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自滅への近道sheet3:非常勤講師

川口が連れてきた幼馴染と相談者は父方の従兄弟同士でどちらも大塚と名乗った。

相談者の方は大学の非常勤講師をしているとの事。

アキラの"先生"呼びがキッカケで他のメンバーもそう呼ぶ流れになった。


「近いうちに来ようと川口とは話してましたが、昨日急にこいつから連絡来ましてね」

幼馴染大塚が言った。

「本当に急で申し訳ない。実は昨日こちらのホームページを拝見してまして。その、クイズの…」

大塚先生は興奮気味にやや早口でまくし立てる。

「最新のクイズって鍵になるのがユーザーネームですよね?実は相談したいのが、まそにそのユーザーの特定なんです」


川口がグループLINEで来店を知らせて来たので、育美と薔薇筆も同席している。二人の大塚を挟むように五席のカウンターを埋めていた。

「閲覧ありがとうございます。あれ今週公開したばかりなんです。正解には辿りつけましたか?」

薔薇筆が恐縮しながら尋ねる。

「いえ、お恥ずかしい話マクロとかそれほど詳しくはないので…ただ、あのクイズが作れる皆さんなら私が今抱えている問題を解決してくださるだろうと相談にあがった次第です」


彼は現在隣の市にある某私立大学の非常勤講師を務めている。

彼の講義に参加している学生の評価は大学のサーバーに上がっているエクセルファイルに記述されるとの事。

そのファイルは他の教授や講師も閲覧及び登録する事が可能なのだが、どうも自分が付けた評価との乖離が見られる気がする。

最初は自分の入力ミスかと思ったが、よくよくデータを調べてみると特定の人物の評価だけ改竄されてるかの様だった。


また、そのファイルには別のファイルにはないマクロが存在しているとの事。

他の定型業務に使うものは業務内容に沿ったマクロ名が付けられているが、そのマクロ名は「test(使用不可)」となっている。

学生の評価が記載されているファイルを持ち出す訳にはいかないので、そのマクロだけコピーして持って来た。

このマクロが改竄と関係があるのか、また改竄をしてるならユーザー名によって誰か特定出来ないか。

という、主旨の相談であった。


「何かさ…」

話を聞き終わると川口が最初に口を開いた。

「こないだ聞いた改竄の話もだけど、ファイル共有ってのは良し悪しだな」

「前回の改竄者の動機は…動機というか本人は改竄してるつもりはなく単なるスキル不足だったんだけど、今回のは意図的な感じがするな。動機はなんだろ?」

アキラは誰に言うともなく言った。

「改竄…と決めつけるのは早計かも知れませんが、具体的にはどんな変更がありました?」

育美が先生に尋ねた。

「特定の学生の評価点がちょっとずつ上方修正されてる感じです。数人ですが、ある一人だけ突出してますね」


「そうか、よし、分かった!」

川口がそう言いながらオーバーリアクションな手の動きをする。

「グッさん、それ金田一のドラマに出てくる警部だろ?全然的外れな推理するやつ」

アキラが呆れながら言う。

「まぁ、一応聞こうか」

「あーつまりだな、簡単にいうと、その上方修正してもらった学生と教授か何かが、付き合ってるって事だ。それが動機だよ」


「かー、オッサンはすぐそういう下世話な方へ持ってくな。グッさんらしいといえばらしいけど…まぁそれはそれとして、そのマクロとやらを見せてもらえますか?」

アキラはそういうとUSBメモリを受け取りエルに渡した。

川口は置いてけぼりだ。

「それでは皆さま、そちらのカラオケモニターをご覧ください」

エルはてきぱきと作業を終えると芝居がかった口調で言った。

先日、薔薇筆に設定してもらい魔道具(パソコン)の画面がミラーリング出来る様になっていた。

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