第13話
「試せば…わかるはず。…たぶん」
唐突に、声とビジョンがフラッシュバックした。
CL3-SC4は直感する。
これは、この女が抱えている秘密だ。
記憶との一致はない。
それでも、何かを隠しているときのメンディアの表情が、妙に重なった。
胸部に異常値。
あの日以来、何度も発生している感覚。
痛み。
違う。
何かを知っているという感覚。
女性が振り返った。
CL3-SC4を見る。
二人の視線が合った。
女は眉を寄せた。
そして小さく首を傾げた。
まるで。
ずっと昔に会ったことがある相手を見たように。
「……あなた」
彼女が言った。
CL3-SC4の演算機構が停止する。
「どこかで――」
女はそこまで言い、
自分でもおかしいと思ったのか、苦笑した。
「ごめんなさい。変なこと言った」
彼女はそのまま店の中へ入った。
扉が閉まる。
能力を解除する。
女の顔を覆っていた仮面は、
誰にも知られることなく消えた。
今見たものは、
一人の人間が抱えた、
誰にも見せない心の傷にすぎない。
これがメンディアの痕跡なのか。
この女性自身の傷なのか。
それとも、
その両方なのか。
判断できない。
ならば記録する。
一人ずつ。
すべて。
いつか答えに辿り着くまで。
CL3-SC4は記録領域に新しいフォルダを作った。
名称を入力する。
code// MASKs
仮面に現れた模様。
女性の顔。
声。
反応。
胸部に生じた説明不能な異常。
すべてを保存する。
CL3-SC4はまだ知らない。
探している女神の秘密を。
彼自身がなぜこれほどまでにメンディアを探しているのかを。
遥か昔。
彼がまだ機械ではなく、
別の名前を持っていたことを。
その名前を覚えている者は、
もうどこにもいない。
――少なくとも、
今はまだ。




