7話① 魔粉とうすしお
今回も長かったので分けました
引き続きお付き合い頂けたら幸いです!
よろしくお願いいたします(>人<;)
朝、集合場所の大聖堂に向かうと、エメラルド色の髪のショートヘアの聖女と、薄紅色のウェーブがかったロングの髪をたなびかせた聖女が立っていた。
(ん? ……誰だアレ)
振り返るとセレナとエルシアだった。
口元は白い布で隠され全身白装束で髪色がより際立つ。
普段より気品と厳格さが強調され、近寄り難いほど神聖な雰囲気を漂わせていた。
目を開いて驚いていると二人が声を出して笑う。
「エルシア、見てみなよ。譜なしは魔粉すら渡して貰えてないぞ!」
「あははははは! ホント。やだわ神官様ったら、譜なしをぞんざいに扱いすぎね!」
なんかムカつく。
でも自分だけハミゴなのは慣れてるのであまり気にしない。
マフン?とやらは別にどーでもいい。
毛の色がなんだ。毛は毛だろうが。変えるなら髪型も変えればいい!
モヒカンやリーゼントに!!
ギギギ……
後ろから重厚な扉が開く音がして三人が振り返る。
神官だ。
パチッと私と目が合った途端、何かを思い出したように口を開けた。
「あ、テレサごめんなさい! 貴女と任務に出るのが初めてだったから!! ちょっと待って……これを渡すの忘れてました」
ゴソゴソと、ドクターバッグに似たがま口カバンを開けて何やら取り出す。
黒い粉の入った瓶。
「魔粉です。手に出して、頭頂部から髪に満遍なく馴染ませて」
「はい。えぇっとぉ??? ……このくらいかぁ?」
「あーーーもーーー! そんなんじゃ足りない! 鈍臭いなぁ、ほら貸して!!」
もたついてる私の手から瓶を奪い取ったセレナにワシワシ頭をもみくちゃにされた。
「あーすんませんねぇ。右側が痒いです」
「かしこまりました、右側で……」
バチィン!!
まぶし終わったセレナに思いっきり頭を叩かれた。
「いたぁ!」
「ふ、譜なしが!! 調子にのんな!! ……エルシア、行こう」
「え、ええ」
そそくさと大聖堂を後にするティーン達を眺めながら私は生暖かい視線を向けた。
「初いよのぅ」
「ごめんなさい、テレサ……私の不注意で」
私は隣で平謝りする神官に片眉を下げる。
「いやいや、神官様が謝る事ではありませんよ。……それで? この粉の持続時間は?」
「およそ24時間。我が国は聖女の数が世界一ですからね。ランクも様々、依頼の際に指定されたり、他国から特定の聖女を狙われたりしないように、現存しない色味をランダムで発色する粉を独自で開発し、数年前から必須になったんですよ」
「……そうなんだ。あ、じゃあ私が譜なしの常闇という事も他国に知られてな」
「あ、それは知れ渡ってます」
「知れ渡ってんのかい!!!」
「国の意図です、ご理解くださいね」
「ぐぬぅ」
からかうように笑う神官を薄目で睨んでいると、毛先の色味が変わっていく。
「おおおお。これは!!!」
「白なんて……珍しいですねぇ」
白銀に煌めき揺れる髪色。
気に入った私は髪を靡かせながら大聖堂の扉を開けた。
「あ、テレサ。これも付けてください」
振り返った私の耳に紐をかける。
二人が付けていた顔隠し用の白い布。
聖女の数が国々で均衡を取れてないとこういう弊害もあるのか……と、少しゲンナリしながら門を出た。
外に出ると既に待機している我々が乗る馬車と、ルオス帝国側の馬車がズラっと並んでいる。
馬車の前で談笑している二人の横に立ち、どれに乗るのかと様子をみていると
いきなり、背中に衝撃を食らった。
「ぐえっ」
「怖がらなくていいからさっさと乗りなよ、腰抜け」
セレナに蹴られ、よろめいた。
(このっ!)
親の顔が見て見たいと一瞬思ったが……コイツは私と同じ神官に育てられてる。
……親一緒じゃん。
と思ってゲンナリと白目をむき出し、しゃくれた。まぁ、布でしゃくれは見えないが、ムカつくので意思に従う。ティーン二人が私の顔を見て恐れ戦いた。
「な、なんだよ? 新たな呪いの顔か?」
「やだわ! 気持ち悪いからやめなさいよ」
さっきまで悪態をついていたのに、本気で怖がっているらしい。この程度で怖がるなんて所詮は子供。可愛げがあるじゃないかと口を開いた。
「おやおや、お化けが怖い年頃かい〜? 毎日魚の目に悩まされる呪いをかけてや――ぬぉ」
呆れた顔の神官に頭を小突かれ、赤べこになった。
「早く乗りなさい」
物凄い冷めた目で見下されているよ……。
コノヤロウ
私がもっと美人で
ぼいんぼいんで瓢箪みたいな体型で
いい匂いのする女の子だったら
絶対態度違うだろ!! 神官!
このうすしおミドル!!(中年)
心の中で悪態をつきながら受け口で息を吐き、布を少しだけ浮かせた。




