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HELIOSはおひとり様  作者: HELIOS
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第三十九話 千三百年の歴史ある温泉➁

 温泉上がりに地ビールは最高であろう。唯一目をつけていた店に着いた。混んでいるな。外国人団体客がいて英語が飛び交う賑やかな雰囲気。

「お好きな席へどうぞ」

 一人なのでカウンターがいいと思うが、カップルの隣に座る元気はない。二人席を利用させてもらった。すみません。

 地ビール四種の飲み比べと燻製セットを頼もう。

 注文をしようと、黒板アートを描いていたスタッフさんに声をかける。

 めっちゃ絵上手いっすね! もちろん心の声。初めて生で描いているの見たよ。

 注文を終えると──。

「んッ?」

 椅子の背もたれが押された。振り返ると着物越しのまぁるい尻。席を立った外国人女性の尻アタックである。素敵なお尻だ。なんて、アハハハ。スケベではなく、日本人との差の話だよ。

「お待たせしました」

 四種の地ビールと燻製が来た。店員さんからビールの説明を受ける。ふむ。

 燻製は鴨肉、チーズ、アーモンドだ。

 これで二千円はナイスである。

 まずは好きなピルスナー、【空のビール】から飲む。飲みやすい。ちゃんとした苦味がある。ぬるめの温度。雨空とぬるいビールも乙ですわい。

 次に【雪のビール】カニビールをいただく。説明を受けたが、蟹を使っているわけではなく、冬の味覚に合うように作られたらしい。香ばしい。ブラウンエールだろうか。蟹と食べるのもありだと思います。

 肉にも合うとのことなので鴨肉を食べた。しっかり燻されている。合います。つか燻製が美味しいです。

 ウフフルンルンしながら親に写真を送り付ける。母の日なので地酒でも買って帰ろう。自分が飲みたいだけである。

 お次に【川のビール】ヴァイツェンを飲む。ヴァイツェンはこの華やかさが美味しいよね。

 燻製アーモンドを食べる。塩気が効いていて美味しい。香り良き。

 ナッツにはスタウトが合うでしょう、と【黒のビール】を飲む。スタウトだけ名前は色なんだ。珈琲にも似た苦味。しかし、苦すぎず美味しい。

 最後にチーズをパクリ。贅沢な厚さ。口いっぱいにクリーミーさ。煙の香りが鼻腔を満たす。チーズが一番好みだ。ここにヴァイツェンを飲むと、香りの良さからなのかワインを思わせた。新たな発見。

 うーん美味い。飲み比べってチマチマ飲んじゃうのはHELIOSだけですか?

 昔、旅行に来たことがある母親から連絡が入る。海鮮料理を勧められた。了解。行きますとも。

 大事に飲んでいた地ビールをゴクリゴクリ。

 もうすぐ十七時。急ぐわけは帰りの時間である。帰りの電車は一時間に一本しか来ない。終電は十九時である。


 最後の店は一階が鮮魚店。二階で海鮮料理を楽しめるという店をセレクト。だって、絶対美味しいでしょう。

 カウンターに案内してもらった。

左には外国人夫婦。右には父娘かな。大きい男性二人に挟まれる圧迫感。

 プルプルしながら着席し、本日のおすすめとメニュー表を見る。

「お刺身六(・)人(・)盛りと……」

「はい、お刺身六(・)種(・)盛り合わせ」

 あっ。恥ずかしい。

「ブリカマと、かに酒ください」

 蟹身は興味ないが、かに酒は初である。ヒレ酒は好きだし、好きな系統とみた。

 少し待つと、かに酒が来た。蓋のされたコップと、マッチ箱を渡される。あ、これは……。

「アルコールが溜まっております。火をつけて飛ばすとまろやかになります」

 オオオオオオ! 自分でやれと! できるのか? 家でヒレ酒したときは難しかったぞ。

 マッチ擦るなんていつぶり? エイッ、エイッ、エイッ。着火しない。側面のヤスリが摩耗しているからだ。オリャ! ポキン。

「…………」

 は! 恥ずかしい!! あひゃあ。もう一本チャレンジさせてくだせぇ。

 エイ、エイッ。着いた!

 酒の蓋をずらす。火、消え……着いたッ。え? 失敗してる?

 成功するとお酒に火がつく。珍しいから動画まで撮ってたのに。

 心配しつつ、クゥゥゥ……と飲んでみる。猫舌である。少しずつ、少しずつ。

 蟹の香りがする。ファー! 好きです!!

