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カビト戦記  作者: たちー
2/5

主としての責

カンタはソウジを睨み付ける。


「い、嫌だ。これは俺が勝ち取った物なんだ。誰にも見せない……。見せてたまるか!」


カンタは膝から崩れ落ちた。


人の命を命だと思わない突撃命令。

死ぬまで敵と闘わせる過酷さ、

鬼気として迫り来る敵、

腐敗した生臭さやどよめく声、

人の恐ろしさを()の当たりにしたカンタは震えが止まらないでいた。


「ちくしょー!お、俺は生き残ったんだ!みんな死んだのに、俺は……。」


ソウジは悲しそうな表情で下を向きトコトコと小屋の中に戻って行った。


(戦か……。)


人生の逆転を賭けて戦に参加する者は多い。


戸籍登録のある者が戦に参加するだけで

少額の出兵参加金が家族又は本人に支払われる。


カンタのように終戦時に生きてた場合、出兵謝礼金が支払われる。


更に戦果や武功を上げた場合、更に報酬を得られる仕組みになっている。


戦では畑仕事や商売では稼ぐ事の出来ない額をたった一戦で稼ぐ事が出来るかもしれないのだ。


(いや、やめよう……。)


ソウジはボーッと夕飯の前に座り思い詰めた表情をしている。


ガチャ


しばらくすると母のミツコとカビトが帰ってきた。


「さ。お夕飯にしましょ!」


ソウジ達は手を合わせ、夕食にありついた。


「スゲーよなカンタの奴!戦に行って生きて帰ってくんだもんな」


カビトが羨ましそうにカンタの話をすると、ソウジは何か言いたげな表情を浮かべる。


「そうね!カンタさんはこの村の英雄ね」


ミツコは笑みを浮かべながら心配そうな声でカビトの言葉に同調した。


カンタが貰った報酬がどのくらいなのか、

カンタはこれからどうするのか、という話で盛り上がり楽しい夕飯の時間は過ぎていった。


就寝の時、カビトが寝たのを確認するとソウジは重たい口を開く。


「ミツコ……。今の生活はどう思う?」


ミツコはソウジに背を向けたまま、無表情で言葉を掛ける。


「十分幸せですよ!」


ソウジは難しい顔しながらミツコの背を見つめる。


「そうか」


ソウジはホッとした表情を浮かべ横に寝そべった。










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