいのでいいよ。私が選んだのも、結果的にルミに着て欲しいのだし」

「……じゃあ、これで」


 ルミは水着を歌恋に渡すと、更衣室に行くように背中を押す。


「じゃあ待っててね」


 苦笑いを浮かべながらカーテンを閉め、歌恋は着替え始める。

 ルミはボーッと歌恋が出てくるのを待つが、中から聞こえる音に、徐々に顔が赤くなり、思わず背を向けてしまった。


「着替えたよ」


 歌恋の声とカーテンの開く音が聞こえ、ルミは振り返った。


「ちょっと胸きついかも」


 しかし、視界に入った瞬間にルミは両手で顔を覆って目を隠した。


「えっ、る、ルミ!?」

「め、目に……」

「ん?」

「目に、毒です……」


 目を覆ったまま、顔を真っ赤にして俯くルミ。

 ルミが歌恋に選んであげたのは、黒のデザインフリル・リングバンドュー・ビキニ。

 露出度はルミよりも高く、胸の膨らみがかなり強調されてる。


「ルミが選んだのに」


 恥ずかしそうにしているルミにクスクスと笑いながら、歌恋はカーテンを閉め、着替え始める。


「ふぅ……。さて、お会計行きますか」

「え、あれでいいんですか?」

「うん。ちょっと恥ずかしいけど、せっかくルミが選んでくれたものだし、着ないわけにはいかないよ」


 そう言いながら、歌恋はレジへと向かい会計を行う。その様子を少し離れた場所から見つめているルミは、先ほどのセリフと水着姿を思い出し、顔を真っ赤にしながら俯いた。


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