第3話プロローグ この世界はおかしい
「·······」
この異様な光景に俺は言葉が出なかった。
無数の気持ち悪い魔族共が手を天高く上げ、まるで少年の心のよいになんの悪気もなくただ大声で下ネタを叫んでいるこの状況に···
そんな俺の気持ちなど知らずに号令は、進んでいく···
「お前らおっぱいは好きかーーー?」
「おっぱぁぁぁぁあい!!!」
「何カップが好きなんだ??」
「巨乳!!!」
「おっぱいで何したいんだ??」
「揉みたい!!」
「吸いたい!!」
「しゃぶりたい!!!」
「おっぱいは?」
「人生!」
「おけぱいおけぱい!!!号令終了ぉぉぉぉぉぉ」
「·······」
なんだろう···この1人だけ取り残されている感覚は···
「ハッハッハーデス様ほんとに調子悪そうですね大丈夫ですか?」
気持ちが顔に出ていたのか、おそらく生気の入っていない顔を心配そうに悪魔が俺の顔を見てくる。
「···大丈夫だ、問題ない」
ごめん嘘···
「ほんとですか、いつも“人生”のところ1番気合い入れて叫んでらっしゃった貴方様が···今日は私がやりましたけど」
「うん、ごめんね···もうね。なんか疲れたから僕ダメかもしれない···いろいろと」
なんなんだ一体ここは···
もうつっこむ気力すらない。
「そうですか。まぁ、大丈夫なら安心です。では、号令は終わりました!転移の準備をお願いします!」
「あ」
そうだ忘れてた···この意味不明なふざけた号令のせいで忘れていた。
「うむ、転移な転移魔法な」
さてと、振り出しに戻った。
俺は今度はどう言い訳し切り抜けようかと考えていると。
先程の骸骨が悪魔に話しかけている。
「カランカランからん」
だからわかんねーんだって···
何言ってんだろ···言ってることがわからない事がいちばん怖いまさか、この骸骨には俺が記憶が無いのがバレたのでは···
「あ!」
会話が聞こえたのか、目を丸くして悪魔が驚いている。
「それもそうですね、ガリガリ男爵。ごめんなさい、ハッハッハーデス様お疲れですので魔力出せないのですね。それならそうと素直におっしゃってくれれば···」
「ガリガリ男爵!?」
こいつそんな名前してたんだ···てかナイス!ファインプレー!ガリ男!
「そ。そうなんだよ!魔力。実は魔力がなかったんだよハッハッ!」
良かった···とりあえずこの腐った状況から逃げ出せる。
そんな安心もつかの間
「あら、魔力足りないのね。じゃあ私の出番ね」
そう言って、杖を持ったヨボヨボの年寄りおばあちゃんがひょろひょろとこちらによってきた。
「私の魔法でハッハッハーデス様の魔力を回復致しますね」
「ちょ···待て···」
「はぁ!」
そう言うと杖を俺の方に振りかざした。
「これで回復しましたじょ」
このババア余計なことを、ガリのファインプレーが台無しだ···
「さぁさぁハッハッハーデス様これで全てが整いました!呪文を···」
人の気もしれず、ずかずかと悪魔共が俺の方にによってくる。
「待て···待てぇぇぇぇ」
「···と···こと···まこと!真!!!」
「はぁ!」
俺は布団から飛び起きた。
「真!もう8時よ!今日高校生活なんだから早く起きなさい!蹴り飛ばすわよ!」
なんだったんだ今の夢···てか、蹴り飛ばすわよってもう蹴り終わった後に何言ってんだこの母親は···
俺は如月 真。
今日から多分花の高校生活がはじまる。