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163  作者: Nora_
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09

「なんと、私と孝太郎はお付き合いを始めました、いえい!」

「おめでと」

「ありがとう!」


 昨日、行かなくて正解だったことになる、空気が読めない存在にならなくてよかったとしか言いようがない。

 ちなみに告白をしたのは水和からのようで、理由は待っている時間がもどかしかったから、だそうだ。

 学校が一旦終わって離れてから考えに考えた結果、今年の夏の間に決めたいという風になったということも教えてくれた。


「ま、ちゅーはまだだけどねー」

「ゆっくりの方がいい、付き合えてもそこがスタートライン」

「確かに雲月の言う通りだよ、えっちな先輩が言うと説得力があるね」


 そういうところはスルーして彼女の部屋の床に寝転がる。

 翔子にはこのことを言ってあるし、彼女は孝太郎が好きなんだから問題にはならないはずだ。

 ……直前に行ってほしくないとか言われてしまっているからどうなるのかは分からないけど……。


「ちょいちょい、そんなに無防備な感じでいいんですかい? 孝太郎を愛しながら雲月も愛したいという気持ちがあったら終わっていたよ?」

「水和は私に興味がないでしょ?」

「あるよ! というか、翔子ちゃんとばかりいられて複雑なんですけど」


 こっちに覆いかぶさりながら「私の方が先に仲良くなったんですけど」と言っている彼女だが、後半はこっちのことなんてまるで意識になかったことになるので、なんとなく適当に言っているように聞こえてしまった。


「孝太郎がいなかったら私が雲月を貰うのになー」

「なんか適当に言っている感がすごい」

「そんなわけないでしょうが! じゃなかったらこんなことしないよ!」


 頬に触れられたところでどうしようもない、触り心地がいいということなら好きにしてくれればいいけど。

 このときは何故か翔子も彼女も優しい笑みを浮かべているからなんでこんな顔をするのかと考えている間に終わってしまうのが常のことだった。


「この唇も翔子ちゃんに奪われちゃったからなー」

「私と水和はそういうことをしていたわけではない」

「そうだけどさー、なんか雲月がどういう顔をするのか気になって――あ!」


 近距離で大声を出されてかなり驚いた。

 じっと見てみたら「ご、ごめん」と謝ってくれたからやめた。


「私の前でちゅーしてよ、ね? 教えて先輩」

「どんなプレイ……?」

「あらやだっ、プレイだなんていやらしい子ねえ……」


 これは真剣に付き合うだけ損だということだ。

 なんかむかついたからずっと寝転んで帰ってあげたりはしなかった。

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