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道化と冠  作者: 青螢
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実験

 自分の家に戻ってとりあえず風呂場に直行。

 色々脱ぎ捨てて、ついでだから上下ジャージっていう楽な服に着替えて脱衣所の鏡を覗き込む。

「うーわ……」

 うん、確かに現実の俺がそこにいた。

 あー、どうしよ、これ……なんかやだな。ゲームだから、自分の姿じゃないから、わいわいやれたのに……。

 てか、目つき悪いなぁ。顔テンプレにしても目つきの悪さは出てきたけど、元の顔にするとさらにだな。超吊り目だしwww

 ……笑えねぇ……。

 とりあえずしばらく慣れるまでは顔を隠しておくことにする。この顔嫌いだー。

 マフラーは邪魔だからなー、どうすっかな。マントのフードは顔装備扱いになるから視界はさえぎられない。だからフードはこのまま? 口元、気になるけどなー。どうすっか。

 そいやマフラーして走ってると苦しかったんだよな……しゃーない。マフラーは諦めよう。

 あ、お面とかそういう選択もアリか。顔装備扱いだから視界もそうだけど、苦しさも……どうなんだろ。試してみないことにはな。

「……疲れた」

 考え事は座ってするに限る。風呂場ですることじゃないな。長風呂ならまだしも。


 俺の家は街から結構離れた森の中にある。超不便。

 けどそのかわりに広い土地をゲットした。そんでだいぶ大きな家を建てた。生産系の設備色々を作るのに広さが欲しかったからな。

 庭もあるし、交通の便は悪いけど満足してる。てか気にいってる。

 周りは誰もいないし、そもそも他の人が来ることも少ない特殊なマップ上にあるからな。『迷いの森』とかいうやつ。名前からして人こなそうだろ?

 なんかのイベントの報酬だった。前々から家が欲しかったから頑張った。建てんのに相当金使ったけどな!! イベントよりも資金面の方が大変だったくらいだぜ!

 ま、そんな感じで、念願のマイホームを手に入れたわけだ。

 建てるのが楽しかったから無駄な部屋もたくさん作ったりしたけど……って、家も自分で建てたんだぜ。えっへん。おかげでいろんな生産スキルが……うふふ。

 で、えーっと、そう、無駄な部屋。無駄な部屋、結構あんだよな。しかも生産系の設備もずっと使い続けてるかというと微妙だから、サブ職変更だってよくしてるから、だから、まともに使ってる部屋って言うのはごく一部。

 うん、無駄!! 無駄にこっちゃったんだよなぁ! てへっ!!

 でも今ではラッキーだったかもしれない。ゲームでは不必要な設備も多いけど、その中には生活に必要なものだって多い。

 例えば風呂とかね。ゲームで風呂なんていらなかったけど、作ってみました。これは今の状況では絶対必要でしょ。浄化の魔法はあるけど、現代日本人には風呂なし堪えらんないだろーよ!

 後俺にとっては必要なものでも、他の人にはいらなくねそれww って言うのもある。

 それの筆頭がキッチンだな。

 だってサブ職『料理人(笑)』だもんなぁ!! 世間の評価はよぉぉ!!wwwww

 俺もそう思うけどね!!

 それでも俺は、ただの好奇心で、料理人スキル極めてます(笑)

 えぇ、極めてますとも。

 俺は今キッチンに立って、《麗水リュゥ》っていう(おそらく)天然水でお湯を沸かし、ドリッパーも準備して、コーヒーミルで豆をゴリゴリ挽いてる最中です。

 コーヒー豆ねぇ、アイテムだったからいろいろ混ざっちゃってたんだよね。種類ごと袋詰めしてアイテム欄に突っこむと別々に一つって計算されるんだけど、そのまま一気にアイテム欄突っこんじゃうとまとめてある程度の量で一つ扱いされるんだよねぇ。レア度が高くないと個別に認識されなくて……メンドくせ。

 なのでそこはこだわらない。ま、いつもはインスタントだしね。どうでもいっか。

 挽き終った豆をドリッパーにぶち込んで、お湯を注いでコーヒーを淹れていく。

 うーん、いい香り。

 ……あぁ、うん。いい匂い。匂いがする。すごい実感する。現実だなぁ。やっぱ食って人間の根本に根差してるうんぬんだよなー。

 しみじみそんなことを感じながらできたコーヒーを一口飲む。

 熱い。できたてだし。

 苦酸っぱい黒い液体。舌が少しピリッとする。うん、濃すぎた。

 もう一つカップを取って、そこにコーヒーとお湯を注ぐ。

 薄まった。

「はぁ……」

 リビングのテーブルにカップを置いて、イスに深く腰を下ろす。

「味もしっかりする。濃いのも、薄いのも、しっかりわかる。ただのゲームにゃなかったのにな……」

 味覚も嗅覚も、元は医療用だったVRの世界だ。あってもおかしくない。ゲームには装備されてなかったけど。

 でも、わざわざそんなことまでして、リアル感求めたのか? 痛覚があれば、一番リアル感は出ると思う。でも、いる?

 ただのゲームだろ? 楽しめればいいじゃん? わざわざそういう仕組みを装備するのは手間だし大変なはずだ。なんでリアル感を限界まで求めた?

