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夏の向日葵  作者: 暁紅桜
第6章_夏空の下
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9話《君に名前を呼ばれたくて》

「はぁ……んまぁ……」

「美味しいです」


 人が行き交うショッピングモール内。フードコーナーから少し離れたベンチで、歌恋かれんとルミは三十分並んでようやく買えたソフトクリームを食べていた。


「限定って聞くと、やっぱり食べたくなるよね」

「先輩、一口ください」

「……ねぇルミ」

「はい」

「その先輩ってやめない?」


 ムッとした表情を浮かべる歌恋。だけど、ルミは首を傾げてどういうことだろうと考える。


「付き合ってるんだから、その……なに?先輩っていうのやめない?」

「でも、先輩は先輩ですし……」

「んー……学校ではいいよ、先輩で。でもさ、私はルミのこと呼び捨てだけど……」


 小さく唸り、ほんのり頬を染めながら、じっとルミの顔を覗き込む。


「私だって、ルミにたくさん名前で呼ばれたい」

「ぁ……」


 やっとわかったルミは、ほんのり顔を赤くして俯いてしまう。

 先輩である歌恋は年下であるルミを当然呼び捨てで呼んでおり、付き合ってもそれは変わらない。ルミも付き合ってからも歌恋のことを《先輩》と呼んでいた。何がいけないというわけではない。でも、ルミが歌恋を呼ぶときは、名前ではなくいつも《先輩》だった。


「先輩じゃ、名前で呼ばれる数が減っちゃう」

「か、数なんてか、関係ないです」

「私はいっぱい呼んで欲しいの。ダメ?」

「だ、ダメじゃ……ない、です……」

「じゃあ呼んで。そしたら、一口あげる」

「えっ、ずるい!」

「ずるくなーい」


 ニコッと笑みを浮かべると、歌恋は再度「呼んで」とルミにせがむ。

 あたふたとするルミは、必死に名前を呼ぼうとするが、恥ずかしさがこみ上がってきて、うまく名前を呼ぶことができなかった。


「ぁ……か、れ……」


 歌恋はじっとルミを見つめる。顔を真っ赤にしながら必死に名前を呼ぼうとする姿は、とても愛らしかった。


「歌恋……さん」

「うん、ありがとうルミ」

「えっ」


 不意に歌恋はルミの手首を掴み、グッと距離を縮める。そのまま歌恋の顔は、ルミが持っていたソフトクリームの方に行き、溶けて流れかけていたものを舐めとった。


「んっ、夏みかんも美味しいね」

「ぁ……あわっ」


 口をまるで金魚のようにパクパクさせながら、ルミは顔を真っ赤にさせる。


「じゃあはい、ルミも一口どうぞ」

「あ、あ、あにゃ、う」

「ん?ルミ」

「……バカ」


 小さな声で罵倒して、ルミは差し出されたソフトクリームをひと舐めする。


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