 アニメ銀魂の蟹回を思い出す。蟹の甲羅はいい味っす。甲羅といっても一部で、どの部位が使われているかは知らない。見たことあるようなないような。

「おまたせしましたァ〜」

 お刺身が来た。グッッッ……帆立がいる。帆立アレルギーランク三である。まぁ、鮮度が良ければ食べられるし。信じてるよ。

 かに酒を飲みつつ平目らしいものから食べる。歯ごたえ良し。うんうん。

 やけに綺麗に切られた刺身がある。脂でテカテカしているではないか。味わい的に鰤だろうか。

 イカはねっとり。マグロは普通。甘海老美味しい。

「Excuse me」

 鰤が一番かなー? ……ん? 今話しかけられたような?

 左を見ると外国人夫さんが甘海老の頭を見せて「ペラペラペーラ」笑顔で話してくるではないか。

 へっ!?

 HELIOS英語ができない。簡単なヒアリングもできない。中学英語も怪しい!

 うーん、何となくだが海老の頭の食べ方を聞いているのだろう。

 あまり詳しくないのだけど、海老味噌は吸うのが正解のはず! 海老の頭を持つジェスチャーと共に「チュ」と言う。

「Oh!」

 なんか喜ばれた。「クスクス」右の男性から聞こえるのは気のせいだろうか? 英語できるなら答えてくれよ!! つか! 店員さーん! 慣れてるだろう!? タスケテ!!

 恥ずかしく思いながら海老の頭を持つ。伝わったかね?

 左を見ると外国人奥さんと目が合う。実際に頭の味噌を吸ってやる。

 また左右から笑われた。えっ? お礼なのか、賞賛なのか、お馬鹿さん認定されているのか分からないぞ!? くぅぅぅ〜ッッ。は、はじゅかしい。

 顔を赤くしながら酒を飲む。

 うーむ、さて。戻ろう自分の世界へ。

 帆立食べてみるか。薬を持参しているからできること。大きな貝柱をパクリ。美味い美味い。……嫌な予感。体から危険信号が出ておるわ。懐かしい感覚。いや、もう少しいけるって?

 マムマムマム……あ、来たわ。気管が狭まる感覚。

 すぐに鞄から錠剤を出し、お茶で飲み込む。

 フゥ。やはり駄目か。すぐ効くの有難い。旅行先で一人死ぬところである。

「ブリカマです」

 おや、思ったより早い到着……量多くないですか?

 六百円にしては多い気がする。最低九百円クオリティ。食べきれますかね。

 どれどれ、と身をほぐす。まずは何もつけずにパクリ。

 あー! 美味い!! 近場ではなかなか食べられない。美味しいお魚嬉しい。近場のスーパーの魚美味しくないんだよぉ。

 ブリカマにかに酒が合うなぁ!


 存分に楽しんだ。

 せっかくなら、もう一件温泉に行きたいところだが来られただけでも満足しよう。余裕をもって帰りましょうね。

 ポンッとスマホに通知。SNSにメッセージ? とあるお客様からだ。珍しい。

(地元なので美味しい店、ご紹介できましたのに!)

 なんだってー!?

(今度行かれる時は聞いてくださいね!)

 地元民の言うこと絶対。

 またいつか来なければな!

 電車に乗り、炭酸煎餅を出す。乗車時間が長いのでチマチマ食べるためだ。

 パリッ。同じ兵庫の有馬温泉と食感が違う気がする。店にもよるだろうが、これもまた良きである。

お読みいただき、ありがとうございました。

写真を見ると、まさかの二年前。


後半もひたすら食べておりました。

食欲があるからといって、不慣れな土地でアレルゲンを摂取するのはお勧めしません‼

じゃあ食べるなよ、という話になりますが。私の場合はスポーツなどの予定、自分の体調との相談しつつ、気を付けていれば美味しくいただけます。

生ネギだけは大変な目にあいやすいので避けがちです……。厄介で人気な薬味の主役。


今回お邪魔したお店はこちら。

城崎町家地ビールレストラングビガブ

おけしょう鮮魚


まだ片付いていないのですけど、最近は弁護士さんにお世話になったり、バタバタしておりました。

秋はお仕事が落ち着くのと、創作意欲アップですし。年内中に数話掲載できたら嬉しいです。


次回はお茶のお話でも。

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― 新着の感想 ―
帆立、ご無事でよかったです……!(´;ω;`) アレルギーは怖いですよね。アレルギーではないのですが、旅先だと食べるもの少し用心してしまう私です。 生ネギのアレルギーってあるんですね(;´・ω・)(個…
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