「プロローグ」
最近、デジャブが増えた。
初めて見る景色なのに、知っている気がする。
初めて聞く言葉なのに、その続きを知っている気がする。
そんなことが、ここ数週間で何度もあった。
最初は疲れているだけだと思った。
仕事が忙しいから。
寝不足だから。
そう自分に言い聞かせれば済む程度の違和感だった。
だけど、その日は違った。
「湊。」
聞き慣れた声。
振り返る前から、次の言葉が分かってしまう。
『少し話があるんだけど。』
胸がざわつく。
嫌な予感がした。
振り返る。
そこには、白石結が立っていた。
少し困ったように笑いながら。
「少し話があるんだけど。」
……やっぱり。
背中を冷たいものが流れる。
でも。
次の瞬間。
結はふっと笑った。
「その前に、ご飯食べよ?」
「今日ね、新しいお店見つけたの。」
その笑顔を見て、僕も笑った。
「分かった。」
二人で歩き出す。
夕暮れの風が吹く。
その時間が、こんなにも幸せだったなんて。
あの日の僕は、まだ知らなかった。
一番大切な時間だった何気ない時間が、
二度と戻らないものになるなんて。
そして。
あの日とよく似た出来事は、人生で何度も訪れることを。
⸻
もし。
あの日とよく似た瞬間が、もう一度あなたの前に現れたなら。
あなたは、その出来事に、どう向き合いますか。
エピローグ含めて全5章構成で、最後までプロットは完成しています。毎日更新中です!
もし「続きが読みたい」と感じていただけたら、ブックマークや評価、感想をいただけるととても励みになります。
これからも最後まで走り切ります。