「いみふ~」

 テーブルに突っ伏して、肩頬を下にしながらつぶやく。

 カップからは湯気が立って、コーヒーのいい香りがする。癒しだな。ここだけ見れば普通の、現実と変わらない。

「なんだかな~」

 甘いとかしょっぱいとかもわかるんだろうか。気になるけど、お腹減ってないし、めんどくさいからご飯とかを作る気にはなれない。

 試したいことはたくさんある。リストアップでもしてみるか。

 起き上がって紙とペンを出して書き出していく。コーヒーも飲んでるぜ。


 ・痛みの範囲

  非戦闘区域・戦闘区域。戦闘中・非戦闘中。打撃と斬撃とかの違いも気になる。

 ・味覚

  甘い・しょっぱい・苦い・酸っぱい・辛い。同じ料理でもやり方とかで味が変わるんだろうか。メニュー画面から作ったら変わる?

 ・体力

  現実と同じように疲れる気がする。ただのゲームだったら気分的な問題だったんだけどな。

 ・魔力

  減ったらなんかあったりするんだろうか。異世界系の漫画とかだったら精神的に疲れたりとか?

 ・料理

  お腹いっぱいとかなるのか? まず減ったりすんの?

 ・睡眠

  今つかれてるからな。眠い気もする。ちゃんと眠ったりするんだろうか?

 ・温度

  出来立てのコーヒーを淹れたカップを持って、温かいと感じた。火を触ったら熱いと思う? 氷とかは? 魔法だとなんか変わるのか?


 とっさに思いつくのはこれくらいか。

 料理は後でいいや。食う気がしない。

 痛みの実験やろうとしてたんだし、やりましょか。

 針を取り出してとりあえず指先に刺してみる。

「うん。痛い!」

 普通に痛い!! 現実と変わらないかな!?

 思いっきり、貫通するくらい(してないけど)、血が出るほど刺したから、舐めて消毒。……消毒にならないらしいけどな。

 あ、HPほんのちょっと減った。

「?」

 ほっぺたも抓ってみる。

「むー? へりゃにゃいにゃー」

 力を込めたから痛かったけど、HPは減らない。なんだこれ。

 太ももを思いっきりひっぱたいてみた。

「いたいよー(泣」

 でもHPは減らない。

「違いがわかんねぇよばっきゃろー!!」

 血? 血なの?

 もう一回針を刺してみる。今度は血が出ないように浅めに。

「痛いな。でもへんない。んん?」

 爪のわきの皮を爪でいじって、ささくれみたいな状態にしてから引っ張ってみる。

「~~~……」

 ささくれって地味に痛くね!? 血も出たよ! でもHPへんないや!! なんなの!?

 ちょっと苛立ってナイフを取り出して手首に当てていっきに引いてみた。

「……あれ?」

 痛い、けど、そこまで痛くない。

「んーーー?」

 血は大量に出た。HPも削れた。でも、針程度の痛みしかない。痛みの部類が違うから断定はできないけど、下手したらそれ以下かもしれん。結構深く切れてるけど、よくわかんないな……。

 あぁ、そういや、血も出るんだ。今更だったけど。ただのゲームだったら血なんて出なかった。忘れてた。

 手首から流れた血が、服を汚してテーブルに水たまりを作る。

 血の汚れって取るの大変なんだよな……ゲームらしく簡単に消えるかな?

 出血は続いてるけど、HPの削れは続いてるわけじゃない。

 ……貧血とかあるのか?

 気になるからしばらく放置したけど、どうにもならない。一気に立ち上がってみたけど、立ちくらみにもならない。

 貧血とかはなさそうかもな。ってか、痛みがじんじんっていう痺れみたいになってきた。麻痺ってきてんのかな? あ、HPも少し減ってる。動くとだめなのか?

 まぁ、結論、痛いね! 結構痛いね!!

 HPの関連性はよくわからないけど、痛いのは痛い。

 傷はどうしようか迷ったけど、とりあえず体力回復薬をのんだら癒えた。ささくれの方も。なんだよ、楽だな。

 怪我の手当ては普通にHPを回復する薬で良さそう。HP削れてないささくれの方も治ったから、怪我全般に使えそうだな、薬。

 さて、回復関係は理解した。

 血の汚れは残念ながら怪我と連動して消えたりはしない。ま、ここはゲームですから。浄化の魔法とか使えば一瞬できれいになりました~! 超便利!!

 結構あれだな……人生イージーモード・ゲーム世界……。

 本当は血が出るなら腕の断面とか見えちゃうのかなぁ、とか言う好奇心があったんだよ。けどさ、さすがに自分の腕切り落としたり抉ったりする勇気はなかったわ。

 力の問題なら、きっとこの体ならいけそうな気がするけどな。ただのナイフで骨まですっぱり……。

 でもさすがに嫌悪感がやべぇし、気持ち悪いからやめとこう。

 これで戦闘時にうっかり人間型のモンスターとかと戦って……いや、人型じゃなくてもだよ、腕とか切り落としたり切り落とされたりして断面みちゃったら……うん、覚悟がないから吐くかもしれん。ちょっと勇気がないぜ。

 普通だったらそんな場面遭遇しねぇかんな。想像できるのかどうかもよくわかんね。まぁ、ある程度は予想しといたほうがいいか。頭の隅にでも置いとけ、俺。

 ちょっと戦闘が憂鬱になってきた。

「はぁ……」

 コーヒーを飲みほしてため息をつく。

 仕方ない。少なくともここで生きていこうってなら、多少の戦闘は避けらんないだろ。

 あるかもしれない恐怖を少しでも軽くするために、今はいろいろなことについてわかっておいた方がいい。予想できる方がいい。

 だから……。

「次の検証行きましょか……」

 なんか本当にこの主人公ぶっ飛んでますねー。ぶち切れて自傷とか……絶対真似しちゃダメですよ★←

 あ、後無駄に長くてごめんなさい……

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