第12話
最初の反応を見つけたのは、三日後だった。
女だ。
小さな店の前を歩いている。
長い髪。
見覚えはない。
顔も違う。
声も違う。
少なくとも、メンディアだと判断できる要素は何ひとつなかった。
だがCL3-SC4は目を離すことができなかった。
女は店の窓ガラスを見ていた。
自分の姿を確認しているようで、
実際には何も見ていない。
その表情。
ほんの一瞬。
メンディアが戦いの前に見せた顔と似ていた。
恐怖を隠すときの顔。
CL3-SC4は立ち止まった。
白い仮面の機能を起動する。
視界の中で、女を対象として指定した。
一秒。
二秒。
三秒。
変化は、
女の顔に現れた。
顔の半面を覆うように、淡い光の輪郭が浮かび上がる。
もちろん女自身は気づいていない。
通行人たちも何も見えていない。
その光景を認識しているのは、
白い仮面を装着したCL3-SC4だけだった。
細い線が走る。
一本。
もう一本。
黒い亀裂のような線。
その周囲に色が広がっていく。
赤。
青。
淡い金。
互いに交わらず、逃げるように広がり、
やがて彼女の顔の半面を覆う、
一つの奇妙な仮面となった。
彼女が心の奥底へ押し込めているトラウマ。
恐怖。
後悔。
記憶。
言葉にはできない傷が、
仮面という形を借りて現れる。
そうアムネリスは言っていた。
CL3-SC4は見つめた。
解析不能。
一致データなし。
メンディアの既知の記憶とは照合できない。




