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『デジャブの先で、君にもう一度』  作者: Toi
第一章 喪失
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プロローグ

最近、デジャブが増えた。


初めて見る景色なのに、知っている気がする。


初めて聞く言葉なのに、その続きを知っている気がする。


そんなことが、ここ数週間で何度もあった。


最初は疲れているだけだと思った。


仕事が忙しいから。


寝不足だから。


そう自分に言い聞かせれば済む程度の違和感だった。


だけど、その日は違った。


「湊。」


聞き慣れた声。


振り返る前から、次の言葉が分かってしまう。


『少し話があるんだけど。』


胸がざわつく。


嫌な予感がした。


振り返る。


そこには、白石結が立っていた。


少し困ったように笑いながら。


「少し話があるんだけど。」


……やっぱり。


背中を冷たいものが流れる。


でも。


次の瞬間。


結はふっと笑った。


「その前に、ご飯食べよ?」


「今日ね、新しいお店見つけたの。」


その笑顔を見て、僕も笑った。


「分かった。」


二人で歩き出す。


夕暮れの風が吹く。


その時間が、こんなにも幸せだったなんて。


あの日の僕は、まだ知らなかった。


人は、失ってから気付く。


何気ない今日こそが、


人生で一番大切な時間だったことに。


そして。


あの日とよく似た出来事は、人生で何度も訪れることを。



もし。


あの日とよく似た瞬間が、もう一度あなたの前に現れたなら。


あなたは、その出来事に、どう向き合いますか。

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